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#1756 改良と仕立てでかなり良くなっていた、フォルクスワーゲン・T-Roc R。

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 ファーストインプレッションがあまり良くなかったモデルがありました。20年夏に導入された、フォルクスワーゲン・T-Rocです。当初はディーゼルユニットだけだったこと、組み合わされていたタイヤサイズがVWらしいシャシーフィールを乱していたこと、そこに演出しすぎたスポーティ感があって、うーむ、を感じてしまっていました。そのため、その年末(翌年だったか?)のドライバー誌の輸入車選び企画では、高得点を付けられなかったことを覚えています。そのT-Rocがですね、昨年マイナーチェンジを行いまして、併せて、ハイパフォーマンスモデルである「R」を導入したというので、さて、どう変わったかをテストドライブしてみることにしました。というわけで、ここでは最新モデルの「R」だけのインプレッションとなります。  結論からいいますとね、あー、コンパクトクロスオーバーモデルとして、Rとして、こういう走りを目指していたのか、が、ダイレクトに表現されていました。もちろん、Rですから、路面が整えられていないシーンでは、意図的に規制されたサスストロークと、ハイトの少ないタイヤサイズから、キャビンへとゴトゴトといった音、振動が伝わってきまして、スポーティたる素質を感じさせてくれます。ただですね、これがですね、いやー、普段遣いで不満をそれほどに感じないレベルに抑えられていまして、ゴトゴトったって、カドの取れたゴトゴトで、ゴとコの間レベルであり、そこにまずもって感心を覚えました。もちろん、この手のモデルとしては……、という前提ありきの話ですので、人によっては、固さと捉える人もいるやもしれませんが。で、で、どんなタイヤをはいているのかとチェックしてみると、そのサイズは235/40R19。このシャシーに、これだけ大きなホイールを採用していることを考えると、よくあれだけの乗り心地を確保しているなと、感心しきり。で、タイヤ銘柄を見てみれば、なんと、ハンコックのventus S1 evo2。愛車、フォード・フィエスタの標準タイヤが、ventus S1 evoでしたので、剛性感を丁寧に作り込んだ上に、快適性を表現したあのフィールに懐かしさを感じました。あ、今はもうはいていないもので……。  エンジンは2.0Lガソリンターボでハイパフォーマンス仕立てがされており、その最高出力も300PS/5300-6500rpm、最大トルク

#1755 軽商用車で、縦置きCVTを採用した、ダイハツ・アトレーとハイゼットトラックの話。

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 クルマの、喫緊の課題である、いや、命題となっている、燃費と環境性能の向上は、もはや、良いほうがいい、ではなく、ひと銘柄ごとではなく、自動車メーカーとしてトータルで下げなければならず、どのメーカーも苦慮しています。そんな観点もあって、FR系の軽商用車の2ペダルトランスミッションについては、はたして、どうしていくのか、各社で提案が行われています。  スズキは2014年に、2ペダルトランスミッションとしてASG(オートギアシフト)を組み合わせたものの、あの間を与えるシフトフィーリングに共感を得られず、現在ではキャリイではATのみに。といっても、黙っているわけではなく、ほかモデルのASGには、その空白の間をモーター駆動でアシストし、フィーリングとしては、上手く消し去っています。商用車に対応できないのは、耐久性やらの面で、まだ課題が残っているから、でしょうな。では、ダイハツはどうしたかといえば、一昨年暮れのフルモデルチェンジで縦置きCVTを発表。どこまでラフな使い方に対応できるのか、燃費はどう変わったか、ということで、軽トラックのハイゼットトラックと、パーソナルユースをターゲットとしたアトレー(今回すべてが4ナンバー化)をテストドライブすることにしました。それにしても、つい先日発売されたばかりと思っていましたけど、気づいたら、発売から1年以上が経過していたようで……。ちなみにハイゼットトラックは、CVTを組み合わせたついでにあれこれと改良を行った、いわゆるビッグマイナーチェンジ、アトレーはフルモデルチェンジという扱いとなっています。  肝心なCVTたるフィーリングはですね、これまで組み合わされてきた軽乗用車では、乗用ゆえに、パワーユニット、ドライブトレインからのノイズがキャビンへと伝わりづらくされていましたが、こちらは、キャブオーバー、セミキャブオーバーレイアウトゆえに、ダイレクトにキャビンへと侵入してきます。低回転域でのトルク感、ダイレクト感を求めて、ローギアードにした設定もあるんですが、それよりも中回転域以降のノイズが急激に盛り上がりまして、意識的にアクセルペダルを踏み込んでいると少々気恥ずかしさを覚えるほど。ただですね、トルク感はかなりなもので、まさにグイグイと走って行くフィーリングがあり、頼もしさを覚えたほど。ま、空荷状態とはいえ、比較しなければターボはいらないかな

#1753 とんでもないどころの騒ぎではなかった、BMW2シリーズアクティブツアラーの話。  

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 BMWの2シリーズアクティブツアラー、いわゆるモノスペースで、BMWとしてはボトムとなるFFプラットフォームをベースにしたしたモデルがですね、フルモデルチェンジをしましてね、昨年末に日本に上陸したんですけどね、ま、たいしたことないだろうと見ていたわけですけどね、これがですね、ぼちぼち試乗しておかねばと借り出してみたらですね、とんでもないを超えて、とてつもないクルマになっておりました。と、ここまでは走りに関するパートの話。  で、どう、スバラシかったかというとですね、走り出しからの路面トレース性がすこぶる高くてですね、ハンドリングはFRかのような素直さが「演出」されていましてね、その上で、コーナリングではFRっぽいリアの踏ん張りが表現されていてですね、ディーゼルエンジンは低回転域から十二分でフラットなトルク特性を与えつつ太いトルクをきれいに出力してくるんですよ。もう、そのバランスたるや、「なんじゃこれ」、状態。そのまんまで、スポーティであり、そのまんまで、超快適。乗りはじめは、日常域ではタイヤの固さが気になりましたが、それもまぁ、とんでもない速度域においてフラットフィールを作り上げるために、必要だったことだと知ると、まったくもって、マイナスと表現したくないものでもあります。  と、驚きだらけでしたが、そのほか印象に強く残ったのはシートポジション。すっとフットレストに左足を乗せて、おケツをシートにククッと押し付けると、これが、もう腰からつま先までが心地よいほどにシートに馴染み、背筋を伸ばして座るポジションを、半ば強制されます。そう、クルマから。まさに、馴染む感じとばかりに。というように、このモデルには、もはや、コンパクトだから、FFだから、という言い訳が見当たりません。いや、見当たるけど、気にならない。というぐらいに、いい。試乗したのはディーゼルモデルでしたがエンジンノイズの遮音にしてもですね、すこぶる高くてですね、ドライバーですらついついディーゼルエンジンだったのを忘れてしまうほどに、その燃焼音が抑えられている。いや、耳障りな音域がしっかりと消されている。もちろん、踏み込めばそれなりに伝わってきますよ、きますけどね、絶品。というか、3シリーズより静かじゃないか? と思えるほどに快適でした。  ただですね、このモデルからBMWの新提案があれこれとありまして、その仕立て

#1748 BMW・218d グランクーペ (Msport)の、ちょうどいい、愉しさとパッケージと。

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 あ、BMW・iX、日本カー・オブ・ザ・イヤーでは、デザイン部門での受賞となったようですね。たしかに1000万円オーバーの価格帯を考えると、大賞はちょっと違うか。でも、あのビッグサイズを感じさせないサイズ感は、すばらしいし、EVならではのデザインとも言えるものですので、納得です、はい。そのiXを返却して、借り出したのが、この2シリーズグランクーペでした。過去に、 #1713中途半端ではなかった、BMW M235i xDrive グランクーペの存在価値。 にてインプレッションを記していますが、コンパクトモデルなのに4ドアクーペというパッケージング、そして、FFベースゆえのスタイリングに、違和感を覚えるのですが、それはさておいてですね、設えが、スポーティ過ぎず、でもスポーティさがあって、好印象なモデルです。  で、今回は、ディーゼルユニットを搭載した218dを借り出しました。ちなみにMスポーツ仕立て。iXから乗り換えた直後は、この曖昧なステアリングフィールはなんだ? 路面をトレースしきれていない物足りない接地性はダメだろう、突き上げ手前な乗り心地はこれでいいのか? などと、もう、自らの評価基準はiXとなっていたために、ダメ出しの連続でした。ところが、ま、しばらくドライビングしていれば慣れてくるもの。  やがて、乗り心地のバランスを崩さない程度に、サスペンションを引き締め気味に設定して、ハンドリングから緩さを取り除きつつ、クイックにしすぎない加減をチューニング。気づいてみれば、シートもいいし、ポジションもこのクラスにしては素直に取れるし、ディーゼルユニットゆえに中回転域の張り付くようなトルク感が愉しさを生み出しています。こうなってくると、もう、Mスポーツ仕立てだからと、ケチ付けるポイントは見当たらず、タイヤサイズが起因したドタバタぐらいなのか、といっても、ドタバタともいえないですしね。  あ、ひとつありました。速度を上げた際にですね、落ち着かなかったんですな、このシャシー。低速で感じた、トタトタがそのまま残っていて、人馬一体に近づかなかった。あれはなぜだったのだろうか。タイヤのグリップがちょっと高すぎるから、どこまでアクセルを踏んでいけるかが、分からなかった、ことが、理由かな、と結論づけてはいるのですが。ま、ウェットだったし。

#1747 すべてが異次元だけれども、これがやがてやって来るEV像だった、BMW・iX。

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 日本にいると、現状がどうなのか、あまり見えていないこないEVですが、やはり、充電における手間に課題がある状況は変わりなく、言い換えると、海外のようなハイスピード充電インフラが整っていないことが、半ば、普及の足かせとなっています。そう、足かせ。ただ、グローバルに眺めると、自動車メーカーのEV開発競争は熾烈を極めており、その足かせゆえに、国内(メーカーとは言わない)では出遅れた感が広がっています。  と、そんな状況はさておき、では、クルマとしての仕上がりはいかがなものか。その第1弾として軽EVに焦点をあてたレポート( #1742 、 #1743 、 #1744 )を伝えましたが、それとは逆のポジションにある、輸入車最上級EVはどんなものかをテストドライブしてきました。具体的には、BMWのiX。どうやら、日本カー・オブ・ザ・イヤーの10ベストカーに残っているようですが……、あのですね、それ理解できます、分かります。もう、RJCな人じゃないから言うわけではありませんが、トップに選ばれてもいいモデルだと思います。明後日ですな、その結果が分かるのは。  とにかくですね、すべてが素晴らしい。振り返ってみると、BMWは、2014年にリリースしたi3において、革新的かつ大胆なパッケージングを提案していました。そこには、奇を衒った感があったものの、パッケージング含めて、EVってこうなるんだというワクワクがありました。そして、あれから8年が経過した今、このiXには、EVがもたらす近未来をもっと身近にしてくれた、そんなドキドキが表現されていました。設えがね、最高級だということもあるんですが、乗り味にしても、ハンドリングにしても、室内パッケージングにしても、あ、EVになるってことは、こういうことなのか、を、誰しもに分かりやすく提案してくれています。  たとえば、乗り心地。テストドライブしたのは、iXのハイパフォーマンスモデルとなるM60で、タイヤサイズは275/40R22。ここまでのワイド大径タイヤ(ホイール)だと、多少どころか、はっきりとドタバタが出てきそうなものですが、ない、ない、ない。路面トレース性がすこぶる高いどころか、カーボンを組み合わせたボディは、もう剛性が高いどころではなく、ハコとなっており、サスペンションの動きがボディの歪みに乱されることなくダイレクトに伝わってくる。サスペ

#1746 スバル・クロストレック(日本仕様)の価格帯から見えている、今後の展開。

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 本日、スバルのクロストレック(旧XV)の日本での販売価格が発表されました。北米と比較すると、意識的に、それも相当に抑え込んでいますので、よくがんばりましたなぁ、といった感があります。一方で、予想どおりの価格帯にラインナップを広げたことは、少し前にリリースされたロッキーのOEMモデルであるREXの価格帯を意識したものでありながら、しかし、間が抜けてしまっているのも、また事実です。  右に表組み(税込金額)としてまとめましたが、眺めていただくと220〜250万円台がすっぽりと抜けていることが分かります。そして、さらに気づくのは、旧モデルの価格帯をカバーしているのが、新たに追加されたFFグレードであること。そうなんですね、このFFグレードには高くなったと感じさせない役割がありますし、もし、それに気づかれたとしても、機能、装備充実を謳うことで、価格アップをフォローできるという、理由付けまでしっかりと織り込まれています。まぁ、それは、事実であり、スバルらしい価格体系とも言えるもの。いずれにしても、その間の空いてしまった価格帯には、後々に、いや、近いうちにか、なにか突っ込んでくることは明白です。それが、ロッキーのターボモデル(4WD)なのか、クロストレックのガソリンモデルなのかはわかりませんが、クロスオーバーモデルとして何かがないとおかしいラインナップになっていることだけは確か。言い換えると、このBセグメントクロスオーバーゾーンはボリュームゾーンですから、抜けたままにはいかないはず。トヨタから、ヤリスクロスを借りてくるとも思えず、さてはて、どうするのでしょうかね。  そうそう、クロストレックの日本仕様は、やはりサスペンションを専用にしているようで、全高1550mmを守ってきました(ルーフレールなどない仕様)。さすがに乗り味に固さは残っていないと期待してしまいますが、どうなんでしょうね。そのうちにレポートしましょうかね。

#1744 三菱eKクロスEV、日常でどこまで使えるか、どんな乗り方をするならオススメか、検証してきました。その3

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 自宅から湯河原まで出掛けましたが、その距離は80kmと少しですから、航続距離180kmを謳うeKクロスEVにおいてはそこそこに充電してあれば問題ないのですが、ないのですが、ないのですが……、あえて苦難を強いるのが吉田流。ということで、圏央道と小田原厚木道路を走って行けばいいものを、そもそも、下道派であることも手伝って、丹沢山麓にほど近いワインディング路を選びました。もちろん、アップダウンありです。ただ、この道をセレクトしたのは、途中にある道の駅に急速充電器があったから、そう、何かあっても対処できると考えたからでした。  ところがですね、標高のそこそこにある八王子からいくらか上ったとはいえ、どちらかといえば海岸線まで下り基調だったこともあってか、予想外の低電費となりました。自宅から約50km走ってわりと平坦な地へと出た際の記録ですが、バッテリー残量は63%もあり、この条件に近い感じで走れば満充電仮定で約165km走れることを示しています、簡単にいいますと。回生ブレーキを積極的に使うBモードをセレクトしていたことも多少なりともプラスになったのかとは思いますが、それにしてもね、ワインディングを、そこそこに快調に走りゆく軽トラックについていっての数値ですから、そういった意味でも驚きがプラスされました。で、結局のところ、途中の急速充電スタンドは利用せず、そのままに相模湾へと出て、湯河原までは充電せずに到着しました  そして、湯河原まで来たならば、大観山まで県道(無料)を利用して上ってみようということになり、湯河原の美術館にあった急速充電スタンドを利用して充電した後に、いざ、アタック。ただ、アタックといっても、法定速度以上は出さず、穏やかなロールを愉しみ、そして、後方からのバイクや走り屋さんには、すんなりと道を譲るドライビングスタイル。上では少しスピードを乗せて爽快に走って、下りは都合によって上りよりさらにのんびりドライビングを行ったところ、85%あったバッテリー残量は15kmを走行して61%になっており、標高差約1000mの上り下り(距離は15km)にバッテリー容量の24%ほどを要しました。これ、たとえ大観山のあたりに住んでいて、日々、湯河原まで降りてくるライフスタイルであっても、1往復は確実にできますし、アクセルペダルを踏み込んだ走りをしたとしても、少なくとも1往復は可能

#1743 三菱eKクロスEV、日常でどこまで使えるか、どんな乗り方をするならオススメか、検証してきました。その2

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 その後、自宅へ帰るために、千葉からアクアラインを利用して川崎へと渡ったわけですが、フルを目指して充電していなかったこともあり、八王子まで戻るにはどこかで充電しなければなりませんでした。調べると、アクアラインの海ほたるにひとつあるのですが、それこそ、戻りの観光客に巻き込まれそうだったので期待せずに通過し、川崎市内にある三菱ディーラーを目指しました。街道沿いにあるディーラーでしたが、時刻は20:30にも関わらず、真っ暗。といいますか、まぁ、ディーラーは閉まっている時間帯ですから、充電スタンドも真っ暗。あまりに真っ暗すぎて、ロープが張ってあるんじゃないだろうかと目を凝らすほどに見えないくらいに真っ暗。それでも、入って行くと「侵入」を検知されて照明オン(写真はその状況)。できれば、入ってからではなく、入る前からある程度照らしておいて欲しいなとは思うのですが、ただ、ムダな電力消費にもなりますから、あれでいいのでしょうかね。  とはいえ、やはり照明がなにもないディーラーへと入って行くのは少々怖いもの。男性でもこう思うわけですから、女性はなおさらのことでしょう。ちなみに、この真っ暗な中での充電は、以前、BMWi3で無料充電スポットを巡るドライブを行った際にも体験しています。あの時は、どこかの市役所でしたが、それこそ、入り口も分からなければ、スタンド場所も分からずでしたっけ。今回は、充電を開始してクルマを置いたままに、近隣のスーパー(徒歩10分ほど)へトイレと買い物のために出掛けましたが、途中、24時間、充電スタンドを開放している日産ディーラー(写真右上)を発見。もちろん、真っ暗でして、そう、三菱も敷地内に入るまでは、こんな感じの暗さでした。入り難いでしょ?  翌日は、湯河原に住んでいる知人を訪ねつつのドライブを予定していました。ですので、朝、出掛けにフル充電していこうと思っていたのですが、こういう面倒って、先延ばしするんじゃなくって、その日のうちにやっておくとラクチンだからと、自宅近くのENEOSへと立ち寄りました。ここ、普通のガソリンスタンドなんですが、なんと、急速充電スタンドもあります。さらには、この敷地の端にはミニストップ(スタンドとは経営は別)があり、充電時間をコンビニで過ごすことができるのです  このガソリンスタンドにコンビニやカフェがあるスタイル、最近、よく目にしま

#1742 三菱eKクロスEV、日常でどこまで使えるか、どんな乗り方をするならオススメか、検証してきました。

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 三菱からデビューしたeKクロスEVの動画の製作をしてみようと、素材をあれこれ撮影してあるのですが、どうつなげようか、どう表現しようかと、戸惑っており、いまだにアップできていません。いや、何もできていません。でも、考えたら、文字でもアップできていませんでしたので、とりあえずは文字でまとめてみます。そうすれば、動画を作るきっかけになりそうな気もしますので。車両のインプレッションは #1732 に残したとおり大絶賛です。バッテリーを含めたEVユニットによって増した車両重量が、シャシーにしっとりとした動きを与えていまして、軽乗用車が不得意としていたリアシートにおける乗り心地に大きく改善したところなんて、怪我の功名(といったら怒られそう)的で、こういう設え、すごく好きなアプローチだったりします。あ、パワーやレスポンスはいうまでもありませんな。とはいってもですね、いくら個々のスペックが優れていようとも、実際に、どこまで日常で使えるかは、数日試してみないとわからないもの。ということで、三菱のeKクロスEVを借り出して、あれやこれやとテストしました。  まずは、パワーユニットに関するスペックを。    駆動用バッテリー容量 ……  20kWh    充電時間 普通充電  ……  約8時間で満充電         急速充電  ……  約40分で約80%充電    一充電航行距離    ……  約180km(WLTCモード)    モーター出力     ……  最大トルク 195Nm  となっています。今回は、数日の付き合いになりますから、充電はどこかでしなければなりません。なので、いちばんのキーは、どこで、どのタイミングで、充電するか、にありました。で、まず確かめたかったのは、本当に約180kmも走れるのか、そこまで走れなくともどこまでその距離に近づけるのか、でした。借り出した後は、少しの下道を走った後にいきなり有料道路に乗った、つまり、電力消費の面では不得意とされる高速での走行を行うこととなり、少しの心配がありました。ただ、目的地までの距離は約40kmほど。ま、大丈夫だろうと、有料道路に乗ったらですね、途中チェックをすると、約20kmを走行したところで、バッテリーは12%減(バッテリー100%分に換算すると約167km走行可能)、目的地へと到着してみれば45.2kmを走行してバッ

#1741 乗用車用タイヤと違って、SUV用タイヤは走行シーンによって3タイプがあります、ってな、動画撮影。と、その裏話。ダンロップ・グラントレックシリーズ(MT2、AT5、PT3)の紹介。

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 夏に、もうひとつ動画の仕事がありました。当初、社内用もしくは販売店用の撮影だと聞いていたのですが、気付いたらYouTubeに公開されてようで、それを身近な人から教えてもらいました。ただ、特別に社内用向けを意識した語りをしていないので、一般公開されてもなんら問題はないのですが。動画の内容は、ダンロップのSUV向けタイヤであるグラントレックシリーズの3タイプの紹介でした。クロカンモデルに長く携わっていると、SUV用タイヤには大きく3タイプがあることをあらためて紹介したほうがいいと思うことがあります。なぜならば、これまでSUVに触れてこなかった人たちは、タイヤは、エコか、スポーツか、コンフォートか、で捉えるのがフツーであり、このSUV用タイヤの、走行シーンによってタイヤを選ぶという感覚を知らないからです。ということで、この手の解説は、いまさらでありながらも、続けねばならんことだもと思っています。ちなみに、同じくタイヤを紹介している #1737のタフト+ジオランダーX-AT では、MTとATの間に位置する毛色の変わったモデルをインプレッションしていますが、ああいった動画での語りも、前提として今回のような3ジャンルの説明をしたほうがいいなと、あらためて感じています。  さて、動画撮影の話を。撮影班は前泊してほかのシーンを撮影していたようですが、自分は指定されたとおり当日の朝に集合しました。なんか、先生みたいじゃん、とか思いつつ。で、撮影前に、開発者の方に助手席に乗っていただきあれこれと話をうかがいつつ、改めてのチェックを行いながら……、あれ、いつしか、撮影されていたという、そんな流れでした。動画の中で語った自分の意見は、脚色することなく素直に思った言葉であり、一方で、開発者とのやりとり部はあちらの回答を意識した質問を先に投げ掛けたりもしています。ということでビギナーさんでも分かりやすい内容としたのですが(企画の意図どおり)、この動画を目にした、うちの母親(自動車免許なし、クルマのこと知らず)がですね、視聴後に、ヨンク用のタイヤは3種類あるのね、と語っていたので、内容、構成についてはバッチリだったと思われます。  そのほかの撮影裏話としては、今回のカメラマンさん、これまでスチールで散々にお世話になっていた方なのですが、動画撮影は初めて。で、この人、自由に語ってください

#1740 ジープ・グラディエーター、すごくいいんだけど、ネックは価格。そうそう、八重洲出版のJeep spirit vol.2発売しました。

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 執筆したムックが発売の運びとなったようなので、そこで取材したジープ・グラディエーターの話を。このクルマですね、ラングラーのホイールベースをさらにストレッチし、アンリミテッド(5ドア)のラゲッジルームをばっさりと切り落としてそこをベッドにしてしまったモデルで、つまりは、ダブルキャブなピックアップトラック。ただし、その全長は5600mmもありまして、アンリミテッドでは4870mmでしたからなんと730mmも長くなっています。ちなみに、ホイールベースは3010→3490mmと480mmもストレッチされていますので、デザイン上ではなんかバランスに欠けるなぁといった印象もあります。ラングラーを見慣れていますしね。で、この全長、ドライビングという面では、乗りづらさを感じるだろうと思ったのですが、想像していたほどには感じない。そもそも、現行ラングラーは最小回転半径が小さくなっており、取り回しにそれほど苦労しないことも功を奏しているのでしょうな。とはいっても、全幅は1900mm近くありますので、狭い路地でのすれ違いなどには気を遣いますけども。あとは、時間貸し駐車場を探すのに苦労します。さらに、賃貸に住んでいる方は車庫証明を出せる駐車場を探すに苦労するでしょうね。  そんなグラディエーターですが、トラックゆえにどこまで不快さがあるかと思いきや、むしろ快適性にあふれていました。それはレギュラーモデルのラングラー以上かもと感じたほど。本来、ピックアップトラックのリアサスペンションは相当な荷重に対応させるためにリジッド式を採用し、そこにリーフスプリングを組み合わせるのが常。そして、荷重が掛かることを想定したセッティングが行われているために、空荷では、ひたすらにリアがはねてしまう、つまり、乗り心地がよろしくないものです。ところが、このグラディエーターは、ラングラーをベースにしているため、そうなのですよ、リアサスペンションにコイルスプリングを組み合わせたコイルリジッド式を採用おり、空荷であっても乗り心地が悪くない。そして、さらにはロングホイールベース化により直進性が高められていることはもちろん、それなのに曲がるじゃん、という、まさにフツーな感覚にあふれています。このあたりは、トヨタ・ハイラックスとは作り込みに対する考え方が大きく異なっているところで、あちらは、実用性を最優先したモデルであり、

#1739 頑固なスタンスはあいかわらず。でも、それが、このクルマの商品価値となっています。ってな、トヨタ・ランドクルーザー300系な話。

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 さて、いまさらのランドクルーザー300系のインプレッションです。試乗会にも参加せず、原稿依頼も来ずだったので、デビューから1年以上まったく触れていませんでした。ただまぁ、先代となる200系といいましょうか、100系、いや、80系、いやいや、60系から眺めてきた者(40系は試乗もたくさんしているけど、何か語れるまでの覚えがない)としては、また、200系で、さんざんに開発者インタビューをした者として、そして、その話を受けて未来を妄想していた者としては、あの乗り味は、予測の範囲だったとも言えます。もちろん、それは良い意味でのことですし、驚かされた部分もたくさんあります。  ステーションワゴン系のランクルは、乗用車のプラットフォームをベースにした高級カテゴリーのモデルと横並びに比較されてしまうようですが、ランクルは、オフ走破性あってのモデルですので、この最新モデルとて、オンロードにおける乗り心地がいいとは表現できません。いくらお上品に仕立てようとも、リアにリジッドサスを採用し、かつ大径サイズのタイヤを押さえ付けられませんし、つまり、とうてい彼らには追いつけません。  では、どこに価値があるのか、価値を見出せばいいのか、ってことになりますが、これこそ、比較すべきは先代であり、歴代モデル。残念ながら、ライバルと呼べるモデルは、今、存在していません。かつては好敵手がいたんですけどね。そういう観点で眺めると、いやー、すごいね、という価値をたくさん見出せます。まず、ボディサイズを大きく変えなかったこと、そして、ホイールベースを80系から変わっていない2850mmにしてきたこと。実は、オフロード走破性を語る上で重要となるのは、このサイズ感。とはいえ、すでに、もう、十分に大きくなりすぎているんですが、このカテゴリーは走破性だけではなく、人を運び、荷物を運びという役割があるので、もはや、このサイズのことを大きいとは言えない面もあります。日本で生まれたかもしれないけど、いまや活躍の場はグローバルですから。いわゆる、アメリカンフルサイズに到達していますが、それを超えようとしなかった。ホイールベースについては、走破性を狙うには短いに越したことはないんですが、先の居住性、もしくはオンロードでの走りを考えると、もう少し伸ばしたかったでしょう。でも、それをしなかった。固くなな部分であり、イマドキに迎

#1737 ダイハツ・タフトにジオランダーX-AT? と思ったけど、乗用車用に仕立てなおしていて、グーだったという話。

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 そういえば、8月におもしろい取材がありました。ダイハツのタフトに、いま、流行りのAT以上MT未満のタイヤをはかせて、インプレッションを行うという企画。これまでのSUV用タイヤは、街乗りメインなHT(ハイウェイテレイン)、ハードなオフロード走行を得意とするMT(マッドテレイン)、その中間のキャラクターをもつAT(オールテレイン)の3つに分けられていました。ま、その味付けは、ブランドによってさまざまなんですが、昨今ですね、見た目はMT的なアグレッシブさをもちながらAT的な乗り味を求めるという方が多いとかで、そこに注目が集まり、そういった商品が出てきています。MTよりは快適に乗りたいということから、そこにファッション的な意味合いを求めていることが見えてきますが、いずれにしても、かつてのように、あれだけオフ走破性が高いから日常性が犠牲になるのは仕方ないよね、といった、バーター的な感覚は受け入れられないようです。はい。  で、タフトの話。ま、クロスオーバーモデルですよ。どころか、乱暴にいいますとね、ロッキーと、タントと、ムーブキャンバスと、プラットフォームを共用する軽「乗」用車です。ですので、この手のタイヤ、特にLT規格のモデルを組み合わせと、あれやこれやと無理がダイレクトに顔を出してきます。ま、それを納得の上ではくならばいいのですが、それを知らないと、これないよなぁとばかりに後悔に直結しかねません。ところがですね、今回テストしたヨコハマのジオランダーX-AT(165/70R15)は、そもそもゴツゴツパターンなポジションにありながら、さらにはこれまではLT規格のみでサイズ展開されていたところを、このタフト(スズキ・ハスラーも)をターゲットとした165/65R15と165/65R15に限って、なんと、LT規格を外した設計となっていました。つまりですね、トレッドデザインはゴツゴツだけど、仕立ては乗用車向けとしたという、ひと昔前では考えられない作り込み方です。  で、で、実際にはいてみると、ブロックパターンゆえのロードノイズとパターンノイズが存在するのですけどね、すこぶる小さい。ちなみに、タフトは、軽乗用車としては異例ともいえるほどの静粛性を持っていまして、それでもキャビンにタイヤからのノイズが入り込んでくるんですが、耳障りじゃない。いうまでもなく振動もありまして、ペダルやステア

#1736 これ、今、求めている人多いと思うな、でも、いやらしさがあるんだな、ってな、スズキ・スペーシアベース。

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 記さねばならないネタは数多く、というか、多すぎてですね、収集が付かなくなっています。いちおう、出版社の経費で取材した内容は、出版物が発行されるまでは、ここでは書かずに、つまりは止めています。ということで、今日は少し時間もできたので、一気に放出しようかと。ということで、まずは、スズキのスペーシア・ベースから。  そもそも、軽自動車への注目が安いからという理由があるようですが、それが良いのか悪いのかはさておきですね、軽自動車であれこれと不可思議なクルマが登場しています。新しいアイディアから隙間を狙ったような商品まで。その中で、実用一辺倒であるはずの商用系を、乗用的に使おうという流れがひとつあります。これ、RVブーム黎明期のヨンクにあった流れでもあるんですが、あの時は、実用系が乗用系へとスイッチしていきましたが、今回の場合は、軽商用に乗用車的な要素を詰め込み、結果として、軽商用のままという、流れ。あ、ヨンクも最初そうだったか。  ホンダ・N-VANや、先日フルモデルチェンジを果たしたばかりのダイハツ・アトレーなどが、それ。ただ、いずれも商用であることをあえて捨てず、つまりは最大積載量を350kgとしており、N-VANではプログレッシブレートのバネを採用するなど、それなりに工夫しています。そう、正攻法からの工夫。ただですね、いずれにしても荷物を詰むことが前提なので、空荷だとなんだかんだいっても、LT規格のタイヤを組み合わせなければならないこともあって、乗り心地に固さが出てしまいます。ただ、周囲にもいるんですが、この手の軽商用バンを、荷物をフル積載することはないものの税制の面からリースで利用している方がいます。そういった方は、リアシートは使われるので4名乗車であることが多く、移動がメイン。つまり、荷物は積まない。ま、そもそも、人が4名乗車するのにあのリアシートはおかしいって話……、そう、商用車の基準と税制云々がおかしいんですが、ま、致し方ない。  このスペーシア・ベースは、アプローチとしては乗用車系のプラットフォーム(つまり、スズキでいうところのエブリイではなくスペーシア)をベースに、リアシートをエマージェンシィ的なタイプへと変更して4ナンバー化。スペースを得たラゲッジルームには専用ボードを備えて、机にしたり間仕切りにしたりといったアレンジを提供。リアシートはシンプルだけど

#1735 快適すぎるし、愉しすぎる。想像していたその先に到達していた、プジョー308。

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 続いては、プジョーの308について。グレードは1.5Lディーゼルターボユニットを搭載した、GT BlueHDiです。これまでのプジョーのディーゼルユニットに対しては、これといった特徴を感じず、いや、悪いという印象はないのですが、超、すげー、といった印象も持たずでした。ところがですね、この1.5Lディーゼルターボエンジン、すばらしくてですね、ビックリしました。というか、この最新型308ですね、すべてが素晴らしくて、驚きました。  まず、そのパワーユニットですが、実は、これを書きはじめるまでは、つまり、試乗したにも関わらず、排気量を2.0Lだとばかり思い込んでいました。低回転域でのレスポンスのよさにそこそこの排気量を想像していましたので、それこそ、超・意外。なんっすか、これ、って言葉遣いしたくなるほど(実生活では使ったことない)に意外でした。しかも、発進からの加速感の作り込みがジェントルすぎてストレスがありませんし、心地よさのある吹け上がり感と、強いトルクに裏打ちされたかのような安心感と、つまりは、そんな演出されたフラットなトルク特性に、もはやうっとりといった印象で、308も完全にプレミアムCセグメントへと移行したんだなぁ、なんてことを感じさせるものでした。それでいて、そこから先、つまりアクセルを踏み込んでいくと、その過渡域たる繋がりは、低回移転域で見せた豊かなフィーリングのままに、スポーティな速度域へと突っ込みます。そう、まさに突っ込むといった感なんですが、そこには暴力的な加速感、スポーティさはなく、お上品に突っ込んで行く、そんな不可思議があります。褒めてますよ、褒めています。  そして、このパワーフィールに見合った仕立てをしていたのが、シャシー。組み合わされていたタイヤはミシュランのプライマシー4 S1で、そのサイズはなんと225/40R18。サイズを知った時(タイヤを目にした時)には、完全に行き過ぎを覚えましたし、それこそちょっとした段差でホイール傷つけそうという、フィーリング以前にマイナスなイメージを持ちました。しかし、実際にはシャシーが実にしなやかでして、タイヤで衝撃をダイレクトに受けながらも、それを、タイヤとシャシーが役割分担をしていなす……、というよりは整えて、キャビンへと伝えてくる。まさに、なんじゃこりゃ、状態。ホイールを傷つけそうなんて、マイナスイメ