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10月, 2017の投稿を表示しています

#1561 奥能登にいました。今回は奥能登国際芸術祭が目的で、って話。その4

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  振り返ってみますと、#1560でも書きましたように、この手のイベントはアートによって、地域と人とが新しい関係を作りとか、結びつくことにひとつの意義があったことに気付きました。だから、アートの評価も様々でいい、アーティストの表現もいろいろでいい。でも、大切なのはアーティストの理解であり表現力、そして、見る者の受容性……、っていうと大げさか、ニュートラル加減といいましょうか、素直というフィルターをいかに意識するか。  上の写真は、廃線になった能登線の駅と線路とアートと。国鉄から第三セクター路線へと変更を余儀なくされてから、しばらくは走っていたようですが、12年前に廃線。そのままに残された線路やホームだけではなく、実は車両も線路に残されたまま、といった風景が奥能登では見られます。なんていうんでしょうかね、自分にとっては、観光ガイドに載っているスポットよりも、よっぽど奥能登らしい風景だと感じていました。で、今回、この線路を歩いたり、駅で当時使われていた券売機を目にしたり、過去の賑わいを聞いて、なんでしょうね、これ、懐かしいではなく、もったいないでもなく、こうして時代は移り行くことの儚さ、いや、違うな、儚いではなく、移り行くことの事実、違うな、……、えっと、まぁ、レイヤーとしてのヒストリーのひとつを感じ、なぜだか、心に温かさを覚えた、ま、そんな感じでした。  一方、右の写真のアートは、漁の網を扱っていた? 修繕だっけかな、ま、そんな会社の倉庫にて。中央にクレーンがあって、2フロアにしきられている、建物。現在は、倒産して、使われぬままに放置されていたのですが、そこにあったカゴやら網やらを使って、表現。かつて活躍していたクレーンに吊るされたランプが上下を繰り返し、その前に広げられたスクリーンに網やら、何やらの影を映し出すんですが、それら小物だけではなく、建物の鉄骨やら手すりやらも映され、ランプの上下によってカタチを変えていく。まさにですね、時の流れを強く感じさせるもので、しばし、足を止めてしまいました。  今回の奥能登国際芸術祭は、当初の来場者数を3万人と見積もっていたようですが、結果、6万人を突破。どこへ行っても、駐車場はほぼ満車といった感じ。ま、そこで感じたのは、この手のイベントは、やはり交通機関をどう利用するか。瀬戸内では渡し船だったようですが、ここ珠洲市では

#1560 奥能登にいます。今回は奥能登国際芸術祭が目的です、って話。その3

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 #1559では書ききれなかったので、こちらに分けます。屋内で表現されたアートよりも、屋外にある作品のほうに惹かれるのは、たんなる興味なのか、趣味なのか、好みなのか、よくわかりませんが、そんな傾向がありました。その最たるのが、#1559のメイン写真、そして、次がこの鳥居。日本海の海岸線は大陸から含めて漂着物が多く、そのため漂着神にまつわる言い伝え(寄神伝説)も数多く残っており、それを奉った寺社も多くあるとか。ということで、そんな歴史ある土地柄を表現したのが、この漂着物を使った鳥居。青空ではなく曇り空であったこともありますが、このモノトーンたるコントラストも、現代版、漂着神を奉っているかの場を作り出していて、岩場の荒々しさ含めて、神々しさの手前の雰囲気がありました。   と、屋外の作品がいいといいながら、実は屋内のアートに心惹かれたものもありました。それが、次のふたつ。ひとつ目は、珠洲市に伝わる揚げ浜式製塩法に刻まれてきたストーリーを表現したもので、実際に使用されていた砂取船を用いて、赤いアクリルの糸で紡ぐんだ空間を作り上げています。これがですね、手間かかっているな、という以前に、教室に足を踏み入れた途端に押し寄せる、なんていうんですかね、衝撃というか、ショックがあって、でも、押し戻されないで、足を踏み入れなきゃならんという、不可思議がありました。そして、隣の部屋で、地元のおばあちゃん(作者ではない)に揚げ浜式製塩法についてあれこれと訊いたんですが、これまで知らなかったあれこれを教えてもらいました。奥能登の外浦の海岸線って、昔、道はなかったそうで。ですから、輪島へ行くためには、海岸伝いに岩場を歩いていったそうで、そこで波にさらわれて命を落とした人もいたとか。いやはや。そう、まさに山椒太夫の世界ですな。そうなんですね、先ほどの砂取船は、陸路ではなく海を利用して輸送するための船だったと。でも、ここで疑問が。何故に砂を運ぶ必要があったのか、ということ。実は、塩をとるためには、輪島付近の河口の砂が理想だそうで。ならば、輪島で揚げ浜式製塩法をすればいいのでは? と思いきや、実は輪島にはそれに必要な平地が少ないことから、平地の多い珠洲(外浦)まで運んだのだそうです。そして、専売公社ができてからは塩の生産はできなくなり、そのほとんどは田んぼに転用したという歴史があったのだと。いや

#1559 奥能登にいます。今回は奥能登国際芸術祭が目的です、って話。その2

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 今日は存分にアート観賞三昧の予定でした。作品は全部で40弱、残りは20と少しだったので、ほぼ網羅できるかなと思いきや、途中で疲れ果てました。作品は市内のあちこちに点在しているんですが、って、市内ったって、広いわけですよ。能登ったって、海だけじゃなく、山もありますから、移動だけでひと苦労。しかも、それら作品も、すべてが自分の好みとは限らないし、理解しようにもいろんな意味で難しい作品もあったりして、そこで頭を使ったりすると、疲れを感じてしまう。昨日はアートって感じ方次第なんて、軽く言い放ちましたが、アートってなかなかに難しいです。いや、ほんとに。  実は今日はスタートから、いいアートが続いたもので気分爽快だったんですが、期待をしていた人里離れた地の作品がどうにもこうも期待から大きくかい離しており、その前に強烈にノイズを感じさせる作品があったこともあって、もはやクタクタに。遅い昼食を挟んで残りを……と思ったものの、もういいかなという気分になり、地元で揚がったブリを夕食用に買って15時頃には宿へと戻ってきました。考えたら、今回、部屋からの夕暮れを見ていないなと思ったこともありましたしね。  そういえば、作品巡り、コマ地図的な案内どおりに走ってはいきましたが、その道には、都会のドライバーがクルマがすれ違いできないと言い放ちそうな能登の山道も含まれており、ビックリされた方も多かったのではないか、と思われました。自分は、なれていますから、なんてことなかったんですけど。で、上の写真は、細い道に入る手前にて。  というわけで、ここからは心に何か響いたアートを。まず、いちばん上の写真、クルマと共に写っていますが、意外にこれができなかった。って、まぁ、来て分かったというか、巡って分かったというか、当たり前のことなんですが、クルマを一緒に撮影できるような位置にアートがない。そうなんですね、撮影しちゃいけないってんじゃなくって、作品のそばまでクルマで近づくことができない。ただ、この作品は屋外にあって、道路近くにあったことも手伝って、撮影、と。この作品、かつて砂浜に打ち上げられた破船やクジラが人々に吉祥をもたらしたという言い伝えをもとに、クジラと破船を一体化した構造物を表現したもの。流木で作られたというクジラの骨がなんとも言えないリアリティと鳥居的な役割かつ、包み込む感じを生み出してお

#1558 奥能登にいます。今回は奥能登国際芸術祭が目的です、って話。

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 東京モーターショー直前ですから、例年ですと仕事もひと段落しているはずでした。はずでしたから、早々に、能登へと来る予定を立てていました。ところが、友人の結婚式の話が飛び込んできて、日程を変更。そしたら、次は、例年東京モーターショーより前に発行されている本が、東京モーターショー一般公開日発行と、後ろへとずれ込み、さらに何故だか重なるように10月末締め切りの仕事が飛び込んできて、さて、能登行きはどうするよ、といった感じになったものの、変更に変更をして……、来てみました。まぁ、来週の分単位スケジュールを考えると、今回の強行軍に面倒を感じましたが、何かあるからと早起きして出掛けました。で、走っているうちに、ワクワク気分も出てくるかなと思ったものの、珍しくウキウキにはなれず。どうしたもんかと能登半島へと入ったところで、ようやくドキドキ感が出てきました。ま、そっからは、完全に能登モードへと突入。クルマの走りまで、スイッチが入ったかのように切り替わり……。  今回の能登行きは、奥能登国際芸術祭がきっかけでした。いや、アート系はまったくもって疎いので、この手のイベントは積極的に出掛けることはないのですが、まぁ、これも縁と思って、行動に移したわけです。このイベント、簡単にいいますと、地域に点在するアート作品(このために作られた)を見て回るもので、あちらこちらで開催されています。その奥能登版ってことですな。開催期間は今週末まで、もう終わりってことで人も多くみかけました。  で、今日は、行動時間に制限があったので、10か所とちょっとしか回れませんでしたが、アートの素人なりの結論としてはですね、アートってのは頭で考えなくていいのだなってことでした。その場に身を置いて湧き上がってくる何かを感じて楽しめばいいのだと。で、湧き上がってくるものっては、必ずしもあるものではなく、何も湧き上がってこないこともある、ことも、なんとなくわかりました。ふーむ、そうなんですね、と。  今日は、その国際芸術祭巡りだけではなく、無名塾の芝居も観てきました。能登は七尾に仲代達矢が作った能登演劇堂ってのがありまして、毎年、ここで公演を行っており、たまたま今回の能登行きと日程が重なったので、足を伸ばしてきました。いや、伸ばしてきたといっても、片道80kmあるんですが。で、実のところ、かなりの期待を持っていたのです

#1557 味を残しながら日常性も備えていた、ダイハツ ハイゼット トラック。

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 第45回東京モーターショーも、2週間後に迫り……、って、え? 2週間後? 2週間後ですか、そうですか……。なんて書き出しをしながらも、東京モーターショーとは直接関係ない話。ダイハツのハイゼットトラックのテストドライブをしてきましたって話です。最新型ハイゼットトラックは14年デビューですから、って、え? もう3年が経過しているの? チーフエンジニアにインタビューするためにダイハツ大阪本社まで出掛けたのも、もう3年前? と、考えると、月日が経過するその早さに改めて驚いたりする……、とここで書き出しに絡めたわけですが……。  というわけで、ハイゼットトラックの話。写真は、オフロードコースにてポーズを決めるハイゼットトラックの図で、このモーグルのほか、ヒルクライムも走らせてきました。ま、そんなシーン含めて、後日、掲載されますので、そんなあれこれはそちらに任せるとして、取材では語り切れなかったあれこれを、ここでは書いておきます。えっとですね、いいです。いや、軽トラックとして、いい設えをしています。いや、昨今の軽「乗」用車には届いていないところはありますよ、ありますどころか、性能のあれこれを横並びすると負けだらけです。ですが、走らないなりの愉しさ、あれこれの緩さにあふれていまして、これで十分、いや、これがいいという魅力に富んでいます。別に何かを積むとか、そんな実用性として求めているわけではないんですが、これがいい。  乗り味は、ハンドリングに曖昧さはありますし、タイヤの細さゆえのグリップ力不足もありますが、ありますけど、なんていうんですかね、グリップ感が分かりやすいし、無理をさせない安定方向への導き方にお節介感がないなど、つまり、それなりのリズムがあって愉しい。懸念である軽トラック乗り心地は、ストローク量を増やした印象はあまりないのですが、衝撃のいなし方にゆとりを与えていまして、ダイレクトにボディに伝わってくるゴツン感がなくて、とても好印象。やはり懸念のエンジンパワーも、低回転域だけではなく、中回転域もトルクがあって(いや、少ないけどさ)、その辺りを上手く使うと、パワフル(ターボのそれとは違うけどね)に走らせることができます。で、4ATがですね、そのトルクバンド(というほどではないけどさ)を上手く使っていて、これがいい。緩いけど、不足ないってバランスを、この4ATによって

#1556 制御プログラム書き換えで走りに輝きを取り戻した、我がフィエスタ。

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 この年末に、フィエスタとジムニーが車検を迎え、ついでにともに任意保険も更新となります。車検のタイミングだけではなく、保険更新のタイミングまでピタリと合わせたつもりはまったくないんですが、すべてがまとまってやってきます。それにしても、ともに我が家にやってきた時、それぞれの車検残りはフィエスタが1年半、ジムニーは1年だったのに、この年末まであっという間のことでした。久しぶりの2台持ちをしてきて感じたのは、意外にもジムニー1台でどうにかなるってこと。能登も往復しましたし……。ただ、だからといってフィエスタを手放すのも、寂しい限り……。  なんて悩みは続きますが、ここではフィエスタの話を。こやつ、昨今の輸入車ですから、例に漏れず、昨今のメンテナンスパッケージを標準装備しておりまして、最初の車検、つまりメーカー保証期間まで、オイル交換やら点検が無料という扱いになっています。なりますので、先日、サービス工場(元フォード、今は別会社、でも、場所も、スタッフも変わりなく)へと出かけ、点検とオイル交換をお願いしてきました。その際、何か不具合ありますか? と訊かれ、特に不具合と言えるようなこともなく、何もありませんと言葉にしたんですが、したんですが、デュアルクラッチの件を言うだけいっていることにしました。いや、トラブルではないんです、ないんですが、デュアルクラッチの世代が古いがゆえに、実は、フィエスタ、かなりぎくしゃくがあります。それは振動があるレベルは当たり前で、ターボのセッティングもあって、飛び出し感まであります。ありますが、この手のフィーリングは慣れていますし、アイドリングストップが付いていないこともあって、それほどまでの不満には思っておらず、むしろ許容範囲内だと認めていました。でも、ちょっと話をしてみたところ……、エンジン&トランスミッションの制御が新しくなったプログラムが出ているようで、それに書き換えてみるとのこと。おっと。言ってみるもんだなと思いつつ、書き換えてもらったらですね、変わった。戸惑いは消え、ショックも消え、エンジンオイル交換直後ってこともあって、3気筒らしさも抑えられ、エンジンフィールも実にスムーズなったりして。ちなみに、診断ではトランスミッション側にエラーはなく正常の範囲内。そうそう、学習機能のリセットも今回行われています。  サービス工場を出てから、ハ

#1555 なんでAppleがAppleであり続けるのか、製品に込められた想い、の話。

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 最近、諦めが先に立つようになって、というか、すべてにおいて前向きに行動することができず、一時的なものなのか、たんなる落ち込みなのか、よく分からないでいました。その流れから、何かを書く、つまり、伝えようという気力もあまりなく、意図的にではなく、自然に、ここも更新しなくなっていました。なんなんでしょうね、これ。年なんでしょうか、やっぱり。ただ、食欲もありますし、何もないと8時間は寝ていますから、疾患でないことだけは確かかと思いますが。 とはいいながら、ここのところ、刺激的なことが続いていて、たとえば #1553 にて書きました、9月のApple新製品発表会のKeynoteで、涙したって件、もひとつ。そのKeynote冒頭が切り出されてアップされていたので、ここに貼り付けておきます。  ま、Appleも企業ですから商売ありきではあることは分かっていますが、起業以前のそもそもの想いを、こうして改めて表現されてしまうと、なんていうんですかね、そういうことを知っているつもりで、実は忘れていたってことにショックを受けてます。そう、自分自身が忘れていたことにショックを覚えるわけです。なんでしょうね、これ。忘れっぽいだけなのか、年なのか。そして、自分にとっての、今に至るそもそもそもの想いを思い起こしてみたりするんですが、少し前に、とある編集部を去ることになった方と話をして、やはり、それを思い出したことがありました。以前も書きましたが、誰かに何かを伝える仕事がしたい、というもの。ただ、怏々にして、自動車雑誌業界においてはそれが二の次になっているような感じを受け、一度、外へと出たこともありますが、ま、伝えるという方法においては大きな違いはないし、何よりも、自動車ってのは、社会に必要とされかつ趣味性があり、それによって文化があるという、おもしろい素材であることを見出し、そして、また、この業界に戻ってきています。ま、出た甲斐があったってことなんですが。  って、なんだっけか。Appleだ。いろいろと書こうと思ったんですが、ここであれこれ解説しないほうがいいですね。なんのことだろうと、興味を持たれたらば、上の動画(今回のKeynoteの冒頭)をご覧ください。英語ですが字幕も出ますし、理解するに、そんなに難しくないと思いますから。

#1554 やんちゃっぷりを期待してしまった、スイフト・スポーツ。

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 スイフトスポーツ、そう、スイフトのスポーティバージョンの話を。価格と性能と考えると、モータースポーツの素材としてとってもいいポジションにあったと思います。思いますが、その一方で、スイフトスポーツを買ったらですね、何か手を加えなきゃいけない、そんな風潮があったような気がします。ノーマルのまま乗るのは気が引けるといいましょうか、そんな感じ。ま、事実、手を入れたくなる余地(ゆとり)があちこちにあったこともありましょうけども、なんかね、街中を走っているスイフトスポーツを眺めていると、そんなことを感じていました。ただ、スイフトには、スポーティバージョンとして、ヨーロッパの足回りテイストを持ち込んだRSがありますから、そちらが吊るしで乗る仕様と捉えると、スイフトスポーツは、まぁ、何か手を加えてもいいような気もしますが。と、そんなあれこれを考えたのは、お隣さんが現行型RSを購入したから。ちなみに70歳を超えた方。しかも、女性、と。年齢やら性別で云々ってことではなくてですね、あの、そうなんです、RSってグレードがそこまで広くにアピールできる、魅力を感じさせる、そんな時代になったんだななんてことを思うと、それもまたオモシロイものですが。って、まぁ、これまでもスポーティグレードを乗り継いできた方だったので、RSって選択は自然だったのでしょうね。  で、さて、前置きが長くなりましたが、最新型スイフトスポーツの話。現行型のベースポテンシャルの高さから、乗り味は想像できましたが、まったくもってその通りでした。とてもいい。ターボエンジンは低回転のトルクが豊かで、レスポンス、ラグ含めて、問題なし。そして、日常で、扱いやすいことなんのって、といいますか、日常は普通、アクセルを踏み込むとトルクが立ち上がり、パワーを引き出すといったフィーリング。なので、日常でも不足ありません、どころか、あのトルクを上手く使って走ったら、実用燃費かなりいいんだろうなと感じさせたほど。ただ、トルクが出ているという割には、欧州小排気量ターボのようなトルク感には届いておらず、トルク感としては薄いと感じたは何故だろうと感じつつ、最後までそれを見抜くことはできませんでしたが。あとですね、あまりにトルクがフラット過ぎて、6000回転でのブーストカットでは物足りなさを覚えます。そう、この先伸びて行きそうなのに、止められてしま