#1735 快適すぎるし、愉しすぎる。想像していたその先に到達していた、プジョー308。


 続いては、プジョーの308について。グレードは1.5Lディーゼルターボユニットを搭載した、GT BlueHDiです。これまでのプジョーのディーゼルユニットに対しては、これといった特徴を感じず、いや、悪いという印象はないのですが、超、すげー、といった印象も持たずでした。ところがですね、この1.5Lディーゼルターボエンジン、すばらしくてですね、ビックリしました。というか、この最新型308ですね、すべてが素晴らしくて、驚きました。
 まず、そのパワーユニットですが、実は、これを書きはじめるまでは、つまり、試乗したにも関わらず、排気量を2.0Lだとばかり思い込んでいました。低回転域でのレスポンスのよさにそこそこの排気量を想像していましたので、それこそ、超・意外。なんっすか、これ、って言葉遣いしたくなるほど(実生活では使ったことない)に意外でした。しかも、発進からの加速感の作り込みがジェントルすぎてストレスがありませんし、心地よさのある吹け上がり感と、強いトルクに裏打ちされたかのような安心感と、つまりは、そんな演出されたフラットなトルク特性に、もはやうっとりといった印象で、308も完全にプレミアムCセグメントへと移行したんだなぁ、なんてことを感じさせるものでした。それでいて、そこから先、つまりアクセルを踏み込んでいくと、その過渡域たる繋がりは、低回移転域で見せた豊かなフィーリングのままに、スポーティな速度域へと突っ込みます。そう、まさに突っ込むといった感なんですが、そこには暴力的な加速感、スポーティさはなく、お上品に突っ込んで行く、そんな不可思議があります。褒めてますよ、褒めています。

 そして、このパワーフィールに見合った仕立てをしていたのが、シャシー。組み合わされていたタイヤはミシュランのプライマシー4 S1で、そのサイズはなんと225/40R18。サイズを知った時(タイヤを目にした時)には、完全に行き過ぎを覚えましたし、それこそちょっとした段差でホイール傷つけそうという、フィーリング以前にマイナスなイメージを持ちました。しかし、実際にはシャシーが実にしなやかでして、タイヤで衝撃をダイレクトに受けながらも、それを、タイヤとシャシーが役割分担をしていなす……、というよりは整えて、キャビンへと伝えてくる。まさに、なんじゃこりゃ、状態。ホイールを傷つけそうなんて、マイナスイメージはどっかに吹き飛んでいました。で、ステアリングフィールも、小径ステアリングホイールの採用からクイック感を想像しますが、たしかにクイック感存分なんですけどね、コンフォート感とスポーティさをジャストフィールといわんばかりにバランス。そうなんですね、とにかく、パワーユニットも、シャシーも、「速い」。ついでにいえば、ブレーキも「速い」。ブレーキというと効きがよいことだけを評価軸にしている方がいますが、ここでは、それとは異なります。あのですね、市街地でのブレーキングですら、4輪がすっと沈み込むんですよ。あのスタンスの作り方はさすがプジョーといった感がありました。そして、いうまでもなく、ワインディングもとんでもなく気持ちよく駆け抜けられるんですが、さすがは4輪独立懸架サスと思いきや、リアは、なんとトーションビーム式? って、これもまた、なんで、こんなにリアを踏ん張らせることができるのだい? そして、このコーナリングでのスタンスはなんなのだ? と思わせる、フランス車の不可思議があちこちに見ることができます。まぁ、相変わらず、とも、言えるところですが。


 さらにはシートがですね、このクラスとしては上出来。簡単にいいますと、でしゃばった感がないのに、存在感がある、という不可思議を特徴としています。クルマを評価する上で、ずっと運転していたいという使い古された表現がありますが、このシートはですね、それに準えると、ずっと座っていたくなるもの。ヨーロッパフォードのそれとはまた異なりますが、サポートするポイントをしっかりとわかっていて、プジョーはそれを抑えているんですよね、いやはや、びっくりしました。そして、そんなシートのよさに感激していると、つづいて小径ホイールを組み合わせたi-Cockpitに気付きます。なんでしょうね、このもはや違和感を覚えさせず、しっとりとインテリアの中にたたずんでいるといった感じは。そうなんですよ、違和感ないんです。クルマにあまり詳しくない方がシートに座ったら、このコクピットの何が異なのか、すぐには理解できないんじゃないかな、というぐらいに、仕立てられています。

 と、褒めまくりなプジョー308ですが、ひとつだけ苦言を呈するとすれば、タイヤからのロードノイズの処理に難があると感じました。そもそもの遮音性がすこぶる高くなっているのはいいことなのですが、タイヤから発生しているノイズの一部音量だけがキャビンに通過してきてですね、速度域が上がってくると、それが、何かが弾けているかのような音質で飛び込んでくる。こういう音質との対面は初めてのことなので、驚くとともに、その存在だけで、購入選択肢から落ちてしまうかも、と思ったほどでした。録音してみたんですが、伝え辛くてなんとも表現できないのですが、イメージとしては、口に入れるとパチパチと弾けるお菓子があったじゃないですか、あんな感じ。って、そのもののパチパチ感があるわけではないんですけどね。いずれにしても、人によっては気になるサウンドなので、購入を考えている方は試乗して確認を。すごくいいタイヤなんですけどね。組みわあわせがね、という話です。
 ということで、輸入車Cセグでは、現在のイチオシじゃないでしょうか。ルノーのCセグ? んー、メガーヌ、忘れているなぁ、今一度乗ってみましょうかね。ルノースポールじゃない仕様に。ただですね、ジャンルを超えると、やっぱりですね、BMW2シリーズクーペの仕上がりが凄すぎてですね、霞んじゃうかな、といった印象もありますな。

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