#1755 軽商用車で、縦置きCVTを採用した、ダイハツ・アトレーとハイゼットトラックの話。


 クルマの、喫緊の課題である、いや、命題となっている、燃費と環境性能の向上は、もはや、良いほうがいい、ではなく、ひと銘柄ごとではなく、自動車メーカーとしてトータルで下げなければならず、どのメーカーも苦慮しています。そんな観点もあって、FR系の軽商用車の2ペダルトランスミッションについては、はたして、どうしていくのか、各社で提案が行われています。

 スズキは2014年に、2ペダルトランスミッションとしてASG(オートギアシフト)を組み合わせたものの、あの間を与えるシフトフィーリングに共感を得られず、現在ではキャリイではATのみに。といっても、黙っているわけではなく、ほかモデルのASGには、その空白の間をモーター駆動でアシストし、フィーリングとしては、上手く消し去っています。商用車に対応できないのは、耐久性やらの面で、まだ課題が残っているから、でしょうな。では、ダイハツはどうしたかといえば、一昨年暮れのフルモデルチェンジで縦置きCVTを発表。どこまでラフな使い方に対応できるのか、燃費はどう変わったか、ということで、軽トラックのハイゼットトラックと、パーソナルユースをターゲットとしたアトレー(今回すべてが4ナンバー化)をテストドライブすることにしました。それにしても、つい先日発売されたばかりと思っていましたけど、気づいたら、発売から1年以上が経過していたようで……。ちなみにハイゼットトラックは、CVTを組み合わせたついでにあれこれと改良を行った、いわゆるビッグマイナーチェンジ、アトレーはフルモデルチェンジという扱いとなっています。

 肝心なCVTたるフィーリングはですね、これまで組み合わされてきた軽乗用車では、乗用ゆえに、パワーユニット、ドライブトレインからのノイズがキャビンへと伝わりづらくされていましたが、こちらは、キャブオーバー、セミキャブオーバーレイアウトゆえに、ダイレクトにキャビンへと侵入してきます。低回転域でのトルク感、ダイレクト感を求めて、ローギアードにした設定もあるんですが、それよりも中回転域以降のノイズが急激に盛り上がりまして、意識的にアクセルペダルを踏み込んでいると少々気恥ずかしさを覚えるほど。ただですね、トルク感はかなりなもので、まさにグイグイと走って行くフィーリングがあり、頼もしさを覚えたほど。ま、空荷状態とはいえ、比較しなければターボはいらないかなと思えたほどでした。

 そのほか、印象に残ったのは、新たにDNGAアーキテクチャを採用したアトレーはですね、シャシーの動きにストレスがなくなっており、ストローク量が少ないなりに、コーナリングでは、フロントに荷重を乗せて、ブッシュのゆとりを使い切るかのように、グイっとステアリングを切り足すと、フロントがしっかりと沈み込みつつ、リアが踏ん張るという、スタンスを披露してくれます。そこには、145幅というタイヤながら、倒れそうという不安を感じさせないバランスが作り上げられており、これも好印象でした。ただまぁ、惜しむべきというか、仕方ないとはいえ、LTタイヤを組み合わせているところに、イマドキなレジャー向きを謳うには少々無理があるんじゃなかろうか、と思ったのも、また、事実。

 試乗したハイゼットトラックは、最上級グレードゆえにリーフスプリングが4枚におごられており、オートモードを備えた4WDを搭載し、さらには、CVTながらもデフロック機能を設定するなど、なかなかのこだわりようをみせていました。ちなみに、4WDのオートモードは、必要な時だけリアへと駆動を配分するとアナウンスされていますが、通常からフロントにもトルクをかけているようなステアリングフィールがあります。ゆえに、風が強い時といった、真っすぐ走らせるのが難しい時にも多用できるんじゃないかと思った次第でもありますな。

 ハイゼットトラックについて、ディーラーへと見に来られる方々はCVTになったことを知っているとか。そうか、やっぱり敏感なんだなぁ、と思っていたら、その多くは、他銘柄のお客さんだとか。つまりは、ハイゼットトラックユーザーの多くは、そのことをあまり知らない(興味がないのかな?)のだそうで。言い換えると、この後、そこに掘り起こし需要があるなぁ、とも感じました。それにしても、軽トラックに、Apple CarPlayですか、いい時代になったもんだなぁ、とつくづく思ったりもしました。

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