#1737 ダイハツ・タフトにジオランダーX-AT? と思ったけど、乗用車用に仕立てなおしていて、グーだったという話。
そういえば、8月におもしろい取材がありました。ダイハツのタフトに、いま、流行りのAT以上MT未満のタイヤをはかせて、インプレッションを行うという企画。これまでのSUV用タイヤは、街乗りメインなHT(ハイウェイテレイン)、ハードなオフロード走行を得意とするMT(マッドテレイン)、その中間のキャラクターをもつAT(オールテレイン)の3つに分けられていました。ま、その味付けは、ブランドによってさまざまなんですが、昨今ですね、見た目はMT的なアグレッシブさをもちながらAT的な乗り味を求めるという方が多いとかで、そこに注目が集まり、そういった商品が出てきています。MTよりは快適に乗りたいということから、そこにファッション的な意味合いを求めていることが見えてきますが、いずれにしても、かつてのように、あれだけオフ走破性が高いから日常性が犠牲になるのは仕方ないよね、といった、バーター的な感覚は受け入れられないようです。はい。
で、タフトの話。ま、クロスオーバーモデルですよ。どころか、乱暴にいいますとね、ロッキーと、タントと、ムーブキャンバスと、プラットフォームを共用する軽「乗」用車です。ですので、この手のタイヤ、特にLT規格のモデルを組み合わせと、あれやこれやと無理がダイレクトに顔を出してきます。ま、それを納得の上ではくならばいいのですが、それを知らないと、これないよなぁとばかりに後悔に直結しかねません。ところがですね、今回テストしたヨコハマのジオランダーX-AT(165/70R15)は、そもそもゴツゴツパターンなポジションにありながら、さらにはこれまではLT規格のみでサイズ展開されていたところを、このタフト(スズキ・ハスラーも)をターゲットとした165/65R15と165/65R15に限って、なんと、LT規格を外した設計となっていました。つまりですね、トレッドデザインはゴツゴツだけど、仕立ては乗用車向けとしたという、ひと昔前では考えられない作り込み方です。
で、で、実際にはいてみると、ブロックパターンゆえのロードノイズとパターンノイズが存在するのですけどね、すこぶる小さい。ちなみに、タフトは、軽乗用車としては異例ともいえるほどの静粛性を持っていまして、それでもキャビンにタイヤからのノイズが入り込んでくるんですが、耳障りじゃない。いうまでもなく振動もありまして、ペダルやステアリングからも伝わってくるんですが、思ったほどにマイナスに感じない。いちばん驚いたのは、トレース性がすこぶる良くてですね、センター部の剛性をしっかりと確保していることもあって、ハンドリングがすごくいい、というか、とんでもなくいい。なんだ、この接地感はと思ってしまうほどにいい。なので、ワインディングがとんでもなく愉しい。で、この手のタイヤでいちばん気になるのは、ウェットシーンなんですが、試した人(バイクでサーキットを走ってた方)によれば、止まらないといった印象はみあたらずとのこと。いやはや、いやはや、驚きでした。ちなみに、テストしたのはタフトの標準サイズよりもひと回り大きいサイズでしたが、インナーフェンダーに当たることなく、はけてしまいました。タフトって、ひょっとして、そこまで考えて設計しているのか? と、思ってしまったほどで、それもまたオドロキのひとつでした。
ということで、その取材をまとめたのが下記のYoutubeとなります。軽自動車という括りでの企画でしたが、ただ、タフトのところがああなるとは想像できず。それゆえか、ほかと比較するとしゃべりのトーンが違うし、固さがあったりして。で、仲の良い編集者に見てもらったところ、やっぱり、ヨシダは対話形式がいいね、という意見もありました。あ、裏話としては、すごく暑い日のことでしたし、移動距離が多くて疲れましたってのと、まとめコメントを取らねばならないー、でも、陽が落ちてしまうー、ってのに、収録を目論んでいた地ではセミが大合唱。見どころの裏テーマとしましては、ディレクターがどこまでセミの声を抑えてくれたか、ってところでしょうか。ま、それも含めて、取材は、とっても愉しいものでした。こういう取材を続けていきたいな、と思ったりもして。