#1744 三菱eKクロスEV、日常でどこまで使えるか、どんな乗り方をするならオススメか、検証してきました。その3


 自宅から湯河原まで出掛けましたが、その距離は80kmと少しですから、航続距離180kmを謳うeKクロスEVにおいてはそこそこに充電してあれば問題ないのですが、ないのですが、ないのですが……、あえて苦難を強いるのが吉田流。ということで、圏央道と小田原厚木道路を走って行けばいいものを、そもそも、下道派であることも手伝って、丹沢山麓にほど近いワインディング路を選びました。もちろん、アップダウンありです。ただ、この道をセレクトしたのは、途中にある道の駅に急速充電器があったから、そう、何かあっても対処できると考えたからでした。

 ところがですね、標高のそこそこにある八王子からいくらか上ったとはいえ、どちらかといえば海岸線まで下り基調だったこともあってか、予想外の低電費となりました。自宅から約50km走ってわりと平坦な地へと出た際の記録ですが、バッテリー残量は63%もあり、この条件に近い感じで走れば満充電仮定で約165km走れることを示しています、簡単にいいますと。回生ブレーキを積極的に使うBモードをセレクトしていたことも多少なりともプラスになったのかとは思いますが、それにしてもね、ワインディングを、そこそこに快調に走りゆく軽トラックについていっての数値ですから、そういった意味でも驚きがプラスされました。で、結局のところ、途中の急速充電スタンドは利用せず、そのままに相模湾へと出て、湯河原までは充電せずに到着しました

 そして、湯河原まで来たならば、大観山まで県道(無料)を利用して上ってみようということになり、湯河原の美術館にあった急速充電スタンドを利用して充電した後に、いざ、アタック。ただ、アタックといっても、法定速度以上は出さず、穏やかなロールを愉しみ、そして、後方からのバイクや走り屋さんには、すんなりと道を譲るドライビングスタイル。上では少しスピードを乗せて爽快に走って、下りは都合によって上りよりさらにのんびりドライビングを行ったところ、85%あったバッテリー残量は15kmを走行して61%になっており、標高差約1000mの上り下り(距離は15km)にバッテリー容量の24%ほどを要しました。これ、たとえ大観山のあたりに住んでいて、日々、湯河原まで降りてくるライフスタイルであっても、1往復は確実にできますし、アクセルペダルを踏み込んだ走りをしたとしても、少なくとも1往復は可能だろうし(推測)、さらに、下に来た際に充電するスタイル(普通充電を備える含む)を作り上げれば、急坂を上って帰れるわけです。余裕をもって、1日1回は充電を行うことを苦と捉えないならば、また、帰宅時に自宅で普通充電を行えば、まったくもって使えると、評することができます。

 ただ、いずれにしても気になるのは、出先で急速充電スポットがどのぐらいあるか。調べたところ、湯河原地域には4つ(タクシー会社敷地内ほか、民間美術館、町立公園、町立体育館)ありますので、なんとかできます。なりそうじゃなくって、できます。ちなみに、お隣の熱海では、少し離れたところを含めると3つ(ホテル2つ、コンビニ1つ)「しか」なく、いずれも自由に使えることを謳っているとはいえ、観光客が大挙する時期の利用にむずかしさを想像できます(2022年11月調べ)。
 そうなんですね、観光地って、その市町村によって、急速充電スタンドを揃えるか、揃えないかというスタンスが明確にありまして、この熱海市と湯河原町のような違いになって現れています。最後に充電したのは、湯河原町立体育館がある駐車場にて(写真左上)。といっても、そこはJCHOな病院施設と、養護学校や作業所がまとまられたところ。ゆえに駐車場も広々としていました。んが、前のページ(#1743三菱eKクロスEV、日常でどこまで使えるか、どんな乗り方をするならオススメか、検証してきました。その2)で述べたとおり、公共に充電スポットをおいても、民間のように充電時間を過ごせる施設を用意していないところに残念を感じるのもまた事実。自動販売機ひとつじゃね。ま、役割が違いますから、いいのか、いまのところは。

 ということで、湯河原に住むのだったら、EVのあるライフスタイル、ありだと思います。この街だけで完結しますし、たまに、隣町へ出掛けるに十分に使えます。で、結論をまとめるまでもなく、三菱のeKクロスEV(日産のサクラも同様)は、日常でも、少しの非日常的な距離でも、使える性能をしっかりと作り込んでいます。ただ、万人が文句を言わないような仕立てには届いていません。そこをどう捉えるかで、その価値は大きく変わるモデルです。ですので、もし、興味があるならば、借り出して、日常シーンを走って試してみることが肝心です。そして、自分の日常に則しているかの判断はもちろんなのですが、もうひとつ、何よりも求められるのは、自ら、「苦」も愉しんでしまえるスタンスをもっているか、どうか。そこを愉しめる人は、このクルマをとことん愉しめると思います。

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