#1753 とんでもないどころの騒ぎではなかった、BMW2シリーズアクティブツアラーの話。  


 BMWの2シリーズアクティブツアラー、いわゆるモノスペースで、BMWとしてはボトムとなるFFプラットフォームをベースにしたしたモデルがですね、フルモデルチェンジをしましてね、昨年末に日本に上陸したんですけどね、ま、たいしたことないだろうと見ていたわけですけどね、これがですね、ぼちぼち試乗しておかねばと借り出してみたらですね、とんでもないを超えて、とてつもないクルマになっておりました。と、ここまでは走りに関するパートの話。

 で、どう、スバラシかったかというとですね、走り出しからの路面トレース性がすこぶる高くてですね、ハンドリングはFRかのような素直さが「演出」されていましてね、その上で、コーナリングではFRっぽいリアの踏ん張りが表現されていてですね、ディーゼルエンジンは低回転域から十二分でフラットなトルク特性を与えつつ太いトルクをきれいに出力してくるんですよ。もう、そのバランスたるや、「なんじゃこれ」、状態。そのまんまで、スポーティであり、そのまんまで、超快適。乗りはじめは、日常域ではタイヤの固さが気になりましたが、それもまぁ、とんでもない速度域においてフラットフィールを作り上げるために、必要だったことだと知ると、まったくもって、マイナスと表現したくないものでもあります。

 と、驚きだらけでしたが、そのほか印象に強く残ったのはシートポジション。すっとフットレストに左足を乗せて、おケツをシートにククッと押し付けると、これが、もう腰からつま先までが心地よいほどにシートに馴染み、背筋を伸ばして座るポジションを、半ば強制されます。そう、クルマから。まさに、馴染む感じとばかりに。というように、このモデルには、もはや、コンパクトだから、FFだから、という言い訳が見当たりません。いや、見当たるけど、気にならない。というぐらいに、いい。試乗したのはディーゼルモデルでしたがエンジンノイズの遮音にしてもですね、すこぶる高くてですね、ドライバーですらついついディーゼルエンジンだったのを忘れてしまうほどに、その燃焼音が抑えられている。いや、耳障りな音域がしっかりと消されている。もちろん、踏み込めばそれなりに伝わってきますよ、きますけどね、絶品。というか、3シリーズより静かじゃないか? と思えるほどに快適でした。

 ただですね、このモデルからBMWの新提案があれこれとありまして、その仕立てにEVへの過渡を感じさせまして、それが良くも悪くも特徴になっているかな、と。たとえば、ギアを任意にセレクトできるデバイスが消え去ったこと、タコメーターを目にする機会が減ったこと、センターコンソールにあったダイヤル式のセレクターはタッチ操作へと変更されたこと、などなどなどなどなど……。その中でも、ギアセレクターが消えたことは、それはBMWとしてやってはならんことだったのでは? と問いたくなるほどのもので、これは、ブレーキを踏めってことか? と思ってしまいます。と言いつつ、グチグチ言いながらもドライビングしていると、ワインディングにおいて、あれ、先の道筋を判断してシフトを切り替えていないか? とか、そのままアクセルを踏んでいても(ブレーキングしなくても)不安感を与えないままにコーナーを抜けてしまうぞ、とか、ドライバーは余計なことをしなくていい仕立てがされていることに気づきます。もちろん、完璧ではないんですけども、BMWが次に目指そうとしている走りが次のステップにあることを、そこに見出せます。不完全ゆえに賛同はできませんけれども。

 そういったマイナスと感じたところも、プラス「っぽく」捉えられるようになってくるとですね、空走感が相当に強くなっていたコースティングに対しても、ずいぶんとがんばって作り込んだね、と、褒めてあげたくなります。あとは、もう、これ、Mスポーツいらないでしょ、と、思いました。これ以上のアジリティを与えてどうするよ、といった感じ。しかも、モノスペースだし……。と思ったものの、ヤツはヤツで、相当な仕上がりだったりするんでしょうな、こりゃ。

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