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#1754 毎月訪れても、次から次へと、発見と出会いがあふれ出てくる、奥能登紀行。

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 1月に奥能登へと出掛けてきました。1か月ごとに訪れていますが、もはや、意図的です。いや、滞在しているうちにですね、また、来ようと思ってしまうのですよ。まさに、ループにはまって抜け出せないかのような感じで。で、前回は、人に会って、話をするを、テーマとしたところ、体力的どころか、精神的に疲れてしまった日がありましたから、今回は、ほんとうに予定をいれずに出掛けました。ただ、心地よさそうな美容院を見つけていたので、今回はそこへ行ってみようとだけ、思っておりました。  その美容院、海岸線を走っていた時に見つけました。そこは、海側に腰ぐらいの高さの堤防があるだけで、目の前がバンっと開けた海岸の陸側に何軒か並んだ「集落」で、もう、目にしただけで、心地よさそうな雰囲気にあふれていました(写真右)。海を眺めながらカットしてもらっている自分の姿を簡単に想像できるような店舗なのですが、懸念はふたっつありました。ひとつ目は、美容院なのでオジサンにとっては、足を運ぶには気が引けること、そして、高そうなことでした。でもですね、能登に到着して現地の方々に訊いてみたら、実は高くはないという話を聞いて、これは行ってみなければと思ったものの、なんと予約が取れない、という、想定外な事実が発覚しまして。その地域、集落といっても、それほど戸数は多くありませんし、また、奥能登の外浦(日本海側)ゆえに、住まう人も多くなく、行き交う人を目にすることなどほとんどないところだったので、オドロキでした。聞けば、地元の方々から絶大な人気を集めてしまっているようで、開店から1年で、もう、捌き切れないほどの人気店となっていたようです。で、ひとりですべてをこなしていらっしゃっていること、午前中は別枠に時間を割いていることもあって、予約は2週間先まで埋まっていることもざらとか。自分は、5日しか滞在しない予定だったものですから、こりゃ、カットしてもらうのは無理かも、いや、無理だ、と、思いつつ、とりあえず、電話をしてみたほうがいいと言われて、連絡してみたところ……。あら、明日の16時からどうぞ、という運びになりました。  で、出掛けてきました。美容師さんは、釣りと海とが好きな方でした。石川県金沢市出身で、金沢で経営していた美容院を奥さんに任せて、自身は、奥能登で悠々自適なライフスタイルと仕事を愉しむために、単身で移り住んでしまった

#1752 没にしたほうの写真が良かったかなぁと、迷ったままに、新年を迎えた、年賀状の話。

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 さて、年が明けたようなので、今年も年賀状の補足から。といいつつ、この年賀状、誰も目にしていません。なぜならば、印刷していないからです。でも、印刷所には依頼しました。ん? どういうこっちゃと思われるかもしれませんが、実は、2案ある写真から1案を選んで印刷所に依頼して上がってきたものの、ボツにした写真のほうが味があったなぁ、印刷しなおしてもらおうか、でも、時間がないしなぁ、と思っているうちに、元旦を迎えてしまったからです。つまり、上の画像はそのボツ案でして、そうなんですね、印刷されていません。ちなみに、印刷されたほうはポストへと投函したのか、といえば……、そんな理由もあって、1枚も出していません。  振り返ってみると、年賀状に写真を使うようになったのは、たぶん、仲の良いプロカメラマンさんに、インプレッサWRXSTiを撮影してもらってから。ちゃんとした写真でしたから、ちゃんと印刷所に出して、しっかりと印刷してもらいました。97年ぐらいのことかな。ということで、その被写体はクルマからスタートしているんですが、やがて自分の後ろ姿シリーズへと移行し、再び、クルマへ。ただ、背景も写しこんでいたので、風景も重要な要素に。ところが、昨今、出掛ける先が固定してしまっていることもあって、今年は後ろ姿シリーズに戻そうと企んでいたのでした。ちょうど、昨年末から、新しいことを始めようと決意したところもありましたしね。  この没案ですが、こうして見ると、先を見据えている感じがあるし、右足つま先が持ち上がっているのもなんとなく雰囲気があるし。ちなみに、ズボンがヨレヨレなのは、替えを持って行くのを忘れた上に、途中、洗濯しなかった(ほかの衣類は洗濯したのに)ためです。それもまた、この写真を使おうかどうか、迷ったところでもありました。

#1751 いまさら富士山、やっぱり富士山、ひとそれぞれにもっている印象が異なる、富士山な話。

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 富士山が眺められるところへでかけてみたいというリクエストをいただいたので、それに応えるべく、土曜日に出掛けてきました。土曜日のドライブは久しぶりのことでしたので、そうか、この時間に、ここを先頭に渋滞するのか、ETCは休日割ってのがあるのか、といった発見があり、平日ドライブとは全く違う世界を思い起こすように出かけてきました。まぁ、振り返ってみると、昔は、週末に出掛けて帰りの渋滞までイベントと捉えて愉しんでいたなぁ、ななんてことも、思い起こしたりもしましたが。  というわけで、富士山を眺めるドライブですが、まずは忍野八海へ出掛けてみたいというので、そちらから。ただ、よくよく考えてみるとしっかりと訪れたのは、取材で1度きりで、案内できるほどの情報を持ち合わせていないことが発覚。忍野八海の場所もなんとなくという感覚でしか捉えておらず、検索してしまったりして。ただ、あちこちととスポットを語っていて気づいたのですが、自分は、富士山周辺に疎いわけではなく、むしろ、ある面では詳しすぎるほど。そもそも、富士山麓で生まれ落ち、富士山が見える地で育った者ゆえでもあるんですが、取材で散々に訪れていたことが、その理由。んが、富士山と距離があるところで育った方には、あれこれすべてを新鮮に受け取っていただいたようで、それら解説をうざいとは捉えていなかった様子でした。  当初、取材・撮影で訪れているようなスポットを案内するのは、失礼かなと思っていましたが、むしろ、そのほうが喜ばれるってことに気づきました。ということで、次回は、もう、そういうスポットを巡ることにしようと思います。ただ、まぁ、次回がいつになるかはわかりませんが……。最近、こういう週末の遊び方を忘れており、こうして、ひとつひとつ思い出して、昔を懐かしんだりもしています。あ、ちなみに、いちばん好みな富士山は、やっぱり北西から眺めた姿でしょうかね(メイン写真)。なんかね、落ち着くんですよね。不思議と。ほかから眺めた富士山を、下に並べておきましょうかね。

#1748 BMW・218d グランクーペ (Msport)の、ちょうどいい、愉しさとパッケージと。

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 あ、BMW・iX、日本カー・オブ・ザ・イヤーでは、デザイン部門での受賞となったようですね。たしかに1000万円オーバーの価格帯を考えると、大賞はちょっと違うか。でも、あのビッグサイズを感じさせないサイズ感は、すばらしいし、EVならではのデザインとも言えるものですので、納得です、はい。そのiXを返却して、借り出したのが、この2シリーズグランクーペでした。過去に、 #1713中途半端ではなかった、BMW M235i xDrive グランクーペの存在価値。 にてインプレッションを記していますが、コンパクトモデルなのに4ドアクーペというパッケージング、そして、FFベースゆえのスタイリングに、違和感を覚えるのですが、それはさておいてですね、設えが、スポーティ過ぎず、でもスポーティさがあって、好印象なモデルです。  で、今回は、ディーゼルユニットを搭載した218dを借り出しました。ちなみにMスポーツ仕立て。iXから乗り換えた直後は、この曖昧なステアリングフィールはなんだ? 路面をトレースしきれていない物足りない接地性はダメだろう、突き上げ手前な乗り心地はこれでいいのか? などと、もう、自らの評価基準はiXとなっていたために、ダメ出しの連続でした。ところが、ま、しばらくドライビングしていれば慣れてくるもの。  やがて、乗り心地のバランスを崩さない程度に、サスペンションを引き締め気味に設定して、ハンドリングから緩さを取り除きつつ、クイックにしすぎない加減をチューニング。気づいてみれば、シートもいいし、ポジションもこのクラスにしては素直に取れるし、ディーゼルユニットゆえに中回転域の張り付くようなトルク感が愉しさを生み出しています。こうなってくると、もう、Mスポーツ仕立てだからと、ケチ付けるポイントは見当たらず、タイヤサイズが起因したドタバタぐらいなのか、といっても、ドタバタともいえないですしね。  あ、ひとつありました。速度を上げた際にですね、落ち着かなかったんですな、このシャシー。低速で感じた、トタトタがそのまま残っていて、人馬一体に近づかなかった。あれはなぜだったのだろうか。タイヤのグリップがちょっと高すぎるから、どこまでアクセルを踏んでいけるかが、分からなかった、ことが、理由かな、と結論づけてはいるのですが。ま、ウェットだったし。

#1747 すべてが異次元だけれども、これがやがてやって来るEV像だった、BMW・iX。

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 日本にいると、現状がどうなのか、あまり見えていないこないEVですが、やはり、充電における手間に課題がある状況は変わりなく、言い換えると、海外のようなハイスピード充電インフラが整っていないことが、半ば、普及の足かせとなっています。そう、足かせ。ただ、グローバルに眺めると、自動車メーカーのEV開発競争は熾烈を極めており、その足かせゆえに、国内(メーカーとは言わない)では出遅れた感が広がっています。  と、そんな状況はさておき、では、クルマとしての仕上がりはいかがなものか。その第1弾として軽EVに焦点をあてたレポート( #1742 、 #1743 、 #1744 )を伝えましたが、それとは逆のポジションにある、輸入車最上級EVはどんなものかをテストドライブしてきました。具体的には、BMWのiX。どうやら、日本カー・オブ・ザ・イヤーの10ベストカーに残っているようですが……、あのですね、それ理解できます、分かります。もう、RJCな人じゃないから言うわけではありませんが、トップに選ばれてもいいモデルだと思います。明後日ですな、その結果が分かるのは。  とにかくですね、すべてが素晴らしい。振り返ってみると、BMWは、2014年にリリースしたi3において、革新的かつ大胆なパッケージングを提案していました。そこには、奇を衒った感があったものの、パッケージング含めて、EVってこうなるんだというワクワクがありました。そして、あれから8年が経過した今、このiXには、EVがもたらす近未来をもっと身近にしてくれた、そんなドキドキが表現されていました。設えがね、最高級だということもあるんですが、乗り味にしても、ハンドリングにしても、室内パッケージングにしても、あ、EVになるってことは、こういうことなのか、を、誰しもに分かりやすく提案してくれています。  たとえば、乗り心地。テストドライブしたのは、iXのハイパフォーマンスモデルとなるM60で、タイヤサイズは275/40R22。ここまでのワイド大径タイヤ(ホイール)だと、多少どころか、はっきりとドタバタが出てきそうなものですが、ない、ない、ない。路面トレース性がすこぶる高いどころか、カーボンを組み合わせたボディは、もう剛性が高いどころではなく、ハコとなっており、サスペンションの動きがボディの歪みに乱されることなくダイレクトに伝わってくる。サスペ

#1745 ふらり、能登へ。でも、1年ぶり。そして、来月も出掛けてきます、という話。

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 振り返ってみたところ、2013年から石川県へと足繁く出掛けるようになっていました。きっかけは、知り合いが20年以上前に実家のある金沢氏へ帰ったため……、いや、違うな、これは金沢に通うようになった後だな。何をきっかけにしたかは忘れましたが、金沢へと出掛けるようになりました。あれ、ほんとうに何故だったんだろう、思い出せない……。ちなみに、金沢も能登半島も取材で訪れたことはありましたが、能登半島の奥深くまでは足を運んだことはありませんでした。やがてプライベートで金沢へ行く度に金沢を起点として能登半島を攻略しはじめ、先端にある珠洲市へと到達したのは2013年の11月だったか。そして、いつしかその珠洲市を目的地とし、滞在するようになりました。それはあたかも導かれたかのようでもあり、不思議な縁だと勝手に捉えています。  今回は1年ぶりの訪問となりましたが、いつしか能登はすべてを受け入れてくれる地になっていました(と、思い込んでいるだけかも)。八王子といえども、東京にいると、気付かぬ間に言い訳という鎧で身を固め、前へと進むために手にしていた剣はいつしか自らを守るために他人を牽制する道具と成り下がり、それらは気が付かないうちに、身にこびりついてしまっています。ところが、能登にやって来ると、自然に触れていると、能登の人たちと話をしていると、能登の食を堪能していると、それらは一枚、一枚と剥がされて、どこかに残っていた素直さが顔を覗かせてきます。そして、なんでも、そのまんまに受け取れるようになり、そんなインタラクティブな能登との関係に心地良さを覚え、居場所を感じ、帰ってきたぁ、という開放感が襲ってきます。あ、写真は、料理長からの愛のこもったハートに並べられただし巻き卵、その下は、定番であり、能登らしさが詰まったコンカサバ(ぬかみそ漬けなサバ)。こんな料理をいただいたら、もう、素直になるしかないしょって感じです。  今回は、4泊しましたが、久しぶりに予定を何も立てぬままに宿入りしました。いつもだったら、知人と一緒だったり、イベントがあったりと、何もしないと言いながら、なんだかんだ忙しかったりするのですが、今回はほんとうに何もなし、しかもひとりっきり。ただ、読んでおきたい本を持って、聴いておきたい音楽をプレイリストに並べてきましたが、ひとつだけ、とにかく対話を心がけてみました。このコミュニ

#1744 三菱eKクロスEV、日常でどこまで使えるか、どんな乗り方をするならオススメか、検証してきました。その3

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 自宅から湯河原まで出掛けましたが、その距離は80kmと少しですから、航続距離180kmを謳うeKクロスEVにおいてはそこそこに充電してあれば問題ないのですが、ないのですが、ないのですが……、あえて苦難を強いるのが吉田流。ということで、圏央道と小田原厚木道路を走って行けばいいものを、そもそも、下道派であることも手伝って、丹沢山麓にほど近いワインディング路を選びました。もちろん、アップダウンありです。ただ、この道をセレクトしたのは、途中にある道の駅に急速充電器があったから、そう、何かあっても対処できると考えたからでした。  ところがですね、標高のそこそこにある八王子からいくらか上ったとはいえ、どちらかといえば海岸線まで下り基調だったこともあってか、予想外の低電費となりました。自宅から約50km走ってわりと平坦な地へと出た際の記録ですが、バッテリー残量は63%もあり、この条件に近い感じで走れば満充電仮定で約165km走れることを示しています、簡単にいいますと。回生ブレーキを積極的に使うBモードをセレクトしていたことも多少なりともプラスになったのかとは思いますが、それにしてもね、ワインディングを、そこそこに快調に走りゆく軽トラックについていっての数値ですから、そういった意味でも驚きがプラスされました。で、結局のところ、途中の急速充電スタンドは利用せず、そのままに相模湾へと出て、湯河原までは充電せずに到着しました  そして、湯河原まで来たならば、大観山まで県道(無料)を利用して上ってみようということになり、湯河原の美術館にあった急速充電スタンドを利用して充電した後に、いざ、アタック。ただ、アタックといっても、法定速度以上は出さず、穏やかなロールを愉しみ、そして、後方からのバイクや走り屋さんには、すんなりと道を譲るドライビングスタイル。上では少しスピードを乗せて爽快に走って、下りは都合によって上りよりさらにのんびりドライビングを行ったところ、85%あったバッテリー残量は15kmを走行して61%になっており、標高差約1000mの上り下り(距離は15km)にバッテリー容量の24%ほどを要しました。これ、たとえ大観山のあたりに住んでいて、日々、湯河原まで降りてくるライフスタイルであっても、1往復は確実にできますし、アクセルペダルを踏み込んだ走りをしたとしても、少なくとも1往復は可能

#1743 三菱eKクロスEV、日常でどこまで使えるか、どんな乗り方をするならオススメか、検証してきました。その2

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 その後、自宅へ帰るために、千葉からアクアラインを利用して川崎へと渡ったわけですが、フルを目指して充電していなかったこともあり、八王子まで戻るにはどこかで充電しなければなりませんでした。調べると、アクアラインの海ほたるにひとつあるのですが、それこそ、戻りの観光客に巻き込まれそうだったので期待せずに通過し、川崎市内にある三菱ディーラーを目指しました。街道沿いにあるディーラーでしたが、時刻は20:30にも関わらず、真っ暗。といいますか、まぁ、ディーラーは閉まっている時間帯ですから、充電スタンドも真っ暗。あまりに真っ暗すぎて、ロープが張ってあるんじゃないだろうかと目を凝らすほどに見えないくらいに真っ暗。それでも、入って行くと「侵入」を検知されて照明オン(写真はその状況)。できれば、入ってからではなく、入る前からある程度照らしておいて欲しいなとは思うのですが、ただ、ムダな電力消費にもなりますから、あれでいいのでしょうかね。  とはいえ、やはり照明がなにもないディーラーへと入って行くのは少々怖いもの。男性でもこう思うわけですから、女性はなおさらのことでしょう。ちなみに、この真っ暗な中での充電は、以前、BMWi3で無料充電スポットを巡るドライブを行った際にも体験しています。あの時は、どこかの市役所でしたが、それこそ、入り口も分からなければ、スタンド場所も分からずでしたっけ。今回は、充電を開始してクルマを置いたままに、近隣のスーパー(徒歩10分ほど)へトイレと買い物のために出掛けましたが、途中、24時間、充電スタンドを開放している日産ディーラー(写真右上)を発見。もちろん、真っ暗でして、そう、三菱も敷地内に入るまでは、こんな感じの暗さでした。入り難いでしょ?  翌日は、湯河原に住んでいる知人を訪ねつつのドライブを予定していました。ですので、朝、出掛けにフル充電していこうと思っていたのですが、こういう面倒って、先延ばしするんじゃなくって、その日のうちにやっておくとラクチンだからと、自宅近くのENEOSへと立ち寄りました。ここ、普通のガソリンスタンドなんですが、なんと、急速充電スタンドもあります。さらには、この敷地の端にはミニストップ(スタンドとは経営は別)があり、充電時間をコンビニで過ごすことができるのです  このガソリンスタンドにコンビニやカフェがあるスタイル、最近、よく目にしま

#1742 三菱eKクロスEV、日常でどこまで使えるか、どんな乗り方をするならオススメか、検証してきました。

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 三菱からデビューしたeKクロスEVの動画の製作をしてみようと、素材をあれこれ撮影してあるのですが、どうつなげようか、どう表現しようかと、戸惑っており、いまだにアップできていません。いや、何もできていません。でも、考えたら、文字でもアップできていませんでしたので、とりあえずは文字でまとめてみます。そうすれば、動画を作るきっかけになりそうな気もしますので。車両のインプレッションは #1732 に残したとおり大絶賛です。バッテリーを含めたEVユニットによって増した車両重量が、シャシーにしっとりとした動きを与えていまして、軽乗用車が不得意としていたリアシートにおける乗り心地に大きく改善したところなんて、怪我の功名(といったら怒られそう)的で、こういう設え、すごく好きなアプローチだったりします。あ、パワーやレスポンスはいうまでもありませんな。とはいってもですね、いくら個々のスペックが優れていようとも、実際に、どこまで日常で使えるかは、数日試してみないとわからないもの。ということで、三菱のeKクロスEVを借り出して、あれやこれやとテストしました。  まずは、パワーユニットに関するスペックを。    駆動用バッテリー容量 ……  20kWh    充電時間 普通充電  ……  約8時間で満充電         急速充電  ……  約40分で約80%充電    一充電航行距離    ……  約180km(WLTCモード)    モーター出力     ……  最大トルク 195Nm  となっています。今回は、数日の付き合いになりますから、充電はどこかでしなければなりません。なので、いちばんのキーは、どこで、どのタイミングで、充電するか、にありました。で、まず確かめたかったのは、本当に約180kmも走れるのか、そこまで走れなくともどこまでその距離に近づけるのか、でした。借り出した後は、少しの下道を走った後にいきなり有料道路に乗った、つまり、電力消費の面では不得意とされる高速での走行を行うこととなり、少しの心配がありました。ただ、目的地までの距離は約40kmほど。ま、大丈夫だろうと、有料道路に乗ったらですね、途中チェックをすると、約20kmを走行したところで、バッテリーは12%減(バッテリー100%分に換算すると約167km走行可能)、目的地へと到着してみれば45.2kmを走行してバッ

#1739 頑固なスタンスはあいかわらず。でも、それが、このクルマの商品価値となっています。ってな、トヨタ・ランドクルーザー300系な話。

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 さて、いまさらのランドクルーザー300系のインプレッションです。試乗会にも参加せず、原稿依頼も来ずだったので、デビューから1年以上まったく触れていませんでした。ただまぁ、先代となる200系といいましょうか、100系、いや、80系、いやいや、60系から眺めてきた者(40系は試乗もたくさんしているけど、何か語れるまでの覚えがない)としては、また、200系で、さんざんに開発者インタビューをした者として、そして、その話を受けて未来を妄想していた者としては、あの乗り味は、予測の範囲だったとも言えます。もちろん、それは良い意味でのことですし、驚かされた部分もたくさんあります。  ステーションワゴン系のランクルは、乗用車のプラットフォームをベースにした高級カテゴリーのモデルと横並びに比較されてしまうようですが、ランクルは、オフ走破性あってのモデルですので、この最新モデルとて、オンロードにおける乗り心地がいいとは表現できません。いくらお上品に仕立てようとも、リアにリジッドサスを採用し、かつ大径サイズのタイヤを押さえ付けられませんし、つまり、とうてい彼らには追いつけません。  では、どこに価値があるのか、価値を見出せばいいのか、ってことになりますが、これこそ、比較すべきは先代であり、歴代モデル。残念ながら、ライバルと呼べるモデルは、今、存在していません。かつては好敵手がいたんですけどね。そういう観点で眺めると、いやー、すごいね、という価値をたくさん見出せます。まず、ボディサイズを大きく変えなかったこと、そして、ホイールベースを80系から変わっていない2850mmにしてきたこと。実は、オフロード走破性を語る上で重要となるのは、このサイズ感。とはいえ、すでに、もう、十分に大きくなりすぎているんですが、このカテゴリーは走破性だけではなく、人を運び、荷物を運びという役割があるので、もはや、このサイズのことを大きいとは言えない面もあります。日本で生まれたかもしれないけど、いまや活躍の場はグローバルですから。いわゆる、アメリカンフルサイズに到達していますが、それを超えようとしなかった。ホイールベースについては、走破性を狙うには短いに越したことはないんですが、先の居住性、もしくはオンロードでの走りを考えると、もう少し伸ばしたかったでしょう。でも、それをしなかった。固くなな部分であり、イマドキに迎

#1738 Applewatchの、絶妙に仕立てられていた、付属ベルトの作り込みの話。

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 新型コロナウイルス感染からの復帰祝いに、と、友達からApplewatch6をもらいました。その友達が新型を購入するのであまった旧型を、と。ただ、その友達は、アメリカ在住ですので、アメリカからわざわざ送ってもらいましてね、なんだか、すごく特別なものにも思えてきます。ちなみに、これまで使ってきたApplewatchは初代モデルです。そう、シリーズ1と名付けられる前のモデル。Appleはこうした新製品をとっとと切り捨てるのですが、このApplewatchも例に漏れずで、OSもすぐに打ち切られました。でも、購入から8年が経過して、バッテリーは減っているんでしょうけど、まだ、使えましてね。もう、意地とばかりに使っていました。  ちなみに、そのアメリカの友達は、最新のApplewatchULTRAを購入したもんで、チャットしながら、あれこれと使用感を訊ねていたのですが、そこで、時計本体とベルトに隙間があってフィットしていないところが云々という話が出ました。え、そうだっけか、と思って、自分のApplewatchを確かめてみると、たしかに隙間があります(左の写真はアメリカから届いたApplewatch6)。でも、これまで隙間についてなんら違和感を覚えてこなかったので、ここには何か仕掛けがあるとにらみました。  で、腕から外して、ベルトを観察。右のように、そこそこに抵抗を感じる場所を掴んでみたところ、本体近くのベルトは湾曲に抵抗するかのように水平方向(下)へと延びて(何か金属でも入っているかのよう)、そんで、その抵抗がなくなったところで、一気に下で抑えている方向へ従うように曲がっている、と。あれこれ持ちかたを変えて試しているうちに、あれ、これってさ、バネになっているじゃん、ってことに気付きました。Applewatchはセンサー類を本体の下にデザインした円形部にまとめており、それを腕に接触させています。ちなみに、その円形部はそこそこに広く確保されているんですが、よくよく観察してみると広くはない。あれ、これだと、接触部に圧を感じてしまうんじゃないかなと思ったのですが、実は、先のバネ効果によって、接しているけど圧を覚えないという絶妙を作り上げていることがわかりました。これ、すごく地味だけど、けっこう凄いと思います。なにせ、初代を付けるようになってから、8年間、気付きませんでしたから。そう

#1737 ダイハツ・タフトにジオランダーX-AT? と思ったけど、乗用車用に仕立てなおしていて、グーだったという話。

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 そういえば、8月におもしろい取材がありました。ダイハツのタフトに、いま、流行りのAT以上MT未満のタイヤをはかせて、インプレッションを行うという企画。これまでのSUV用タイヤは、街乗りメインなHT(ハイウェイテレイン)、ハードなオフロード走行を得意とするMT(マッドテレイン)、その中間のキャラクターをもつAT(オールテレイン)の3つに分けられていました。ま、その味付けは、ブランドによってさまざまなんですが、昨今ですね、見た目はMT的なアグレッシブさをもちながらAT的な乗り味を求めるという方が多いとかで、そこに注目が集まり、そういった商品が出てきています。MTよりは快適に乗りたいということから、そこにファッション的な意味合いを求めていることが見えてきますが、いずれにしても、かつてのように、あれだけオフ走破性が高いから日常性が犠牲になるのは仕方ないよね、といった、バーター的な感覚は受け入れられないようです。はい。  で、タフトの話。ま、クロスオーバーモデルですよ。どころか、乱暴にいいますとね、ロッキーと、タントと、ムーブキャンバスと、プラットフォームを共用する軽「乗」用車です。ですので、この手のタイヤ、特にLT規格のモデルを組み合わせと、あれやこれやと無理がダイレクトに顔を出してきます。ま、それを納得の上ではくならばいいのですが、それを知らないと、これないよなぁとばかりに後悔に直結しかねません。ところがですね、今回テストしたヨコハマのジオランダーX-AT(165/70R15)は、そもそもゴツゴツパターンなポジションにありながら、さらにはこれまではLT規格のみでサイズ展開されていたところを、このタフト(スズキ・ハスラーも)をターゲットとした165/65R15と165/65R15に限って、なんと、LT規格を外した設計となっていました。つまりですね、トレッドデザインはゴツゴツだけど、仕立ては乗用車向けとしたという、ひと昔前では考えられない作り込み方です。  で、で、実際にはいてみると、ブロックパターンゆえのロードノイズとパターンノイズが存在するのですけどね、すこぶる小さい。ちなみに、タフトは、軽乗用車としては異例ともいえるほどの静粛性を持っていまして、それでもキャビンにタイヤからのノイズが入り込んでくるんですが、耳障りじゃない。いうまでもなく振動もありまして、ペダルやステア

#1735 快適すぎるし、愉しすぎる。想像していたその先に到達していた、プジョー308。

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 続いては、プジョーの308について。グレードは1.5Lディーゼルターボユニットを搭載した、GT BlueHDiです。これまでのプジョーのディーゼルユニットに対しては、これといった特徴を感じず、いや、悪いという印象はないのですが、超、すげー、といった印象も持たずでした。ところがですね、この1.5Lディーゼルターボエンジン、すばらしくてですね、ビックリしました。というか、この最新型308ですね、すべてが素晴らしくて、驚きました。  まず、そのパワーユニットですが、実は、これを書きはじめるまでは、つまり、試乗したにも関わらず、排気量を2.0Lだとばかり思い込んでいました。低回転域でのレスポンスのよさにそこそこの排気量を想像していましたので、それこそ、超・意外。なんっすか、これ、って言葉遣いしたくなるほど(実生活では使ったことない)に意外でした。しかも、発進からの加速感の作り込みがジェントルすぎてストレスがありませんし、心地よさのある吹け上がり感と、強いトルクに裏打ちされたかのような安心感と、つまりは、そんな演出されたフラットなトルク特性に、もはやうっとりといった印象で、308も完全にプレミアムCセグメントへと移行したんだなぁ、なんてことを感じさせるものでした。それでいて、そこから先、つまりアクセルを踏み込んでいくと、その過渡域たる繋がりは、低回移転域で見せた豊かなフィーリングのままに、スポーティな速度域へと突っ込みます。そう、まさに突っ込むといった感なんですが、そこには暴力的な加速感、スポーティさはなく、お上品に突っ込んで行く、そんな不可思議があります。褒めてますよ、褒めています。  そして、このパワーフィールに見合った仕立てをしていたのが、シャシー。組み合わされていたタイヤはミシュランのプライマシー4 S1で、そのサイズはなんと225/40R18。サイズを知った時(タイヤを目にした時)には、完全に行き過ぎを覚えましたし、それこそちょっとした段差でホイール傷つけそうという、フィーリング以前にマイナスなイメージを持ちました。しかし、実際にはシャシーが実にしなやかでして、タイヤで衝撃をダイレクトに受けながらも、それを、タイヤとシャシーが役割分担をしていなす……、というよりは整えて、キャビンへと伝えてくる。まさに、なんじゃこりゃ、状態。ホイールを傷つけそうなんて、マイナスイメ

#1734 ルノーのE-TECHですけどね、ルーテシアとの組み合わせが好みでした、という話。

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キャプチャー E-TECH   アルカナ からスタートして、 ルーテシア 、そして、このキャプチャーと、ルノーのハイブリッドシステムであるE-techユニット搭載3モデルすべてが日本デビューを果たしました。当初、プラットフォームが同じですから、フィーリング差はそれほどないだろうと思われましたが、これがですね、さすが、ルノーと唸らせるほどに作り分けをしています。最近のクルマ作りには、エアロ違いな別車種扱いでも同じサスペンションとか、ターボであろうとNAであろうと同じパーツとか、クルマ好きにとっては好ましくない集約化が見られます。今回、ルノーもその手法に倣った作り込みをしているんですけどね、結果ですね、とんでもないものを作り分けてしまいました。そう、それぞれの世界観を、性能差という面でもしっかりと提供しています、この三兄弟。 アルカナ かっこいいんだけどね  このハイブリッドユニットの解説は述べてきたとおりなので、省きますが、さて、どの組み合わせがいちばん好みかについて、記していきたいと思います。想像としては、キャプチャーに乗るまではキャプチャーかなと思っていましたが、通して比較すると、ルーテシアでした。やっぱりですね、基本となるモデルだけに、しっかりと作り込んでいて、その手順書どおりといわんばかりの設計を行っている。つまりですね妥協がない、というか、ここまでを見据えて作り込んでいるので、破綻がない。アルカナのようなアッパークラス感に繋がるようなスポーティさの演出をしなくていいし、キャプチャーのようなやんちゃ的なテイストも不要であり、まさにお手本となるようなベンチマークをしっかりと作り込んだ、そのスタンスに、ルノーらしさを感じたりもしました。 ルーテシア E-TECH  もう少し具体的にいいますとね、現行型ルーテシアはそもそもオーバーパフォーマンスを手に入れていまして、それを高く評価して、振り返ると、 月刊ドライバーの輸入車ドライバー大賞2020-2021にて トップに選んでいました。そして、今、それが、ルノースポールのベースになることだけではなく、このハイブリッドユニットを搭載した際のバランスまで考慮しただったことが分かると、なるほどなー、ここに帰結していたのか、と納得し、あの時残っていたモヤモヤが澄み渡っていきます。って、ぜんぜん具体的になっていないな、えっとですね

#1733 期待どおりに進化していたダイハツ・ムーヴ キャンバス(2世代目)。あ、走りもとってもいいです。おじさんにもオススメです。

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 自動車メーカーとして強烈なプッシュをせずとも、売り上げが落ちていないだろうことは、街を走っている車両の多さを見れば一目瞭然、でも、先進安全システム含めて変えなきゃいけない時期に来ている、でも、変えられない、そんなジレンマが丸見えだったダイハツ・ムーヴ キャンバス(以下キャンバス)。もうしばらくはこのまま販売するんだろうなと思いきや、初代モデルがデビューしてからなんと6年が経過していたとかで、フルモデルチェンジを行いました。それにしても、え、6年? あの、 豊洲のアパートのそばで撮影した のもそんな前なのことになるのか? と思いつつも、6年が経過しているのに古さを感じさせないデザインは、やはり秀逸だったんだなぁと、改めて思わせてくれます。そして、ここまでデザインの印象が強いモデルながら、テイストを大きく変えなかったように見せるその手法に天晴れを感じました。んで、装備やらもイマドキとなっていたりして、いやー、良い進化たなぁと感心しきりでもあります。  ちなみに、初代モデルの紹介記事を振り返ったところ、このパッケージングはおじさんにも受け入れられるものであり、おじさんが乗っても恥ずかしくないモノトーンを、ぜひともおじさんに勧めたい、なんてまとめていたものがありました。で、実際に、街中を走っているキャンバスを見ると、ご自分所有かどうかはわかりませんが、おじさんが運転しているキャンバスをやたらと見かけた気がします。時にツートーンで。もちろん、ダイハツもそれに気付いており、新型開発にあたってユーザーのデータを採ってみると、おじさん支持がある程度あったようで、最新型ではおじさんがすんなり受け入れられる仕立てを用意。さらにおじさんからの要望に応えるべくターボモデルを設定したとのこと。ほんとかな、とも思いつつも、ま、選択肢を増やすというアプローチは、ユーザー層に広がりを与えてくれますので、歓迎ではあるんですけどね。  と、すでに試乗前から拍手喝采な新型キャンバスですが、そこには走りはいいに決まっているという大前提があってのことでした。ダイハツがタントから採用した新開発プラットフォームDNGAのポテンシャルはすこぶる高くてですね、とにかく走りがいい。言い換えると、日常における快適性をもうっちと優先させなさいなといわんばかりのセッティングでもあるんですが、あれから2年以上が経過し、あ