#1733 期待どおりに進化していたダイハツ・ムーヴ キャンバス(2世代目)。あ、走りもとってもいいです。おじさんにもオススメです。


 自動車メーカーとして強烈なプッシュをせずとも、売り上げが落ちていないだろうことは、街を走っている車両の多さを見れば一目瞭然、でも、先進安全システム含めて変えなきゃいけない時期に来ている、でも、変えられない、そんなジレンマが丸見えだったダイハツ・ムーヴ キャンバス(以下キャンバス)。もうしばらくはこのまま販売するんだろうなと思いきや、初代モデルがデビューしてからなんと6年が経過していたとかで、フルモデルチェンジを行いました。それにしても、え、6年? あの、豊洲のアパートのそばで撮影したのもそんな前なのことになるのか? と思いつつも、6年が経過しているのに古さを感じさせないデザインは、やはり秀逸だったんだなぁと、改めて思わせてくれます。そして、ここまでデザインの印象が強いモデルながら、テイストを大きく変えなかったように見せるその手法に天晴れを感じました。んで、装備やらもイマドキとなっていたりして、いやー、良い進化たなぁと感心しきりでもあります。
 ちなみに、初代モデルの紹介記事を振り返ったところ、このパッケージングはおじさんにも受け入れられるものであり、おじさんが乗っても恥ずかしくないモノトーンを、ぜひともおじさんに勧めたい、なんてまとめていたものがありました。で、実際に、街中を走っているキャンバスを見ると、ご自分所有かどうかはわかりませんが、おじさんが運転しているキャンバスをやたらと見かけた気がします。時にツートーンで。もちろん、ダイハツもそれに気付いており、新型開発にあたってユーザーのデータを採ってみると、おじさん支持がある程度あったようで、最新型ではおじさんがすんなり受け入れられる仕立てを用意。さらにおじさんからの要望に応えるべくターボモデルを設定したとのこと。ほんとかな、とも思いつつも、ま、選択肢を増やすというアプローチは、ユーザー層に広がりを与えてくれますので、歓迎ではあるんですけどね。

 と、すでに試乗前から拍手喝采な新型キャンバスですが、そこには走りはいいに決まっているという大前提があってのことでした。ダイハツがタントから採用した新開発プラットフォームDNGAのポテンシャルはすこぶる高くてですね、とにかく走りがいい。言い換えると、日常における快適性をもうっちと優先させなさいなといわんばかりのセッティングでもあるんですが、あれから2年以上が経過し、あれこれと熟成を重ねたら……、しなやかさを手に入れていました。まさに期待どおりの進化。
 実際、その走りは想像以上でした。まず、これまでのDNGA採用モデルのウィークポイントでもある、走り出し時に不足していた快適性は、新型キャンバスでは、走り出しからすぐに分かるしなやかさを手に入れておりまして、「わかってるよ、君たちはこれが不足していた、とでも、いいたいんだろ?」と言わんばかりの仕上げとなっていました。自動車雑誌的な表現を使うと、タイヤの接地感が安心感をもたらし、抑え込まれた転がり抵抗は心地よさという快適性へと繋げており、いうまでもなく、乗り心地もとてもいい、とでなるでしょうかね。実は、この点はタントでは不足を覚え、タフトでは不満とも感じてしまうフィールでもあり、新型キャンバステストドライブ時には、やればできるじゃん、と、声を発してしまったほどでした。ちなみに、そんな妄想ストーリーを開発の方にここぞとばかりに披露したところ、あぁ、そうですか、と、逆に引かれてしまったもので、トーンを落としましたが……。

 で、その快適なフィーリングは速度を上げて行っても変わることなく、むしろ、フラットライドな乗り味が強く感じられるようになり、同時に直進性が高いこと、さらにはグリップ感があることなどが伝わってきまして、従来のDNGA採用モデル同様に、ハイスピード域でのポテンシャルの高さを再認識。そして、コーナーではしっかりとロールさせるし、そのロールスピードと量とステアリング操舵感をぴっちりとチューニングしてあり、これもまた好印象。クルマとの対話を探りならのドライビングを行うと、コーナーが続くシーンでは余計な動きを見せることなく、つまりスタンスを安定させたままに、コーナーをクリアしていく。しかも、乗り心地を確保しながら。その走りに、これ、軽乗用車だったよな? と思ってしまうほど、バランスを手に入れていました。もちろん、オンセンターの曖昧さとか、そういった軽乗用車的なところはありますよ、ありますけどね……、いや、すごい、すごかった。


 ということで、不満の少ないキャンバスですが、さらに、ダイハツ軽乗用車とロッキー(トヨタ・ライズもね)のアドバンテージである9インチモニタを採用したディスプレイオーディオ(メーカーオプション)の機能を強化して、今回は10万4500円(税込)で提供していることもトピック。これまでのシステムよりは高くはなりましたが、エアコン操作やディスプレイオーディオ操作ほかを可能とした音声認識機能やワイヤレス充電機能、さらにはApple CarPlayに限ってのようですがワイヤレス接続を実現したことなど、イマドキになくてはならない装備をプラスしており、割高であるとは感じさせません。むしろ、旧世代のユニットを持っているユーザーとしては羨ましいと思える進化です。もちろん、そこにカメラをプラスして、いわゆる頭上から見ているかのようなアラウンドビュー表示、さらにはディーラーオプションのドライブレコーダー(ディスプレイモニタに表示可能)によるシステムアップもできます。そして、トータル、つまり支払い総額をほかブランドのモデル比較すると、そこにはリーズナブル感が生まれていますので、なおさらにアドバンテージ感を強めていることが印象に残りました。
 とはいっても、車両本体価格は、先代もそうでしたが、ちょっとお高めな設定。そのあたりを訊いてみると、たとえば、ホイールにしても、専用ホイールキャップをデザインしたスチールホイール仕様を設定するよりも、全グレードアルミに統一してしまったほうがコストも下げられるし、何よりもこのモデルを選ぶ層では、ユーザー満足度も高くなるのだとか。そういったことについつい「ケチ」を付けたくなってしまう性分ではありますが、説明をうかがっていたら妙に納得。
 ちなみに、このキャンバスも、タフトも、取りまとめを担当された方は同じでしたが、タフトのガラスルーフも同じ考え方から標準装備化を実現できたといいます。あ、そのタフトのガラスルーフですが、色合いにこだわったってな裏話を教えてもらいました。頭上のガラスですから、もちろん緑やらの色付きにしてしまえば紫外線やら赤外線カットをするに有効であるものの、あえて、空の色合いが忠実に見えるようクリアタイプを選択したんだそうで。そう、空を見上げてガラスの緑色だったらがっかりしますから。そういうこだわり、もっと伝えていったほうがいいと思うんですけどね。 
  と、長くなりましたが、新型キャンバス、とってもいいです。お勧めです。おじさんにもお勧めです。はい。


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