#1754 毎月訪れても、次から次へと、発見と出会いがあふれ出てくる、奥能登紀行。


 1月に奥能登へと出掛けてきました。1か月ごとに訪れていますが、もはや、意図的です。いや、滞在しているうちにですね、また、来ようと思ってしまうのですよ。まさに、ループにはまって抜け出せないかのような感じで。で、前回は、人に会って、話をするを、テーマとしたところ、体力的どころか、精神的に疲れてしまった日がありましたから、今回は、ほんとうに予定をいれずに出掛けました。ただ、心地よさそうな美容院を見つけていたので、今回はそこへ行ってみようとだけ、思っておりました。

 その美容院、海岸線を走っていた時に見つけました。そこは、海側に腰ぐらいの高さの堤防があるだけで、目の前がバンっと開けた海岸の陸側に何軒か並んだ「集落」で、もう、目にしただけで、心地よさそうな雰囲気にあふれていました(写真右)。海を眺めながらカットしてもらっている自分の姿を簡単に想像できるような店舗なのですが、懸念はふたっつありました。ひとつ目は、美容院なのでオジサンにとっては、足を運ぶには気が引けること、そして、高そうなことでした。でもですね、能登に到着して現地の方々に訊いてみたら、実は高くはないという話を聞いて、これは行ってみなければと思ったものの、なんと予約が取れない、という、想定外な事実が発覚しまして。その地域、集落といっても、それほど戸数は多くありませんし、また、奥能登の外浦(日本海側)ゆえに、住まう人も多くなく、行き交う人を目にすることなどほとんどないところだったので、オドロキでした。聞けば、地元の方々から絶大な人気を集めてしまっているようで、開店から1年で、もう、捌き切れないほどの人気店となっていたようです。で、ひとりですべてをこなしていらっしゃっていること、午前中は別枠に時間を割いていることもあって、予約は2週間先まで埋まっていることもざらとか。自分は、5日しか滞在しない予定だったものですから、こりゃ、カットしてもらうのは無理かも、いや、無理だ、と、思いつつ、とりあえず、電話をしてみたほうがいいと言われて、連絡してみたところ……。あら、明日の16時からどうぞ、という運びになりました。

 で、出掛けてきました。美容師さんは、釣りと海とが好きな方でした。石川県金沢市出身で、金沢で経営していた美容院を奥さんに任せて、自身は、奥能登で悠々自適なライフスタイルと仕事を愉しむために、単身で移り住んでしまったとか。自身は、そんな生き方にうらやましさと憧れを感じていますから、もう、話がとにかく愉しいし、釣りの話も愉しい。お店も、もちろん商売っ気は全面に出ていませんし、さらには、仕事が丁寧で、お上手。ちなみに、自分の髪はサイドが、真横にピーンと張ってしまうので、そこをいかに落ち着かせて見せるかが、すごくむずかしい。むずかしいんですが、上手くまとめてくださいました。妄想するに、すべてをひとりでこなされていますから、シャンプーの時に髪質やら生え方やらを観察していたんでしょうね、さすがといった感じで、整えてもらえました。写真は、カットしてもらいながら見えていた日本海の夕景です。

 今回の能登旅では驚かしもありました。冬の日本海は、大荒れな天候が続くために鉛色の空が覆い、生まれ育った方々は気分が沈んでしまうと、よく言葉にされます。しかしですね、知らぬ者としては珍しさもあって、そこにワクワクに通じるようなドキドキ感を覚えてしまうのも、また事実。そんな荒天が今回も続きましたが、1日だけだったかな、晴天が広がって海も穏やかになりまして、その日は、自生している椿でトンネルがあったり、断崖絶壁があったりと、ダイナミックな里山と里海を愉しめるトレッキングルートを散策してきました。で、お昼ごろに戻ってきたら、部屋の電話が鳴りました。吉田さんの分のランチも作っておいたから、取りにおいで、と、言われて、取りに行ったら、この右の写真のお弁当が用意されていまして。ほかで頼まれていたランチに紛れて吉田分も作ってくれたそうで、その絢爛ぶりといったら、春の先取りを感じさせてくれるものばかり。何よりも、手が込んでいるし、調理がすごく丁寧だし、いっぱいに詰められているし、気分もお腹も満腹になりました。うれしいですやね、こういう驚かしは。ちなみに、写真内の右上は干し柿の天ぷら、その横には、ふきのとうの天ぷらがあります。1月中旬でふきのとう? と思ったのですが、この地域で、もう芽を出している内緒な地があり、そこでつんできてくださったものでした。そうなんですね、そんな地元を味わえたことが、何よりの贅沢となりました。

 と、このふたつを書いただけで、こんなに文章量なってしまいました、というぐらいに、感慨深い奥能登旅行となりました。そう、そうです、そうなんです、こんな体験をしたらば、また、行かないわけには、行かんでしょ。というわけで、宿予約を入れて帰ってきたのでした。あ、美容院の予約も。

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