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#1760 らしさを残したままに正常進化を果たしていた、フォルクスワーゲン・ポロGTI。でもね、ってな話。

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 個人的に欧州のコンパクトハッチはすごく好きなジャンルです。かつてはそこにカッ飛び系というキーワードを求めていましたが、最近ではスピードというスリルに興味を抱かなくなり、言い換えますと、緊張感を強いるような速度域はもう不要と思うようになりました。歳を重ねてしまったためでしょうか。いや、速度域にこだわらなくなったのは、昨今のことではなく、とある欧州のハッチバックモデルに出会ってからなので、かれこれ20年前のことになるでしょうかね。歳じゃないですな。では、なにを重要視しているのかといえば、対話性、クルマとの対話性。もう少し条件をつけると、高速域になってようやく顔を出す対話性ではなく、日常域からしっかりと愉しめる対話性。そういったモデルは速度域が高くなると緊張感を伴うこともありますけども、それもまた対話性のひとつでして、ここから先、速度を上げないほうがいいぞ、というアラートとなっていますので、いつまで経っても対話が見えてこないクルマとは、大きな違いがあります。つまり、それもまた、クルマとの距離を縮めてくれるものだったりしますな。  で、昨今の欧州のコンパクトハッチはどうなっているか。いわゆるCセグメントモデルでは、もはやコンパクトではないサイズへと拡大された上に、そこにプレミアムという言葉がくっついてしまっておりまして、クルマとしての仕上がりはよくても、所有したいという欲に駆られないモデルが多くなったと感じています。ま、当たり前な進化とも言えるのですけどね。そんなこともあって、今、注目しているのはBセグメントになるんですが、こちらも昨今はプレミアムテイストを取り入れており、自分の好みよりも、行き過ぎを感じるモデルを多々見かけます。と、文句ばっかり言っていてもはじまらないので、フォルクスワーゲン・ポロのGTIをテストドライブして、最新のBセグメントハイパフォーマンスモデルを試してみることにしました。ちなみに、先代モデルは、どう捉えていたのだろうかとここを探ってみたら、ありました、ありました( #1159ウィークポイントを改良し、らしさを強めた、でもね……、VWポロGTI )。なるほどね、その評価と感想は、先代モデルと基本的に変わっていませんでした。  簡単にいいますとね、クルマはいいんです、すばらしいのです。2.0Lターボユニットは、低回転域から発進加速に十二分のトルクを提

#1759 何故に縦置きな直6ユニットを新開発? と思ったけど、そこにマツダの理想たる走りが感じられた、マツダ・CX-60。

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 なぜに、今、直6ユニットなのか。衝突安全の面で不利とされて一時はV型に置き換えられるかと思われたものの、最近では、メルセデス・ベンツでも直6を復活。ま、不利よりも有利な条件が増え、不利だったことがらが技術によってクリアになったから、という理由は見えてきますが、なぜに、マツダが直6を、という疑問が湧きます。EV化が急がれる、いや、加速度的にシフトしはじめた昨今に、そもそも内燃機関を新開発? ま、簡潔に言い切ってしまえば、フルEVに向けて、もう少し時間がかかると見込んでのことで、過渡期にはPHEVを挟む、とのロードマップからでしょう。ただ、昨今の中国マーケットの急激なEVシフトや、北米のEVモデルへの購入補助金を眺めていると、おい、マツダさん、だ、大丈夫か? と、一方で、思ってしまいます。  さて、そこはさておいてですね、このCX-60という商品には、もうひとつの、えっ? がありました。それが、いま、マツダがエンジン縦置きプラットフォームを新開発? というものでした。その操縦性よりも居住性やらが強く求められる昨今のマーケットにおいては、縦置きレイアウトで居住性を確保するためには、そこそこのサイズが必要であり、つまりはDセグメント以上が基本となります。分かりやすくSUVを引き合いに出すと、メルセデス・ベンツGLC以上であり、BMWX3以上であり、サイズが大きいだけではなく、そこにはプレミアムなブランドばかりという共通項があります。そうなんですね、マツダは、大型なだけではなくアッパークラスへの新たなチャレンジ(これまではFFベースだった)もあっての投入だったことが見えてきます。個人的には、ますます、だ、だ、大丈夫か? と思ってしまうのですが、やっちゃえなんたらを堂々と謳っているブランドとは違って、マツダのスタンスには、いい意味でのチャレンジを感じておりまして、応援したくなりますな。  えっと、肝心な乗り味はですね、マツダのFRって、やっぱりいいよね、そこに排気量によるゆとりを特徴とするディーゼルって最高だよね、を感じさせてくるもの。テストドライブへと連れ出したのは、ディーゼル・4WDであり、シーンに応じてフロントタイヤへの駆動を行っていますが、とにかくハンドリングにおいては素直。操舵を楽しませてくれる対話性たるフィーリングと、コーナリングにおける4輪をどっぷりと路面へと押

#1758 11月から1か月ごとに4回も出掛けていた、奥能登紀行(最終編)。

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 11月からスタートした奥能登紀行は、もう、毎回、出掛けるたびにまた来なきゃいけないと思うことに囲まれて、最終日には次回の予約をいれてくることを繰り返していました。結果、4回、出掛けました。2月下旬から訪れた最終回(たぶん)では、東京にて、 前回#1754に書いた 美容院の予約だけをして出掛けました。ちなみに、4回目の能登行を決意させたのは、3回目の帰り際に美容師さんから、来月も来てくださいね、という冗談めいた、でも、すごくうれしいひと言もあってのことでした。  さて、何から話そうかな、まずは、その美容院の話からにしましょうか。当日は、予約時間ジャストに到着したものの前のお客さんがまだ終わっておらず。ただ、こちらの時間はいっくらでもあると伝えてありましたので、犬とじゃれた後に、本を読みつつ待っていました。その来られていた方は、今は地元の方、でも、外から移住された感のあるモダン(!)な女性だったのですが、仕上がりに超感激されて、その喜びを聞いていたら、見知らぬ人なんですけどね、なんだか、こちらまでうれしくなってしまいました。幸せの伝染とでもいいましょうかね。で、自分の番が回ってきて、前回、話足りなかったことを……、と思ったものの、気が付けば、新ネタとなったクルマ談義に。ちなみに美容師さんとの年齢差は10歳ほどなんですが、彼もクロカンヨンク好きな上に、さらには、メインストリームを外すという感覚まで一緒。いすゞ好きだったり、ランクル80に乗っていたとか、互いに好きなクルマを語り、そして、将来こんなクルマが欲しいと話をしていて気づいたのは、あちらは過去のディーゼルモデルを所有できることでした。こちらはビッグホーンにしてもガソリンを選ぶしかないんだよねと話したら、こっちに移り住めばいいじゃん的なことをいわれて、ちょっとドキっとさせられたりもしました。いや、そのとおりなもので。  ちなみに、髪形は、前回はほぼおまかせで大好評だったので、今回もおまかせにしつつ、ひとつだけ、短めに、というリクエストをしました。以前にも書いたとおり、ボクの髪の毛はサイドが頭面に対して、垂直に立ち上がるので、短くすると、ここの処理がかなり厳しくなります。さて、どういうふうに仕立ててくれるんだろうという期待もあっての、リクエストでしたが、その仕上がりはすばらしくてですね、なんていうんでしょうかね、でこぼ

#1757 上がりのクルマを、ジムニーにするか、ジムニー・シエラにするか、ちょっと考えてみた、話。

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 さてと、ジムニーの話をしましょうかね。我が家からジムニーが去って1年が経過して、今、フォード・フィエスタ1台では満足できないどころか、不整地へと気軽に足を踏み入れられないストレスがどんどんと膨らみつつある状況にあります。実は、これ、30年前にも感じたことでした。あの時は、クロカン(風)ヨンクを手放して、ワゴンRの4WD、続いてファミリアGT-X(4WD)へと乗り換えたものの、いずれもいわゆる乗用車4WDであり、クロカン走行できないどころか、砂浜でスタックする始末でしたから。かといって、フィエスタにどこか不満があるわけでもなく、むしろ、スタッドレスタイヤから夏タイヤへと履き替えたところ、やっぱ、ヨーロッパフォードっていいよね、が、溢れてでていまして、手放す気にもなれません。つまりですね、やはり、理想は2台体制であることを痛感としまして、ならば、フィエスタはそのままに、またも軽自動車のジムニー(以下ジムニー)との2台持ちはどうだろうか。ついでに、シエラ1台になることが自分としては納得できるのだろうかを探るべく、久しぶりにジムニーシリーズに試乗することにしました。  そもそも両車は、ボディやそのほかを共用としながら、シエラではワイドトレッド化とエンジン排気量アップ(NA)という大きな違いを与えていますが、そのアプローチは先代も現行型も変わっていません。そして、その分、シエラにはゆとり的フィーリングが演出されており、それがアドバンテージだと語ってきました。ところですね、現行型では別モデルを作ろうとしたかのような作り込みが見られます。分かりやすい表現をすると、先代までがジムニーを作ってから海外モデルたるシエラを作ったのに対して、今回は、シエラをグローバル戦略モデルに定めて開発し、ついでに軽自動車のジムニーも作ってみました、といった感じ。なので、完成度が高いこと、目指した走りが色濃く表現されているのは、シエラのほうであって、ジムニーには言い訳がたくさん見られます。もちろん、軽自動車という枠に収めばならず、この場合の言い訳は致し方ないと、捉えられますし、不満をいかに感じさせないかという仕立てが行われていますから、一概にウィークポイントと攻めたくなるのもちょっと違います。そうなんです、シエラのバランスが際立っているだけ、と、捉えてもらうといいかと思います。  その美点、ひとつ目は

#1756 改良と仕立てでかなり良くなっていた、フォルクスワーゲン・T-Roc R。

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 ファーストインプレッションがあまり良くなかったモデルがありました。20年夏に導入された、フォルクスワーゲン・T-Rocです。当初はディーゼルユニットだけだったこと、組み合わされていたタイヤサイズがVWらしいシャシーフィールを乱していたこと、そこに演出しすぎたスポーティ感があって、うーむ、を感じてしまっていました。そのため、その年末(翌年だったか?)のドライバー誌の輸入車選び企画では、高得点を付けられなかったことを覚えています。そのT-Rocがですね、昨年マイナーチェンジを行いまして、併せて、ハイパフォーマンスモデルである「R」を導入したというので、さて、どう変わったかをテストドライブしてみることにしました。というわけで、ここでは最新モデルの「R」だけのインプレッションとなります。  結論からいいますとね、あー、コンパクトクロスオーバーモデルとして、Rとして、こういう走りを目指していたのか、が、ダイレクトに表現されていました。もちろん、Rですから、路面が整えられていないシーンでは、意図的に規制されたサスストロークと、ハイトの少ないタイヤサイズから、キャビンへとゴトゴトといった音、振動が伝わってきまして、スポーティたる素質を感じさせてくれます。ただですね、これがですね、いやー、普段遣いで不満をそれほどに感じないレベルに抑えられていまして、ゴトゴトったって、カドの取れたゴトゴトで、ゴとコの間レベルであり、そこにまずもって感心を覚えました。もちろん、この手のモデルとしては……、という前提ありきの話ですので、人によっては、固さと捉える人もいるやもしれませんが。で、で、どんなタイヤをはいているのかとチェックしてみると、そのサイズは235/40R19。このシャシーに、これだけ大きなホイールを採用していることを考えると、よくあれだけの乗り心地を確保しているなと、感心しきり。で、タイヤ銘柄を見てみれば、なんと、ハンコックのventus S1 evo2。愛車、フォード・フィエスタの標準タイヤが、ventus S1 evoでしたので、剛性感を丁寧に作り込んだ上に、快適性を表現したあのフィールに懐かしさを感じました。あ、今はもうはいていないもので……。  エンジンは2.0Lガソリンターボでハイパフォーマンス仕立てがされており、その最高出力も300PS/5300-6500rpm、最大トルク

#1755 軽商用車で、縦置きCVTを採用した、ダイハツ・アトレーとハイゼットトラックの話。

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 クルマの、喫緊の課題である、いや、命題となっている、燃費と環境性能の向上は、もはや、良いほうがいい、ではなく、ひと銘柄ごとではなく、自動車メーカーとしてトータルで下げなければならず、どのメーカーも苦慮しています。そんな観点もあって、FR系の軽商用車の2ペダルトランスミッションについては、はたして、どうしていくのか、各社で提案が行われています。  スズキは2014年に、2ペダルトランスミッションとしてASG(オートギアシフト)を組み合わせたものの、あの間を与えるシフトフィーリングに共感を得られず、現在ではキャリイではATのみに。といっても、黙っているわけではなく、ほかモデルのASGには、その空白の間をモーター駆動でアシストし、フィーリングとしては、上手く消し去っています。商用車に対応できないのは、耐久性やらの面で、まだ課題が残っているから、でしょうな。では、ダイハツはどうしたかといえば、一昨年暮れのフルモデルチェンジで縦置きCVTを発表。どこまでラフな使い方に対応できるのか、燃費はどう変わったか、ということで、軽トラックのハイゼットトラックと、パーソナルユースをターゲットとしたアトレー(今回すべてが4ナンバー化)をテストドライブすることにしました。それにしても、つい先日発売されたばかりと思っていましたけど、気づいたら、発売から1年以上が経過していたようで……。ちなみにハイゼットトラックは、CVTを組み合わせたついでにあれこれと改良を行った、いわゆるビッグマイナーチェンジ、アトレーはフルモデルチェンジという扱いとなっています。  肝心なCVTたるフィーリングはですね、これまで組み合わされてきた軽乗用車では、乗用ゆえに、パワーユニット、ドライブトレインからのノイズがキャビンへと伝わりづらくされていましたが、こちらは、キャブオーバー、セミキャブオーバーレイアウトゆえに、ダイレクトにキャビンへと侵入してきます。低回転域でのトルク感、ダイレクト感を求めて、ローギアードにした設定もあるんですが、それよりも中回転域以降のノイズが急激に盛り上がりまして、意識的にアクセルペダルを踏み込んでいると少々気恥ずかしさを覚えるほど。ただですね、トルク感はかなりなもので、まさにグイグイと走って行くフィーリングがあり、頼もしさを覚えたほど。ま、空荷状態とはいえ、比較しなければターボはいらないかな

#1754 毎月訪れても、次から次へと、発見と出会いがあふれ出てくる、奥能登紀行。

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 1月に奥能登へと出掛けてきました。1か月ごとに訪れていますが、もはや、意図的です。いや、滞在しているうちにですね、また、来ようと思ってしまうのですよ。まさに、ループにはまって抜け出せないかのような感じで。で、前回は、人に会って、話をするを、テーマとしたところ、体力的どころか、精神的に疲れてしまった日がありましたから、今回は、ほんとうに予定をいれずに出掛けました。ただ、心地よさそうな美容院を見つけていたので、今回はそこへ行ってみようとだけ、思っておりました。  その美容院、海岸線を走っていた時に見つけました。そこは、海側に腰ぐらいの高さの堤防があるだけで、目の前がバンっと開けた海岸の陸側に何軒か並んだ「集落」で、もう、目にしただけで、心地よさそうな雰囲気にあふれていました(写真右)。海を眺めながらカットしてもらっている自分の姿を簡単に想像できるような店舗なのですが、懸念はふたっつありました。ひとつ目は、美容院なのでオジサンにとっては、足を運ぶには気が引けること、そして、高そうなことでした。でもですね、能登に到着して現地の方々に訊いてみたら、実は高くはないという話を聞いて、これは行ってみなければと思ったものの、なんと予約が取れない、という、想定外な事実が発覚しまして。その地域、集落といっても、それほど戸数は多くありませんし、また、奥能登の外浦(日本海側)ゆえに、住まう人も多くなく、行き交う人を目にすることなどほとんどないところだったので、オドロキでした。聞けば、地元の方々から絶大な人気を集めてしまっているようで、開店から1年で、もう、捌き切れないほどの人気店となっていたようです。で、ひとりですべてをこなしていらっしゃっていること、午前中は別枠に時間を割いていることもあって、予約は2週間先まで埋まっていることもざらとか。自分は、5日しか滞在しない予定だったものですから、こりゃ、カットしてもらうのは無理かも、いや、無理だ、と、思いつつ、とりあえず、電話をしてみたほうがいいと言われて、連絡してみたところ……。あら、明日の16時からどうぞ、という運びになりました。  で、出掛けてきました。美容師さんは、釣りと海とが好きな方でした。石川県金沢市出身で、金沢で経営していた美容院を奥さんに任せて、自身は、奥能登で悠々自適なライフスタイルと仕事を愉しむために、単身で移り住んでしまった