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#446 イマドキに応えてくれるスペーシアと、イマドキにならなくていいアルト。

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 スズキのスペーシアですが、何故、パレットから名称を変更したのかと思ったら、やはりスペースを感じさせる言葉を車名に採り入れたかったためだそうです。そこには、東武鉄道の特急の名称とのリンクは全くなく、話題性すら狙っていなかったそうで、そこに、トヨタとスズキの差を感じました。いや、いいとか、悪いとか、 ではなくて。  さて、そんなスペーシアですが、これがクルマとしての走りから、あれやこれやまで、よく練られてました。走りについては、なにせタイヤから上物までが一体となっているフィーリングが強く、 重心高を感じさせないところが特筆モノ。結果、スタビリティとアジリティはとても高く、ハンドリングまで含めて、良い加減でバランスさせています。軽自動車ゆえに懸念されるパワーも、一連の副変速機付きCVTのおかげで、NAであっても低速域から不足ないパワーを発生させていますし、気を許していると法定速度をオーバーしてしまうほど。その分、過渡域のキャラクターの薄さを感じてしまうのですが、まぁ、気にはならないかな。ターボについては、音・振動は気になりますが、パワーについては、フィーリング含めて、不足なし。いやはや。  と、褒めまくりですが、 つつけばいろいろ出て来ます。パーシャルスロットル時に存在をアピールする振動やら、ブレーキは停まると感じさせるでしょうけど、あれでいいのでしょうかなど、あれやこれや云々。ただ、トータルで考えると、価格を考慮すると、いいところで落とし込んでいると思います。  ちなみに、この日の試乗会では、改良を受けたアルトECOにも乗ったのですが、そのベーシックたる作り込み方と、これで十分感に圧倒されました。 そして、最近のクルマは、これで十分ではなくて、十二分になりすぎていることにも気付きました。 先の スペーシアは、イマドキの快適さに慣れ、捨てられない人々向けであり、まさにワガママに応えてくれるモデルですが、この アルトは、イマドキの快適さに対してどこかに疑問を抱き、そして、必要、不必要を仕分けようとしている人々向けかな、と。 まぁ、 ある意味、スペーシアとアルト(エコであろうとなかろうと)は対極にあると思います。 現在のグレードや装備展開とはまた別の話で、クルマのキャラクターとしての話。 どっちがいいとか、悪いではなく。  なんていうんでしょうかね、アルトは、こ

#445 賛成も、反対もできる、これからのジープが向かおうとしている先。

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 新型チェロキーが発表になりましたので、ほほぅと本国のリリースのタイトルを探ったらば、そのタイトルがJeep Cherokee Returnsと。ん? 復活? あ、そうか、日本ではチェロキーの名が残されていましたが、本国では消えていましたっけ。というわけで、その新型のチェロキーですが、リバティのポジションを継ぐにしても、どこへ落とし込むのかはとても興味深いものがありました。いまさらクロカン方向に振れませんし、いつの間にか増殖していたカジュアルSUVには重ねられず。で、ジープを見渡せば、上にはグランドチェロキーがあるし、下にはパトリオット&コンパスがいます。つまり、チェロキーは、そのコンセプトに、エントリーもラグジュアリィも掲げられない。まぁ、そうなったら、もうスポーティに振るしかないですな。  ってな考えがあったかはどうかは知りませんが、復活チェロキーはスポーティ路線を狙ったようで。そのデザインにしても、好き嫌いはともかくとして、破綻が見られないといいましょうか、上手く描き上げられていると思います。特徴的なのは下側のグリルですが、フロントマスクとして全体を捉えると、特に違和感はなかったりもします。デザインの妙ですな。  ところがですね、このデザインは2014年型のグランドチェロキー(画像右)として先に採用(発表)されていました。チェロキーでこのデザインを採用するから、グランドチェロキーも合わせた(統一した)んでしょうが、こうして比較するとどちらがオリジナルかを考えるまでもなく、グランドチェロキーにはやはり無理があるように見えてきます。 個人的には、何かに 恐れおののいたとか、だらしなく口を開けたかのように見えてしまいまして……。  まぁ、そんなデザインはともかくとして、ジープがこの先を見据えて、ブランドを大きく変えていこうとしている意気込みが、先のチェロキー、2014年モデルのグランドチェロキーから、しっかりと伝わってきます。ふと気付けば、日本での最新ジープはファッション性を前面に強調した展開をしていますが、アメリカ本国とはクルマに対しての考え方が違うことやら、社会性やら含めて、その手法を否定することもできず。なんてことを考えると、新しいジープは、そういう素材としても“使える”クルマに仕立てようとしているようにも思えてきます。いずれにしても、そんなジープの

#444 おまけではなく、ミニにはかかせないモデルだったミニ・ペースマン。

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 これで、7車種目なんだそうです。ミニ。もはや何が何だか分からなくなってきました、で、今回はペースマン。クロスオーバーモデルのプラットフォームをベースに、クーペスタイルをデザインしたというなんともかんともなモデル。しかもドアは3枚なのに、ミニシリーズの中ではもっと高い価格帯で、クーパーSの4WDは400万円が目の前に迫っています。デザインスタディとしてはとてもおもしろいんですが、その存在価値やら性能の落としどころが分かりませんでした、乗るまでは。そう乗るまでは。 ところが、乗ったらとてもいい。ミニらしいゴーカート感をベースにしながら、ミニ・クーペに似ていると思われるかもしれませんが、これが似ていない。あっちは尖った感がありますが、こっちにはSUVテイストをベースにした緩さがあふれています。そこに、3ドアというスペシャル感が加えられていまして、だから、ミニ・クーペとは似てないと。  試乗したのはクーパーとクーパーSの4WD。クーパーは、NAながらも中回転域トルクの豊かさとアクセル開度との見事なリンクはもちろん、ミニらしさがあふれていて、もう、感服。ところが、試乗したのは標準タイヤではなく、オプションの17インチ。まぁ、振り返ってみれば、 路面からの衝撃の吸収に対してほんのわずかな、ほんとにわずかな不満はありましたが、そんなことは全く気にならず状態でしたから、これもまたBMWマジックなのでしょうな。一方のクーパーS(画像左)は標準よりも2サイズアップの19インチという、まぁ、とんでもない組み合わせになっていましたが、これが許せてしまうという、なんともかんともなフィーリング。もちろん、マンホールやらの凹凸でも、見事なまでのドタンッ! を披露しますし、グリップ感も高すぎる印象があるのですが、シャシーがこれをしっかりと受け止めていて、バランスの範囲内。んー、恐るべしBMWと感じたのでした。  このミニシリーズもこれで完結であり、ひと段落かと思いきや、ベースのミニ(3ドアハッチ)がぼちぼちフルモデルチェンジ。この、話題性が途切れない、途切れさせない、と言いますか、飽きさせないところにも、いい意味でのミニらしさを感じたのでした。そう、そこにはクラウンの話題性とは、本質的に違う何かがあるのかな、とも。  あ、そういえば、買いのモデル云々、このミニシリーズを入れていな

#443 ピンクとフロントマスクに隠れたクラウンの本質とトヨタのこれから。

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 あのデザイン行き過ぎていやしないか、ピンクってどうなのよ、そんな話題が先行しているクラウンですが、まぁ、その話題性も狙ったもので、まさにトヨタらしさを強く感じます。が、一方で、その性能たるや、これまでのクラウンらしさといった面での語りが少ない。まぁ、陰に隠れてしまった感があります。  今回のプレス向け一般公道試乗会では、あれやこれやと異なる仕様にて23台を用意。まぁ、いうまでもなく乗り倒してきましたが、7台目で止めておきました。最近のトヨタはいい方向を向いていると書いていますが、このクラウンも好印象が多いモデルでした。クラウンとはなんぞやをベースに、質感を高め、そこにグレードという演出を展開するという手法は、正論づくし。サスペンションのストローク感に求めた豊かさはそのままに、その動きに質感と精密感を与えたというあのフィーリング。というわけで、それがいちばん強く表現されているのが16インチ仕様(ロイヤル)でした。試乗スタートは石畳(画像下)だったのですが、走り出した時、石畳が分からないほどにコンフォート感があふれていて、かなりのショックを受けました。しかし、それが、速度域を高めた時にまで繋がっていないところが実に惜しい。ただし、ハンドリングについては、高速域でのアジリティはとても高くて……、と個々に見ていくといいポイントはある。でも、つながらない。そこにクラウンのあと少しがあるのかなと、感じました。まぁ、その個々のレベルが高すぎるがゆえのことだとも思いますが。  一方、注目のアスリートの18インチ仕様はクラウンらしさを消すのではなく、しっかりと残したままに、クイックや非フラット感といったスポーティさを演出。商品としてはとても分かりやすさがあふれていましたし、高速域では安定性を含めた質感はロイヤルよりも高く、やはりシーンを限れば個人的には受け入れられる性能も見られたり。  トヨタは見えているんだと思います、クルマとは、どうあるべきか、が。あとはそれをまとめて、トヨタらしさを構築するだけ。そんなことを新型クラウンから強く感じたのでした。

#442 買ってもいいという前提付きな、ヨシダオススメなクルマ(その3)。

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 こういう話をすると、自然と国産車が外れてしまうのですが、これは意図的ではなく、そこは確実な違いがあるからで……。まぁ、価格で勝負すれば、燃費で語れば、国産車も土俵にあがってきますが、絶対的な性能という観点からすると、不足があることは否めません。でも、その一方で、ここであれこれ褒めていることもあります。そのあたりの理由、その1、その2でピックアップしなかったのかを含めて、云々。  まず、CX-5( #358 )の件。クルマとしてのレベルは高く、ディーゼルエンジンの存在を含めて買いの要素はあれこれとあります。が、しかし、コンセプトを表現しきれていないところがあり、それが自分にとってはマイナスとなっています。逆にいえば、今、買うのではなく、待てるなら待ったほうがいい、と。それはディーゼルエンジンのフィーリングと、19/17インチのどっち付かずな乗り味の件ですが、同じプラットフォームをベースとしたアテンザ( #422 )が、この件をクリアしていますから、CX-5でもやがて云々は明らか。そういう視点からすると、イチオシの手前に止まってしまうのです。では、アテンザはどうかという話になりますが、あと少しはあるものの、イチオシに入りますな。すみません、あっちで書き忘れました。  で、フォレスター( #405 )の件。SUVであることはさておき、クルマとしての完成度はとても高く楽しめるハンドリングとはなにかをバランスをもって作り上げ、ターボモデルやらでもそれを破綻させることなく表現していました。 それが一番わかりやすいのが、ボトムのMTモデル(価格を含めて)。そう、X-MODEやらアイサイトやらのギミックなしでも価値がある、つまり、ベースからしっかりと作り上げられておりまして、そんなところがとてもいい。そして、そういったスタンスに、 スバルのこれからを想像し、ほっとひと安心したりもしましたが。 で、そのスバルといえば、レガシィはどうなのかって? あの世界観を否定するつもりはありませんが、フォレスターで示した方向性がやがては……、と考えるとイチオシとは言い切れないかと。すみません、正直過ぎて。  個々のモデルという観点を少し外すと、トヨタが大きく変わりつつあることを挙げておかねばなりません。とは言っても、モデルによっては 演出感に頼り過ぎの面が 感じられますが、

#441 買ってもいいという前提付きな、ヨシダオススメなクルマ(その2)。

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 さて、話が止まらなくなってきました。DS3とか言い出すと、マツダ・ロードスターもそんな1台に入ります。次期型の話が公になっていますが、現行の最終型とされる2013年モデルの完成(熟成)度はすこぶる高く、その存在価値は新型とは異なるだろうと感じています。新型は想像以上にいいモデルになってデビューするでしょう、でも、現行型にあふれる良く悪くもなアナログ的感覚は薄れるでしょうから。ちなみに、個人的には“今の”86/BRZよりも、最終型ロードスターを選びますな、オープンカーですけども。あ、オープンといえばBMWのZ4もありました。これぞ、欲しいクルマ。 絶対的な価格は高いのですが、 性能相応な価格だと思いますし、むしろ安いくらいかと思えますが、……、以下略。  さて、ロードスターのように、デビューは少々前ですが 、いいクルマとしてピックアップできるモデルとしては、VWのティグアン( #398 )、ルノーのメガーヌ( #414 )、 BMWのX1( #378 )があります。 いずれもモデルライフとしては後半にさしかかっていますが、それぞれにいい熟成(進化)をしており、次期型が具体的に見えていないこともあって(比較できないからこそ)、買いとも言えます。どのモデルも、デビュー当初に表現したかったことをようやく実現できた感があり、それがコンセプトに見合っている点を含めて、とてもいい。もちろん、横並びの比較はできません。まぁ、ひとつ挙げるとしたら、 X1か。 旧来のBMWステアリングフィールの重たさ(ダイレクト感ともいう)が残っていて、それがシャシーフィールに見合っていて、とてもいい。デビューした時には、あれ? が多かったクルマですが、最新モデルは随分と変わっており、何よりもMスポーツが許せるではなく、Mスポーツがとてもいいと言える点も、自分ではオドロキのひとつでした。  ティグアンも同様の印象で、このタイミングでさらに飛躍してました。シャシーの質感の高さとエンジンが完全にリンクしていて、 FFでも十分だと 思わせてくれるところはなんともかんとも。 なんて言い出すと、メガーヌもバランスがとてもよく、ノーマーク的な存在であることも含めて、買いを強く勧められます。あ、強くは勧められるけど、分かる人にという前提付き。この場合の分かる人は、スマートとかそういう観点ではなくて。

#440 買ってもいいという前提付きな、ヨシダオススメなクルマ(その1)。

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 ふと、思ったのです。クルマに対して、あれやこれやと偉そうに語っているけど、ヨシダはどのクルマを選ぶのだと。で、クルマとしての完成度の高さ、つまり、買ってもいいと太鼓判を押せるクルマとして考えると、BMW116iか、プジョー208Allure( #430 )かという結論にたどり着きます。ほほぅ、ヨーロッパ車か、で、ハッチバックね、さらにはコンパクトカー。やっぱり自動車評論家的なのだね、と言われるかもしれませんが、純粋にイイクルマであり、素直に買ってもいいかなと思えます。まぁ、そこには自らのライフスタイルは考慮されていませんから、実際に買うかどうかは別ですが。まぁ、勧められることに間違いはありません。  そして1台には絞りきれませんでした。実は、この2車、被りそうで被らない。8速ATと5速MT、5HBと3HBという違いもありますし、ハンドリングやら乗り心地やらは、逆とは言いませんけど、それぞれに違う表現方法が用いられています。つまり、横並びな比較は出来ず、優劣も付けられません。208のアドバンテージは、緩さあふれるシャシー性能とMTと3HBであること。116iのアドバンテージは、まじめさあふれるハイバランスなシャシー性能と8速AT+1.6Lターボ。しかし、いずれにも共通するのは、それ相応の価格であり、バリューフォーマネーが強くあること。あ、日本の1シリーズに、3HB、MTがあれば、116iとなりましょうかね。  ちなみに、 ゴルフ1.2Lを入れなかったのは新型ゴルフ7デビュー前であるため。7はゴルフ6を大きく凌駕することは明かですが、逆に7デビュー後に、ゴルフ6でなければならない理由は少ないのかなと。で、 ボルボV40( #438 )を入れなかったのは、比較するとやはり1シリーズを選びたくなるから。では、 208AllureかV40か、と言われたら、V40を選ぶか。というように、 もう、それは見方を変えた瞬間に変わるという、ある種の支離滅裂ぶり。  それを言い出すと、実はシトロエンC3がいちばんって話もありますし、DS3のMTでしょって、広がり過ぎて、それこそとっちらかって収拾が付きません。いや、自分の中では整理してありますし、その買いの理由も事細かに説明できますけども。  というわけで、いったん切ります。そして、その2へ続く。