#1947 テンポが遅れたとは感じさせない仕上がりを得ていた、ルノー・グランカングー。
いや、ビックリしました、先月に日本へ上陸したばかりのルノー・グランカングー クルール。普通なスタイルのカングーをストレッチしているんですが、ただ、伸ばしただけではなく、ドライビングしていて、実にバランスに長けておりまして、それこそただ長いだけのモデルではない仕上がりに整えられていました。リアタイヤを後方へとストレッチしていくと、もちろん、回頭性に鈍さが生まれるようになっていきますが、このモデルの場合は、ドライビング中に、それを感じさせることがありません。なんていうんでしょうかね、回頭性の鈍さを上手く使っている、とでもいいましょうかね、そんな感じ。そして、リアタイヤの位置に対しては、自らが振り向くことなく、ピタリとその位置を当てられるほどに「バランス」が整えられていました。たとえば、全長はレギュラーモデルよりも420mmも長くなっており、車両重量にしても120kgも上げられ、さらに最小回転半径は60cmも広がって6.2mになっていますが、ステアリングを切っていくテンポに対して、リアタイヤの動きが余計な動きをすることなく、まさに絶妙といわんばかりについてくる。やがて、フロントサスとリアサスのバランスのよさが身体にしみ込んでくるようになると、クルマそのものの仕上がり方、つまり、全体のバランスのよさに感銘を受けるようになります。いや、すごいぞ、これ。ちょっと全長を長くしただけのモデルではなく、別物と表現したくなる乗り味のよさが広がっていました。
さらには、エンジンパフォーマンス的、つまりはスペック的には何も変更をしていない性能(若干は低回転域にトルクを与えているとのこと)のようですが、何もストレスを感じさせることなく、不足を感じさせることなくクルマを走らせてくれます。もちろん、日常では荷物を積み込んで出かけることも多くなるでしょうけど、低回転域からこれだけの太いトルクを発生させられるなら、……。って、ディーゼルじゃないんでしたっけね、ガソリンターボでした。あ、ガソリンターボ? って考えると、この的確すぎるトルク感に美を感じますし、満たされた低回転域にうっとり感すら覚えました。トランスミッションギアは7速EDCを採用していますが、その繋がった時の直結感はすこぶる高く、といいますか、高すぎてですね、逆に、日本で主流となっているCVT系との相性は実はよくないところもありました。たとえば、渋滞中などでブレーキを踏まずにいると前のクルマに簡単に追いついてしまい、焦ってブレーキペダルを踏み込まねばならないこともしばしば。それをあえて欠点というならば、そのぐらいかな。もちろん、中〜高回転域は、そもそも排気量が1.3Lということもあって猛烈なパワフルさはありませんが、不足を感じさせることは「きっぱり」となく、ゆったりとした乗り味以上を感じさせてくれました。
で、シートがですね、例のごとく、どのセカンド(左右)でも、さらにサードに乗っても、その座り心地は同じタイプに整えられています。写真に大きく写り込んでいるのはサードシートで、右にちらっと映っているのがセカンドシートです。もちろん、セカンド、サードでは、そのシート位置によって、膝からフロアまでの高さに違いがありますが、ちゃんと座っていただきましょう、といわんばかりに作り上げられた仕様が展開されており、もはや、天晴れといわんばかり。セカンドシートに乗り込むしてもリアドア開口部を広げてありますので、乗り降りで苦労することはなく、また、セカンドシートの上げ下げもワンタッチではありませんが、簡単にできるように仕立ててあります。
さらにですね、標準タイヤが、サイズは17→16インチ(205/60R16)となったこと、そして、銘柄としてミシュランのオールシーズンタイヤを採用していました。しかも初代モデルを採用しているにも関わらず、オンロードにおける乗り味のよさにもはや、うっとり。標準仕様で、この手のタイヤで合わせてあるモデルって、ないんじゃないかな、ありましたっけか? ってぐらいに、バランスが取れておりまして、オンロードのタイトなコーナーでも強くグリップ不足を感じさせるような仕立てにはなっていません。といいますか、ついつい、この手のタイヤを穿いていることを忘れさせてしまうほどです。ただ、ちょいと大きな振動を誘発するシーンでは、ボディにト・トンとばかりに揺れを伝えてきますが、それとて、普段が良すぎるがゆえに、気が付いてしまうところ。何か嫌みを感じるかといっても、それをマイナス面だと、お伝えしたくない、そんなレベルにありますね。
というように、ヨシダ的にはベタ褒めモデルな仕上がりとなっています。んが、やっぱりですね、ルノーのモデル、らしさにあふれていますが、一方は、細かなところにマイナス面がつきまとってきます。たとえば、国産モデルたるライバルと比較すると、オーディオ画面が小さいこと、右ハンドル仕様の左足の置き場が追いやられていること、そのほか細かなあれやこれや、とあります。しかし、そんな「つまらないこと」に気を使わなくなれば、こんなに仕上がりのよいモデルがあるのか? と、自問自答してしまうほど。どこに視点をもつか、それ次第で評価は大きくかわってくるでしょう。