#1802 ここはフォードだったんだよなぁ、今はジープなディーラーになっているけど。


 ついにフォードのフィエスタを手放すことにしました。細かなトラブルが多いため、続いてなにかが出てきそうな感じもあって、手放すなら今がいいのかな、と思ったところもありまして……。振り返ってみると、このフィエスタには11年ほど、自分のところに来てからは9年半ぐらい、で、6万kmぐらいに乗ったことになります。実に愉しめるモデルでして、具体的な何かが楽しいというよりは、トータルバランスに優れてはいないものの、ちょうどいい感じがうまく仕立てられており、それこそ何かに鋭さがあったわけではないのに、ほんと、いい感じのよさにあふれていました。言葉にすると、ものすごく難しいかもしれませんが……。

 たとえばエンジン排気量は1.0L。ただ、ターボによる過給ぶりが楽しさを生み出しており、トータル馬力としては100PSなんですが、その上に本国には同じ1.0Lながら120PS、140PSとありましたので、あちらではもっと違った愉しみ方ができたのかもしれません(国内は未導入)。もちろん、この100PSユニットでも、低から中回転域のトルクは太さがあってちょうどいい楽しさにあふれていましたが、このユニットは高回転ではあえてピークカットをしているところがあからさまでして……、たとえば、上からギアを落としてくる時に3000回転以上へ落とさせることを許しませんでした。まさに、デュアルクラッチへの影響を考えてのことで、まぁ、落としどころとしてはきれいにはできていました。いずれにしても、振り返ってみると、Bセグモデルとしては、あのフィーリングはすごくいいって感じに仕上がっていた、とも思っています。

 ほかにはなんだろうなぁ、ブレーキか。このブレーキがですね、たいした部品を組み合わせていないにもかかわらず、奥までしっかりと踏み込むことで制動がきれいに立ち上がってくるフィーリングが作り上げられています。最近のモデルは、少し踏み込んだだけでしっかりと制動力が出てくるモデルばかりですが、そこにじっくりと踏み込んでいくとしっかりと制動が出てくるフィーリングはあたかも古さと、言えるもの、かな。途中で、ブレーキパッドを交換する際にマツダ・デミオ用にしてしまいましたが、根本のゆっくりと踏み込むフィーリングは大きく変わることはなく、そこには愉しさがありました。ちなみに、デミオ用を流用したのは、このモデルは、マツダとあれこれと共用していたモデルであり、あれやこれやと共用ができたことも愉しさになっていました。

 そう考えるとですね、ある意味、このフィエスタは、マツダ・デミオベースなのですが、そのひとつひとつへのこだわりが違うこともあってか、まさに別モノ的な仕上がりを見せていました。もう少しいえば、ダンパーへのチューニングにフォードらしい深さを作り込んで欲しいなぁとは思ったものの、このモデルが仕上がったのは、前期のモデルの後半部のこと(2014年とか)。そう考えると、実にいい感じに仕立ててあるモデルであり、ああいうクルマって、もう作れないだろうなぁと、勝手に思っていたりします。
 ま、それが現実的になったのかどうかはわかりませんが、フォードブランドのBセグモデルは、日本に未導入となったままの現行型で終了しています。あ、そういえば、フォードといえば、16年に撤退してしまうのではなく、あのまま売り続けていればね、日本ではもっとおもしろい存在になれたんじゃないか、と、思ったりもします。そう、ブロンコシリーズでね。

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