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#1537 実直さをアドバンテージとしていた、ダイハツ・ミラ イース。

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 発売から1か月で月販目標台数の2倍を上回る受注を得たとアナウンスがあった、ダイハツのミラ イース。ん? 2倍で約2万台? 個人的には2万台という台数よりも、そもそも月販目標台数そのものが9000台と強気な設定だったことに改めて驚いた次第ですが、まぁ、クルマとしての仕上がり、ベーシックたるスタンスから、この手のモデルが売れ筋になることは、賛成だったりします。  というわけで、そのミラ イース。これがですね、なかなか上手く仕立てられていました。走りについては、数値として表れ難い実用面を重視したセッティングで、そんなスタンス含めて、とっても好印象。低中速トルクに重きを置いていまして、ターボ不要を感じさせるほどの加速を得ています。ボディの剛性は謳われているとおりで不足を感じさせませんが、各部が軽量化されたことで、たとえばドアの開閉などにおいて、その音、振動にチープさを感じるのも、これまた、事実。相反するところなので、難しいんでしょうけど、まぁ、こういうものさと思えば、不満にはなりません。シャシーはしなやかで、スタビライザーレスで仕立てていることもあって、これもまた不足なし。ただ、シャシーからのフィーリングとは異なり、タイヤが起因とした固さとロードノイズがありまして、この辺りをベーシックモデルだから許せるか、それとも、と、評価が分かれるところかな、と思います。とはいえ、このミラ イースの仕立て、実直さが強くありまして、なかなかやるじゃんを感じました。そうなんですね、このままのセッティングで、MTで乗りたくなる、そんな感にあふれていましたし、これをベースにスポーティに仕立てるもありを感じさせる、そんな基本性能に長けていました。  ただですね、って、これはチューニングの部分なので、どうにでもなりますけど、ブレーキがですね、初期制動力が高過ぎて扱い辛さがあります。踏み代が少ないことも一因ですが、まぁ、これは意図的な仕立ててであることが見えてくると、先のベーシック感には似合っていないなと感じた部分です。価格は84万2400円からとのこと。リーズナブルを謳うものの、それをあまり強く感じません。もっと装備をシンプルにして、もっと低価格からリリースできないものか、と思うのですが、販売ボリュームや、価格帯を考えると、やはりボトム的なグレードは切らざるを得なかったようで。訊けば、旧型では

#1536 好みも含めて、バランスに長けていたと感じた、V90クロスカントリー。

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 ボルボV90シリーズにクロスカントリーが追加となり、V90を含めて、北海道〜東京というロングドライブの機会を得たので、ちょいと感じたあれこれを。って、すでにV90に乗っていますから、比較すると……というスタイルからすると、好みはやはりV90クロスカントリー。理由はバランスに長けているから、ですな。簡単に言いますとね、V90に与えられたボルボ流の快適性を、クロスカントリーならではのシャシーフィールを用いて、さらに快適に仕立てています。もう少し言いますとね、サスペンションにストローク量とストローク感があり、凹凸のある地ではサスを伸ばし、一方で縮めて、路面を捉えようとする姿は、昨今のSUVには見られないもので、ほほぅ、20年前からクロスカントリーモデルをリリースしているだけのことはあるな、と感じました。で、そのストロークを乗り味に上手く生かしており、快適、快適。それでいながら、ハンドリングに曖昧さが出てくるわけでもありませんし、オンロードでのコーナーにおける安定感も極上。好みというよりも、仕立てとして、バランスが取れているんじゃないか、そんな印象を受けたほどでした。あ、パワーユニットは350Nm版(T-5)でしたが、日常域はT-6と変わらずといった印象がありつつ、踏み込んでも余計なパワーが立ち上がらない分、扱いやすさがあって、好みでした。ちなみにドライブシーンは、300kmほど、雨の北海道。  今回は、V90に再び試乗する機会も得まして、すでに #1520 にてV90 Inscriptionについて記したあれこれにちょっと訂正、といいましょうか、書き足しを。今回、走行したのは青森から都心までの約800km、つまりハイスピード域における印象についてなんですが、タイヤサイズが起因したバランス感が好みではありません。シャシーがそのままで、タイヤだけがハイパフォーマンスを奢られるというアンバランス感。つまりですね、スポーツサスペンションを組み合わせないと、速度域の高いところでは逆に不安を感じさせるところがあると。乗り心地において固さも気にならないとは書きましたが、ロングドライブにおいては、ゴトンといった音、振動が出てくるシーンがあり、おや? を感じました。そうなんです、タイヤのキャラクターとサイズによる行き過ぎ感があるんですね。まぁ、そんな程度です。  いずれにして

#1535 2.0Lという排気量に安堵した、CX-3ガソリンモデル導入の話。

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 これを出したらダメだと思っていました。でも、やっぱり出すことになりました。ただ、追加するにしても、廉価とか、何かと比較して選ぶのではなく、積極的にこれでなければダメなのです、的な理由を付けて、さらには話題性までも誘ってのデビューとなります。そう、日本市場のマツダCX-3にガソリンモデル追加される件(写真はディーゼル)。  個人的には、ディーゼルエンジンだけでどこまで踏ん張れるか、に期待していましたが、折れましたか。まぁ、仕方ないでしょう。そもそもですね、CX-3ってのは、価格やサイズ、ユーテリティ性能をアドバンテージとして作られたモデルではなく、そこにクロスオーバーという曖昧なカテゴリーを当てはめることすら憚られると思っています。コンパクトゆえの取り回しの良さをベースとしながら、適度に積めることをトピックとしながらも、街中を乗り回すことに価値があるモデルではなく、どこかへ出掛けたくなる魅惑を備えたモデル。ですから、ランニングコストに長け、ロングドライブでも疲れ知らずである、ディーゼルエンジンだけが組み合わされたわけです、価格上昇はさておき。さらには、自在の操作性を仕立てていますから、さらにそれを愉しめるMTも設定。で、どこかへ出掛けるようになると、どこでも走ってみたくなりますから、4WDも用意しておきましょう、と。実に、ストーリーが明確であり、このCX-3のスタンスに共感し、個人的には大好きなモデルだったりします。  まぁ、言い換えると、クルマの価値を、価格やユーテリティ性能やらだけで、決めてしまわない。といいますか、昨今のクルマに対してのアンチテーゼ的な、どこまでも走っていきたくなる魅力、というクルマたる走りの魅力を存分に表現したモデルとも言えましょうかね。なので、デミオがベースになっているとはいえ、デミオとはスタンスが違います。ですから、CX-3に対して、あれが欲しいこれが欲しいとか、これがあれば売れるのに、といった、外野の声をそれほど採り入れることなく、というか、採り入れてはならないモデルだと捉えていました。  結果、ここに来て、ガソリンモデル投入となったわけですが、まぁ、よくよく考えてみますと、それが先のストーリーから外れたものかといえば、そんなことはなく。そもそも日本以外ではガソリンエンジンを組み合わせたモデルは存在していましたし、それとて、1

#1534 アクアがあるのに、何故にヴィッツでハイブリッドなのか。

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 以前少し書きかけましたが、ヴィッツハイブリッドの話。昨今のトヨタは、好き嫌い、善し悪しは別にして、デザインや走りに一貫性を調えようというスタンスが感じられ、そこに好印象を感じています。ただですね、ヴィッツハイブリッドに対してだけは、? を感じます。アクアというハイブリッドユニットを搭載することを前提としたパッケージを作り上げ、ガソリンはヴィッツと棲み分けをしたはず、なのに、どうして今更に、ヴィッツにハイブリッドを組み合わせるのか。スペース効率、車両重量という観点からアドバンテージはないのに、どうしてヴィッツにハイブリッドなのか。ひょっとして、サイズ(全長)が大きく違うのか? いや、そんなことはなかったはずと調べてみれば、アクアのほうが50mm長いだけで、それでも4mに届かず。そう、全長で価格が変わってしまうフェリー料金にも差はありませんな。まぁ、考えるに、そこには大人の事情があるんでしょうな、たぶん。  というわけで、さっぱり解せないヴィッツハイブリッドですが、テストドライブすることになり、ちょいと500kmほど、日帰りで出掛けてきました。そしたら、やっぱりですね、解せない。ま、いちばん分かりやすいのは実燃費。8割近くを高速道路を走ったのですが、27.0km/Lに留まりました。あのですね、とにかく感じたのは、低燃費貢献にダイレクトに効くEVモードを維持しての走行が辛いこと。ユルユルのヨシダ走りであっても、後少しの加速が欲しいと思うところまで引っ張れない。って、高速道路ではほぼ関係ない話ではありますが。アクアはもう少しEVモードでの走行を許してくれたような気がするんですが、ヴィッツはわりと早くからエンジンが始動します。ま、高速道路を多く走ったこともありますが、アクアとは実燃費という面で、大きく差が生まれます。  となるとですね、そこまでしてヴィッツを選ぶ理由ってのが、ますます見えません。そうか、車両本体価格が大きく違うのだなと比較しても、約176万円からスタートするアクアに対して、ヴィッツは約182万円からと、劇的な差にはなっておらず(値引きは知らず)。ブランド力ももはやデビュー当時のような強さもなくなってきていますし。はてさて。ま、大人の事情なんでしょう、大人の。  走りについては、昨今、Bセグにやたらと乗っていること、ま、そもそもフィエスタに乗っている

#1533 意外や意外、レベルが高かった、プジョー3008のオフロード性能。

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 MINIクロスオーバーが、今年の輸入車でイチバンと発しましたが、ちょっと待ったとしておきます。いや、プジョー3008が思いのほかバランスが良かったもので。結論はロングドライブ後に……、というわけで、まずは試乗会で感じたプジョー3008の話を……、って、オフロード性能の面から詳細に語ります。実のところ、オンロードでしっかりと乗り込める時間がなかったもので。  って、そもそもですね、 #1439 、 #1479 にて、2008が意外にもオフロードを走ってしまうという話をしました。そう、FFなのに。そうなのです、4WDではないのに。2008の時とはコースが違いますし、最低地上高が175mmと、2008よりも10mmアップしていますが、それでも175mm。しかも2008よりもフロントオーバーハングは長くなり、車両重量は増えていますから、少なくとも2008よりは走るとは言えないだろうと予想していました。ところが……、って、実際にはフロントのアプローチアングルに厳しさがありましたが、エンジンが1.6Lターボとなりトルクがある分、パワー感での不足がなく、アングルさえクリアできれば、グリップを失うような路面であっても意外にも、まぁ、なんとかといった感も少し残しながら、クリアしました。  そうなんですね、FFなのに。ちなみにタイヤはオールシーズン、で、グリップコントロールというモード切り替えによる手助けありでの話です。ただ、訊けば、グリップコントロールによって提供される5モードはたんにスリップの量を変えるだけではなく、たとえば、マッドモードなどでは、グリップを失うとあえてスリップさせて泥を吹き飛ばしつつ、路面μを探り、グリップさせて、またグリップを失うとスリップさせてと、そんなこんなを左右輪で行っており、簡潔な言葉でいいますと、細かな制御を行っているとのこと。ですので、砂利の上り坂でもグリップを失いながら、得ながらを繰り返して上っていってしまいますし、右の写真のような段差において、浮いたリアタイヤの対角線にあるフロントタイヤが浮き気味になってしまうようなシーンでも、前進していきます。リアタイヤは駆動していませんから、ただ引きずられているだけ。そう、回っていません(駆動は伝わっていません)。つまりですね、フロントの駆動力だけで、車両を引っぱり上げてしまう、段差を上ってしまう。

#1532 ひたすらに感激した、新型MINIクロスオーバー・クーパーD。

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  #1506 にて、マツダ・CX-5が、今年のイチバンだと発しましたよね、ワタクシ。イチバンだという印象はいまだに変わりませんが、輸入車のイチバンってのを増設します、突然ですけど。それが、MINIクロスオーバー。プレス試乗会でのクーパーSDのファーストインプレッションを #1524 に記しておきましたが、先日クーパーDを借り出して約1000km走ってきて、それを強く感じました。って、いいクルマな雰囲気が感じられるプジョー3008に乗る前にして勢い余りすぎた発言のような気もしていますが……。  で、MINIクロスオーバーですが、試乗会で感じたとおりのことをクーパーDでも感じました。乗り心地については17インチだから異なるという設えではなく、パフォーマンス分チューニングしてあるといった印象。つまり、悪くない。でも、乗り心地重視という印象も見当たらず。ま、このあたりは意図的ですな。どのモデルを購入しても、スポイルし過ぎないというを快適性をチューニング。実際、クーパーSDのバランスを知らなければクーパーDで十分を感じ取れますが、最大トルク400Nmを発生する実力を知ってしまうと、クーパーSDっていいなぁと思えるところもあります。  さて、ロングドライブで何に感激したって、シャシーのしなやかさでしょうね。柔軟性といえる、しなやかさ。そこに速さがある。そう、シャシーが速い。さらに気付いたんですが、アイドリングストップ機構の世代が変わっているでしょ、これ、と言わんばかりの制御になっていました。あのですね、再始動が速すぎる。エンジンが停止しかかったところからの再始動はもちろんですが、停止状態において、ブレーキペダルから足を離しきる前にすでにクリープが始まっているという、レスポンス。ディーゼルで。このあたりの仕立ては恐れ入りましたといった感があります。  エンジンパワーもまったくもって不足なし。ドライビングモードでグリーンを選んでおくことで低燃費にかなり貢献しますし、それでいながら加速にストレスを感じさせない。ま、MIDを選ぶと元気よさが顔を出しつつ、グリーンに慣れてしまうと、おっと燃料吹き過ぎだぜ、と感じさせてしまうところもあります。って、そうなんですね、MINIにおいては散々述べていますが、一部でオプションとなっているミニドライビングモードは必須アイテムです。それと、

#1531 なんだかんだでやっぱり欲しい、ルノー・ルーテシア(フェイスリフト版)。

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 ドタバタが続いて、能登でのリセットもすっかり効果を失い、とっとと心も汚れてしまった、今日この頃。能登のまとめをと思いながら、なかなかできず。しかも本日は、昨日取材、今日締め切りというプレッシャーの掛かる仕事があったりして、なおさらに、心が晴れません。というわけで、まずはウォーミングアップとばかりに、ここを書いていますが。  ということで、題材は、ルノー・ルーテシア。今までにも記していますが、Bセグにおいて、所有したい欲がいちばん強いのが、このルーテシア。理由はあちこちに書きましたが、なんといってもデザインでしょうな。走行性能からするとプジョー208のほうがいいなと思うところも多く、また、デザインも悪くはないんですが……、って、そう欲しくてたまらないという勢いには届かない。あ、でも、MINI ONE MTのほうが、デミオのディーゼルMTもあったか……、いやいや、いずれもデザインにおいては、ルーテシアのデザインのような心を直撃するまでには至らない、敵いません。  というわけで、さりげなくフェイスリフトを行っていたルーテシアをちょちょいと1000kmオーバー走ってきました。精悍なフロントマスクに、あいかわらずのリアビュー、さらに大人の雰囲気を強めた新色の赤と、さらに打ちのめされました。いうまでもなく走りも相変わらず。実はその直前に試乗していたのがノートだったこともあって、印象がこんがらがっているとこもあったんですが、走りそのものは大幅にブラッシュアップさせたという印象は少なく。つまりですね、あいかわらずにターボの使い方は上手く、シャシーのスタビリティもハイレベル。って、あれです、装備だけゴージャス、でも、走りはスタンダードな、インテンスでの話。なんでしょうね、この2000回転をちょいと過ぎた辺りから天井に張り付くようなトルク感。2ペダルMTのおかげもありますが、トルクとはなんぞやをしっかりと分かっているチューニング。ただ、2ペダルMTとアイドリングストップの相性は、フォルクスワーゲンの初期モデルを思い起こさせるフィーリングで、タイミングを誤ると、傾斜のあるところでは下がるは、再始動にラグがあるは、で、ユニットの世代の古さが完全にウィークポイントとなっています。せっかく付いているのにオフにしたくなるとでも言いましょうか、そんな感じ。  って、マイナスに感じたのはそれ