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#1226 打ちのめされた、矢野顕子 Piano Solo Live 2015の話。

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 以前に書いたと書こうとしたら、書いていなかったようで。5月に、矢野顕子のライブへ足を運びました。あれです、テクノサウンドを全面に出した昨今のアルバムの全曲、ピアノで弾き語るという、なんとも大胆なライブ。って、アルバムについては書いたか、どっかで……、と振り返ってみたら、 #823 にて、アルバムのことを書いていました。で、そのピアノ弾き語りというからには、足を運ばないわけはありませぬ。  ライブは、もはや、こう弾きますか、そうアレンジしますか、といった、矢野顕子節にあふれていて、本人も二度と同じようには演奏できないというほどの、まさにライブ感に、打ちのめされて帰ってきました。  その時、収録していると言っていましたが、最近、音源が発売となりました。って、ピアノサウンドですから、CDを購入しようと思って調べたら、なんと、配信のみ。どうしようかと迷いましたけど、まぁ、配信しかしないのならば、仕方ない。というか、配信のみとすることで、アーティスト側というか、制作側というか、販売する側には、どんなメリットがあるのでしょうかね。コストダウン? って、それほどできないと訊きますし。  ちなみに、ライブではいちばん打ちのめされたのは、Yes-Yes-Yesでした。電話線や在広東少年やリラックマなんたら、なんかは、オリジナルがありますから、オドロキさせながらも着地点の想像はつくわけですよ。しかしですね、アルバムの中で大胆すぎるというか、オリジナルを見失うほどの完成度を極めていたYes-Yes-Yesは、期待を裏切るというよりも、想像もつかないようなアレンジで表現されたわけで……、もう、勘弁といった感じでした。  というわけで、その時の感動を味わいたいとばかりに、配信音源を購入したわけですが……、って、あの時と違うような気がする。って、東京でのライブ2日間を収録して、いずれかを使っているそうで。ということで、そうか、足を運ばなかった2日目の音源かぁ……、と思ったものの、ひょっとして足を運んだ1日目かもと思うところもあって。ほら、あそこまでアレンジされてしまうと、詳細はすっとんでしまい、凄いってことしか覚えていられないもので。  あ、画像はamazonのアフィリエイト張ってあります。Yes-Yes-Yesにて。サンプルを聴けるようですので、興味ある方は、画像をクリックして聴

#1225 その真価はゴルフ7譲り、VW・ゴルフ・オールトラック

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 突然に、ゴルフ・オールトラックの話です。ゴルフ・ヴァリアントをベースにグランドクリアランスをわずかに高め、プロテクターテイストを加えた、あのモデル。試乗会の好印象ぶり( #1207 )を確認しようと、借り出しました。ところが、借り出してみたら、少々の物足りなさを感じました。  で、それを探ろうと、全体像を見渡したところ、その乗り味はSUVというよりはいかに乗用車ライクに仕立てるかにポイントがありました。つまりですね、SUV的な緩さをいかに与えないかを命題にしていたかのような仕立て。消し去るんじゃなくって、感じさせないという仕立て。具体的に表現しますと、重心が高められた分でコンフォート感を作り込みつつも、それを感じさせないセッティングにまとめてあって、そこに感心しきりでした、と。ところがですね、そんな中にありながら、ステアリングフィールが、その良さにリンクしていない。具体的には、操舵した際にクルマが向きを変えないことに繋がる曖昧さではなく、初期の応答に不足はないものの、ブッシュやらに緊張を与えるまでの過渡域における操舵感が薄く、そこから先、シーンとしてはロールを感じるところからの操舵感が濃くなる。分かりやすい表現をすると、軽く→重くとなるわけですが、このモデルの場合は、薄いから濃いといった、フィーリングの豊かさという表現のほうが的確なのでそう書きましたが。  で、その理由はスロットル特性やらステアリングフィールを切り換えるドライビングプロファイル機能ににありました。そうなんです、ステアリングをスポーツにしたら、これが解決。それは、いわゆるクイック感を煽るとか、重たすぎるといったフィーリングではない、まさにステアリングフィールの質感を高めている、といった感じ。まぁ、スポーツゆえに、操舵感には重たさが加えられていまが、個人的には、そこに異なるフィーリングがないこと、つまり一定としたことに意義を見い出しまして、それを重たさとは表現したくない、そんな仕立てとなっていました。となるとですね、なぜ、このフィーリング(重たさは別にして)をデフォルトにしなかったのかが、不思議。日常で、ひょいひょいと操舵できることに、何かを見いだしたのでしょうかね、VWは。  というわけで、その後、ステアリングモードをスポーツにしてからは、コーナリングが愉しい、愉しい。懐の深さを感じさせるシャ

#1224 ホントにデビューしてしまった、1シリーズ3気筒エンジン搭載モデル。

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  #1222 を書いた翌日、3気筒1.5エンジンを搭載したBMW1シリーズが登場しました。まぁ、誰しも予想できることでしたから、別に……って感じもあります。しかし、驚いたのは搭載よりも、なんと価格を下げぬままに、しかも、118iの名称でデビューしたこと。ほら、春先のマイナーチェンジで、116iを118iに昇格させたのは、てっきり、この3気筒を116iにするためと思っていましたから。でも、違った。そもそも、118iな4気筒バージョンをラインナップから落として、116iとして3気筒エンジンを導入するかなとも推測していましたから、この交代劇にはちょいと驚きました。  というわけで、パワースペックを下げることなく、燃費10%改善を謳い、新型エンジンをデビューさせました。って、よく見ますと、最大トルクを発生させはじめる回転数をダウン(1350→1250rpm)させつつ、最高出力を発生する回転数のトップ側をダウン(4400〜6450→4400rpm)としていますので、フィーリングとしては少々異なることが想像できます。ミニ・クーパーとマイナーチェンジ後の118iのフィーリングから推測するに、マイナー前ユニットは高回転までのフラット感がありながらトルクがもう少しあればいいのになという118iに対して、マイナー後ユニットは扱いやすさやらトルク感にオドロキつつ、高回転まで回らなくってもいいっしょ、と妙に納得させられるだろう、そんな違いがあるのではないかと思われますな。さて、どんなもんでしょうかね。  まぁ、いずれにしても、1シリーズのマイナーチェンジ後の4気筒1.6L(100kW)版は、3か月と少しか販売されなかったわけで、レアというか、希有というか、そんなグレードとなりましたな。それにしても、今回の改良は、オドロキだらけでした。個人的には、価格を下げて欲しかったのですが(298万円のまま)、まぁ、あいかわらずナビ付きですから、仕方ないのかなと思いつつ、やっぱり、プレミアムを謳うブランドゆえの戦略がそこにあるような気がします。あ、ってことは、3シリーズの3気筒は、どういう位置づけにするんでしょうかね。少なくとも4気筒2.0Lターボの代わりにはなりませんから。って、出るんでしょうか。……。

#1223 MINI ONE 5ドア、ほぼ標準仕様に、表現されていたMINIらしさ。

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 さて、期待のMINI ONE 5DOORのノーマル仕様、600kmほどのテストドライブとなりました。 #1218 で、ファーストインプレッションを書きましたが、実のところ、あの時の印象は大きく変わらずでした。ただですね、長く乗っていたら、このモデルに対しての理解の仕方というか、スタンスというか、あれこれが見えてきました。  まず、先に述べたバランス、簡単にいいますと接地感たる演出不足については、主たる要因はエコに振りすぎたタイヤのキャラクターにあるような気がします。ただ、よくよく観察してみると、要因となっているのは、タイヤだけではなくて、サスペンションのセッティングもそれに倣っているなと感じつつ、ここで気づきました。これ、ここで、バランスさせてる、さね、と。つまりですね、仕立てだったわけです。  いや、当初、走り込めば、違った一面を見せるかなと思ったのですが、これがタイヤのグリップ感は探れても、グリップ力を意図的に高めていない上に、スムーズといわんばかりにアンダー方向へ導くのです。つまりですね、単なるグリップ力不足、とは表現できない、評価となりましょうか、そんな感じ。  それに気づいてからは、速度域というよりは、ドライビングを完全にまったり方向へと変えて……、そしたら、良さが出てきました。これまで散々に乗ってきた新型MINIでしたが、ジョンクーパーワークスまで含めて、スポーティなセッティングのモデルが多く、そのイメージを演出されたスポーツ感に求めていたようです。それゆえに、いつしか、MINI ONEの本来の緩さを忘れていたと。それに気づくと、オンセンターのフィーリングも気にならないし、かといって、そこにゴーカートライクなMINIテイストがないわけではなく、そう、ONEたるバランスに感心を覚えました。  というわけで、MINIに対して、まったりゆったりのんびりとした乗り味を求めているならば、ONEがオススメ。1.2Lターボエンジンも、十二分手前、でも、十分以上ってなパワーを持っていますし、何より、そのすべてがバランスしているのがいい。ちなみに、乗り心地については、標準タイヤ(15インチ)であっても、タイヤのケース剛性もあって、期待ほどのコンフォート感はありません。まぁ、4名乗車すると総重量から硬さが途端に顔を出しますが、これがMINIらしさと言えば

#1222 装備充実ではなく、価格ダウンを求められる、これからのクルマ。

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  #1221 であれこれ書いていたらですね、これからは装備を充実させてリーズナブル感を出すのではなく、クルマの価格そのものを下げていかなければならなくなるだろうな、なんてことを感じました。あ、アッパーモデルの話ではなくて、庶民の手が届くクルマの話。アッパーモデルは、価格に左右されないようですから、まぁ、もっと上がっていくでしょうな。そして、庶民からはどんどん遠のいていくのでしょう、きっと。  で、価格ダウン云々の話。気づきました、新興国向けと謳ってリリースしているモデルを、国内に導入してはどうかと。仕様というよりは、品質を、その地域で求められるレベルに仕立てたモデルですから、日本人のように、すっかり贅に慣れてしまった人たちに受け入れてもらうには高いハードルが存在します。ただ、それら最新モデルを眺めていると、品質やら質感に以前ほどの不足は見られず、むしろ、ベーシックでいいじゃん、意外にいいね、と捉えられるようになってきている気がします。  だからといって車種はなんでもいいわけではなく、日本で受け入れられるには、品質や装備とは異なる唯一無二的な理由が必要になります。そう考えた時に浮かんでくるのが、SUV。三菱自動車のパジェロスポーツ(写真上・中)や、トヨタのフォーチュナーには、国産SUVにはないサイズ感がありますし、実はフレーム別体ボディだったりとか、これでなきゃいかん、という理由があれこれとあります。日本で必要かどうかは、また別にして。そして、価格設定次第ではすんなりと受け入れられるのでは? と思うのです。なんていうんですかね、昔のクルマは良かったよね、的な話を良くするじゃないですか、クルマ好きって。新興国向けのモデルには、まだ、それが残っているんですね。そんなことも含めて。まぁ、燃費が……とか、排ガス基準が……とか、さらには先進安全技術やら、あれこれ言いだすと、導入は難しくなっていきますが。  そうそう、この前、 #1217 でBMW3シリーズに3気筒モデルを入れたら、価格を下げられるのにな……、なんて話をしましたが、あの手法もありかもしれないなと思うようになりました。まぁ、3シリーズはアッパークラスなイメージがありますから、日本では受け入れられないかもしれませんが、1シリーズは、ありだと思います。そう考えると、日本には上陸していないボトムグレードが

#1221 最近、見えづらくなっている、走るというクルマたる本質。

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 改良を受けたランドクルーザー200系についての原稿を書いていて、文字数オーバーから、省いた部分がありました。かつてのライバルが、いつしか、手が届かぬ価格帯になってしまったって話で、ランドクルーザーってまだ手が届くギリギリにあるよね、そして、余裕がある人向けにはちゃんとレクサスLX570(1100万円)を用意しているしね……、という流れにするつもりでした。 で、その時に販売価格の過去と現在を調べたらですね、まぁ、高くなったとは思っていましたが、ここまで引っ張り上げましたか、といわんばかりの上昇をしていました。                95年当時      現在  レンジローバー       595万円〜  →  1338万円〜  メルセデスベンツGクラス  750万円〜  →  1018万円〜   ランドクルーザー      〜390万円  →  〜約680万円   まぁ、レンジローバーとGクラスは、そのポジションを意図的に高めたり、ブランドも同様のあれこれがありましたし、安易に横並びで価格アップを語れないところもあります。ただ、あの頃を知っている者としては、懐かしいといった感じでしょうかね。振り返ってみれば、チェロキーも、ディスカバリーも、ブレイザーも、300万円前後で、並んだ時期もありましたし。ま、円高という時代の流れもありましたけども。と上で比較した価格帯上昇はアッパークラスでの話ですが、全体的にクルマの価格が上がっているのは事実です。それは原材料の高騰もありますし、以前はマストではなかった安全性が求められ、それに付随する装備やらが付きましたから……、とは、メーカー側の弁。まぁ、そのとおりであり、これを言われると、消費者としてはぐうの音も出ません。ま、少しは出るか。  ただ、個人的には、それよりもほとんどモデルで上級グレードに誘導される、つまり、さらに高いほうへと導かれる、この販売方法におや? を感じることが多くあります。たとえば、吉田的には十分だと思っているマニュアルエアコン装備のボトムグレードがあって、その上のグレードとの価格差が30万円あったとしましょう。でも、その上のグレードは、アイドリングストップがついて、HIDヘッドランプになって、フォグランプがついて、マルチインフォーメンションディスプレイがついて、本革巻きのステアリングホ

#1220 複数が満たされていないと購入に至らない、昨今のスタイル。

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 体重計っていうんですか、体脂肪まで調べられる、計測器を買いました。いや、以前使っていたものが壊れて、特に不自由はしていなかったんですが、とあるオンラインストアの1年間有効だったポイントが8月で消滅するというので、そのポイント消化のために、買いました、と。  で、届いてみれば、箱の中にネットにてアンケートに答えてくれというお願いがあり、回答してみようとwebページを開いてみました。まぁ、アンケート内容はこれといった特殊なものではありませんでした。が、「いちばん目に魅力的だと思う点は何か?」という問いがあり、さらにその理由の1番目だけではなく、2番目、さらに3番目と、順位付けをせよ、とあり、少々戸惑いました(画像)。というのも、そもそも必然から手に入れた製品ではなかったこともありますが、この商品を選んだいちばんの理由はひとつではなく、いくつかの項目が自分を納得させるラインを超えていたからだったもので。つまり、何かひとつが欠けていても、購入には至らなかった。といっても、価格とデザインとサイズなんですが、たとえば、いくら価格が安かろうとも、サイズが大きすぎたら置き場に困るし、価格とサイズがぴったりでもデザインが好みでなければ選ばなかった……、などなど。  思うんですね、もはや、今の時代ってのは、すべてとは言わないけど、複数の条件が整っていないと、購入という行動までには至らないんじゃないかなって。ま、自分だけかもしれませんが。最近では、これをパッケージ購入スタイルと、勝手に呼んでいますが。  先のアンケートは、強いていえば……、ってことで選んで欲しかったんでしょうけど、ちょっとね、違うと思ったので、回答せずに止めました。