#1765 FFだからという言い訳が見当たらない、新型BMW・X1。たださ、乗り心地に固さがあるのだな。

 BMWのボトムモデルであり、でっかいMINIとプラットフォームを共有している1シリーズ、2シリーズアクティブツアラー、X1、あと、ほかにあったっけか、あ、X2ですが、#1753とんでもないどころの騒ぎではなかった、BMW2シリーズアクティブツアラーの話。で、記したように、2シリーズアクティブツアラーから、プラットフォームは大改良を受けておりまして、その進化はデザインや走りだけではなく、操作系から表示部までに見られるものとなっていました。もちろん、そこにはEV化も見据えたあれこれがデザインされていまして、具体的には、現行型X1シリーズベースモデルとしてEV専用iX1がラインナップされています。


 今回、テストドライブをしたのは、ガソリン2.0Lターボを搭載したxDrive20i xLine。つまり、4WDで、現時点でボトムとなるグレードです。ちなみに、ガソリンモデルとて、海外では、18i(1.5Lターボ)や23i(2.0Lターボ高出力版)がありますから、日本ではどのタイミングでどのユニットを導入するのか、しないのか、見どころになってくるかと思います。ただまぁ、中途半端な価格に落とし込んだところで、数を見込めるわけでもありませんから、現在のガソリン、ディーゼル1機ずつでもいいような気もしています。というのも、この2.0Lがですね、7速DCTとの協調制御も含めて、日常シーンから、高速域まで幅広い性能を得ていまして、不足が見当たらない。ま、あるとすれば、トルクがあるので、ついつい踏んで愉しんでしまうこと、そして、2.0Lゆえの自動車税でしょうか。あ、昨今のカーリースは自動車税込みなんでしたっけか? なんだかな、そういうところまで、「意識」しなくていいように、なってしまっているから、あんまり関係ないのでしょうかね。いやはや、いやはや。


 さて、少し話がずれましたが、X1の話。まず、先の2シリーズアクティブツアラーで感じていた新プラットフォームに対しての印象は大きく変わらずでした。具体的にはハイパフォーマンスを引き出せるポテンシャルに驚きつつも、まさかのベースモデルではギアセレクトをできない不満(BMWがこれでいいのか! 的な)、AppleCarPlayの認識が速すぎるといいたくなるほどに速いこと、そして、初期制動力の立ち上がりが強すぎてブレーキペダルを踏み込む際にかなり気を遣うこと(ACC作動時も同様)、ほかほか、そのあたりは変わらず。もちろん、このモデルならではの気になったところもありまして、標準装備されているタイヤサイズが225/55R18ということもあって、乗り心地に固さがありまして、これが自分的には不満。もちろん、フラットな路面では、なんだこの接地感は! と印象を高めてくれるフィーリングに変わるのですが、路面状況が悪いところ、といっても、ラフロードではなく、度重なる工事でアスファルトが継ぎはぎになっているシーンやら、マンホールにおける段差やらで、ちょっとした凹凸の存在を強く感じさせる「固さ」があります。まぁ、気にならないといえば、気にならないけど、自分的にはすごく気になるレベル。あ、まさか、これ……、と気づいて調べてみたところ、このタイヤサイズはxLine特別装備だったようで、海外では205/65R17を標準としています。タイヤのキャラクターだけではなく、ハイトの問題だけではなく、タイヤサイズが大きすぎる、つまりは、バネ下が重たくなっていることが、悪い印象を作り上げてしまっている、と感じました。そこまでして、大径タイヤにしたいのかな、と、思うのですが、したいんですね、みなさん。


 走りについてはですね、ハンドリングは素直さがありますし、4WDですが、コーナーにおける回頭性はすこぶる高い上に、ハイグリップであることも手伝って、どんどんとインに切り込んでいけます。ケチつけようにも、不足だとか、破綻を感じ取ることはできず、参りましたといわんばかりの仕立て。といっても、これはタイヤのスキール音を出してしまうような高い速度域の話ではありません。むしろ、当日は、路面はウェットで、飛ばすことはあえて止めていましたが、そんな速度域において、ドライバーはもちろん、乗員にも不安を与えていなかったという、特筆すべき点が印象に残りました。


 さらにですね、プラスの意味合いで印象に残ったのは、キャビンにおける快適性でしょうかね。とにかく静か。雨音すら心地よいという静かさ。さらに、シートポジションがですね、あれ、これ、マツダだっけか? と思わせるほどに、すんなりと取れる。フロントシートに心地よさがあります。もちろん、BMW流のリアシートの居心地のよさ、つまり、すっぽりはまってしまう感は、そのままで。そうかー、BMWスタンダードをFFにも展開してきたかと、ちょっと感激したほどでした。
 というわけで、その乗り味における固さをどう捉えるかが、購入するべきか、いなか、の判断にしてもいいんじゃないでしょうか。あ、フルEVのiX1は、そのうちにまた。

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