#1567 ランドクルーザープラドの直4/2.7Lエンジン搭載モデルのインプレッション話。

 仕事の話を。新車をテストドライブして紹介する記事を執筆することが、今のメインの仕事となっています。なんて、改めて言うことでもないんですが、ないんですが、実はすべてのクルマを試乗しているわけではありませんし、クルマどころか、グレードになると、なおさらにすべてに乗っていないのも、また、事実。ただ、昨今のモデルは、同じモデルの中であれば昔ほどのハードウェア差がない場合もありますし、あったとしても乗り味の方向性を同じとしていますので、全部に乗らずしてもというところもあります。わかりやすく例でいいますと、エンジン差は明らかに違いが存在しますが、1サイズ程度のタイヤサイズ差では乗り味に劇的な違いがなかったりもするものです。
  と、前置きが長くなりました。さて、本題に。自動車雑誌系でインプレッション記事を見かけたことがないモデルの話です。トヨタのランドクルーザーのプラドの話。プラドは、昨今のトヨタ車の例に倣って、同じモデルサイクル内で2度もフェイスリフトを行いました。しかもそのレベルたるや大規模だったという、マイナーチェンジを施しています。異例ですな、まさに異例。で、この最新モデルの自動車雑誌に掲載されているインプレッションは、ディーゼルエンジン搭載モデルのみとなっているかと思われます。それはなぜか。メーカーが用意した広報車が、ディーゼルユニット搭載モデルしか、ないためです。しかしですね、クルマの仕上がりレベルはさておき、現在、プラドにおいて売れ筋となっているのは、ディーゼルではなく、ガソリンエンジン(直4/2.7L)モデルのほう。先日、取材で試乗した広報車に至っては、エアサスやら装備した最上級のTZ-G(ディーゼル)、でも、販売割合は多くないグレードですから、ここに、ユーザーが求めている情報と、発信側との想いに、すれ違いがあります。 
 プラドの最新モデルについては、今週末だったかに発売される新アポロ出版刊ランドクルーザーカスタムブックで記しましたし、以前から述べているように、プラドらしい世界観を存分に表現している(た)のは、ディーゼルユニットやV6/4.0Lガソリンエンジン搭載モデルであり、直4/2.7ガソリンエンジンとの組み合わせには、物足りなさが存在します。しますけれども、売れ筋グレードを考えると、多くの人が欲しい情報は、この直4のほう。というわけで、この2.7Lモデルに試乗してきました。といっても、仕事ついでではありましたが。いや、実はトヨタレンタリース東京の仕事をしていまして。って、そうなんですね、レンタカーにて。え、レンタカーって、最新型は後回しになるんじゃないの? と思われるかもしれませんが、街中で存在をアピールするには、いち早く走ってもらう必要もあるわけで、そのために、うまくレンタカーを利用しています、最近のトヨタは。
  さて、結論。実のところ、この直4/2.7Lの2TR-FE型というユニット、嫌いではありません。高回転まで引っ張れますし、トルク感もあって、いい。いいんですが、プラドとの組み合わせという観点から眺めると、やはり不足があります。それは車両重量だけではなく、プラドが求めたゆとりがもたらすゆったりとした乗り味をスポイルしてしまうという点で。いや、悪くはないんです、悪くはない。DualVVT-i化されたことで、よりフラット感とトルク感を増してはいますが、サスペンションのゆったりとした動きに対して、エンジンがゆとりを表現できていない。ATを6速化したことで、そのあたりのフォローもできているんですが、ATの制御を眺めていると、普通にドライビングであってもパワー不足を感じさせない方向でひっぱるところがあります。いや、いいんですよ、不満を感じさせないようにするための制御ですから。いいんですけど、それでも不足。高回転までパワーが発生しますから、悪くはない。でも、プラドのとの組み合わせには、不足感があるだけのこと。言い換えますと、MTならば、このエンジン、おもしろいところ引き出せるだろうな、なんてことを、感じさせてくれます。
  結論としてはですね、ディーゼルにしたほうが満足感は高いと思います。その価格差は小さくありませんし、リセールも直4/2.7Lガソリンのほうが高いと現実があっても。ちなみに実燃費は取材だったにもかかわらず9.3km/Lと、カタログ燃費値を上回っていました。ただ、ディーゼルは13.5km/Lだったかですから、なおさらに長く乗るならば、長く乗れるモデルだからこそ、ディーゼルにしたほうが満足感は高くなります。シャシー性能については、TZ-Gのエアサスの仕上がりもとても良かったんですが、コイルスプリングを採用したモデル、今回の改良でかなり調えられていまして、フラット感にあふれていて好印象。ま、今どきには見当たらない乗り味ではありますが、サスペンションストローク量とダンパーの減衰を上手にバランスさせていることも含めて、とってもいい。コーナリングではリアを踏ん張らせるというスタンスを作って駆け抜けていく、ところも、最近のトヨタのシャシーの仕立てそのもので好印象でしたし。
 というわけで、お勧めはディーゼル+コイルスプリングと言いたかったのですが、KDSSを組み合わせられないことが不満。ほら、KDSSって、オンロードはもちろんですが、オフロードでこそ欲しいデバイスですから、どうしてボトムモデルにKDSSを組み合わせないのか、不可思議で仕方ありません。って、今度、理由を訊いてきます。そうそう、トヨタレンタリースでは、新型車をいち早く設定するだけではなく、借りた人に対しての後フォローもしっかりとしています(写真左)。後日、プレゼントを用意して、後日アンケートに答えてもらうだけではなく、新車購入への誘導もしています。このあたりは、さすがを感じます。ただ、アンケートに、美点を必ず3つ選択させる項目があり、ちょっと? を感じたりもしましたが。

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