#1359 いまになって、ヨシダイチオシとなった、フォード・フィエスタ。

　フォードが日本マーケットから撤退することはすでにアナウンスされており、残念だなぁと感じつつ（#1304）、しっかりとフォードの乗り味を体に覚え込ませておかねばなるまいと思い、まずはフィエスタを借りることにしました。って、現行型フィエスタは、#726における絶賛につづいて、#1068においてその再確認とさらなる発見もあって、もう、大絶賛。ただ、購入に至らないのは、ヘッドランプの切れ長デザインが、馴染めないため。ま、ただ、それだけなんです。もう少し言えば、燃費とトランスミッションかな。燃費はさておき、トランスミッションがね、やっぱりね、悪くはないんだけど、MTが欲しかった、と。
　ま、そんなフィエスタですが、かつての大絶賛は、大絶賛のままどころか、さらに大絶賛を乗じたぐらいに良かった。かつて書いたことと重なるかもしれませんが、そのトピックをいくつか書いていきましょうか、ね。まずは、ブレーキ。あのですね、最近のクルマのブレーキって、踏み代が少ない。ちょっと踏んだだけで制動力が立ち上がり過ぎ。ま、その踏み代の中に制動力の加減をコントロールできるようにしているとはいえ、なんかね、コントロールしにくさを感じていました。で、フィエスタ。これがですね、踏み代が深い。ちょいと踏むと、制動力が確実に立ち上がっていることが伝わってくるんですが、そこからの踏み増しに対して、まさに比例的に制動力が現れてきます。踏み増し加減がちょうどいいといいますか、ブレーキペダルを踏んでいるんだ、ブレーキを細やかにドライバーがコントロールしているんだといった感にあふれていまして、もはや、この点だけで、買い。制動力そのものは、とんでもなくハイレベル。つまり、コントロールしやすく、停まるブレーキをもっています。ブレーキダストは大量に出ます、でも、このブレーキフィーリングを知ってしまうと、そんなのどうでも良くなってきます。そうなんです、そうなんですよ。
　次に感じるのはボディ。あのですね、これまでにシャシーが速いって表現をしてきましたが、これについてはなんとなく言わんとしていることが伝わっているかと思いますが、フィエスタはですね、シャシーだけではなく、ボディが速いんです。そう、ボディ。ま、シャシーあってのボディといいましょうか、両者のバランスあっての話なんですが。ボディそのものの剛性は、ま、Bセグかなといった感があるのは事実なんですが、サスペンションやステアリングを支えるパートにおいては、これがすこぶる強度が高い。ですから、アンジュレーションでは、４輪がバラバラに互いに干渉することなく、美しく動き回る。操舵感も、ステアリング系やサスペンションブッシュやらに曖昧さがあろうとも、それを感じさせながら、その先にある剛性感がダイレクトに伝わってくる。そうなんですね、クルマの挙動がダイレクトに、つぶさに伝わってくる。操ることが愉しいと思える、ボディを持っています。
　で、サスペンション。路面変化に応じてサスペンションをきっちりとストロークさせて、そして、それを感じさせる。大きな入力に対しては、リバウンドストロークを上手く使って、その揺れをすっと抑え込む。つまり、快適であって、スポーティ。これって、最近のクルマでは見られない表現方法ですが、そこに先のシャシー剛性も相まって、ダイレクトにその動きを伝えてくるもんだから、もう、操ることが愉しいのなんのって。
　で、で、エンジン。ま、いまさら、ですな。高回転でのパワー落ちは、致し方ないことですが、その分、中回転域までのトルクの太いこと太いこと。デュアルクラッチトランスミッションも、ダイレクト感にあふれていますし、制御も絶妙で、MTでなくてもいいかなと感じさせます。
　今回、シートポジションがよく分からず、あれこれと試したものの、結局、最後まで決まらず。アップライト気味かと思っていたんですがそうでもなく、ローポジにしてもしっくり来ず。座面の角度が上手くあわずで、尻に圧が集中してしまって、ロングドライブでは、珍しく、尻が痛くなってしまいました。ですから、シートそのものに対する印象は、ちょっと変わってしまいましたが。
　燃費は、乗鞍、下道、500km、今回はちょっと飛ばしました、といった感じで、14.9km/L。もう少しという欲は出ますが、ま、あの走りを考えたら、上出来ではないでしょうかね。なんだかんだ言ってBセグらしさは感じますけど、今どきのモデルが見失った仕立ては、やはりですね、アドバンテージ。というわけで、すみません、ヨシダ・イチオシ、このフォード・フィエスタに変更します。プジョー208、デミオ15MBのほうが、最新を多く感じますし、魅力もあります。でも、走る愉しさの根本は、このフィエスタに勝るモデルは、いまのところ、ない、そこまで感じたもので、ね。