#1103 たかが、されど、Alexis Weissenbergの演奏に打ちのめされた話。

 #1102にて、書きました、バッハのカンタータのコーラル(Cantata No. 147,  "Jesu bleibet meine Freude")ですが、ひとつ勘違いしていました。自らのスタンダードとなっていたのは、編曲者のMyra Hess自身の演奏ものかと思っていたら、違っていました。先のカセットに入っていた演奏が自分のスタンダードでして、なんと、Alexis Weissenbergバージョンのほうでした→(iTunes Store)。
 この方、カンタータをかなり壮大に演奏なさっているんですが、当時のカセットテープゆえに、そんなに派手には聴こえていなかったですし、逆に力強く演奏する部分に対して、やわらかく弾く部分のほうが印象に強く残っていました。で、イマドキのリマスターバージョンではどうなっているんだろうとチェックしたらば、なんと、涙が出ました。ソロのピアノ曲で、しかも、玄人受けはあまりしない曲で、ここまで驚いたのは初めてのこと。
 簡単に言えば、ドラマチック。フォルテシモまでもっていくか? と思いきや、左手のC2+C3のドンという音に、ガツンとやられ、不意をつかれているうちに、どんどん穏やかに変わっていくという……。意図的といえば意図的、やり過ぎといえばやり過ぎ、でも、解釈しきったといえばしきっているし、分かりやすいといえば、分かりやすい。正確過ぎる音の並びと、淡々としたスピード感と、でも、そこに解釈たるレンジの広さを表現したって感じでしょうかね。
 ただ、自らが、その手の表現に打たれることはなかったので、ちょっとショックでした。ライブでは、録音もありますが、少し表現が柔らかくなっています。って、これは、いつのライブのものなんだろうか。→(iTunes Store)

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