#1761 フォルクスワーゲン・ゴルフは、いつの世代もゴルフしていて、いいなぁ、ってなゴルフ8(ディーゼル)の話。
さて、続いては、ずっと気になっていました、ゴルフ8のディーゼルモデル。ちなみに、この直前にテストドライブしたポロ・GTI(#1760らしさを残したままに正常進化を果たしていた、フォルクスワーゲン・ポロGTI。でもね、ってな話)と、このゴルフディーゼル(TDI Style)の価格は、前者が411.3万円、後者が421.8万円と、約10万円差に過ぎません。ですので、選ぶなら、どちらにするか、という視点でもチェックをしました。ま、その結論としては、善し悪しではなく、自分好みかどうかで選ぶと、ゴルフディーゼルとなりましょうかね。その理由は、先に書いたようにポロGTIに演出されたやんちゃなハイパフォーマンステイストよりも、ゴルフディーゼルにて仕立てられていたバランスのよさのほうが「好み」だったからに過ぎません。まずもってクラスが異なるわけですから、乗り味に違いがあるのは当たり前。ただ、素材そのものだけではなく、その仕立ての違いに惹きつけられた、とでもいえば、お分かりいただけますでしょうかね。
とにかくですね、ゴルフは、発進から、加速から、ワインディングまで、言い訳が見当たらないといった感にあふれていました。絶対的な性能に優れているのではなく、優等生的な面を作り上げているという意味合いであり、これぞ、ゴルフらしさといわんばかりの仕立てとなっています。ディーゼルユニットからの燃焼音はキャビン内へと侵入してきます。それは静か、とは言えないレベルであり、もう少し厳しいことを言えば、耳障りな音域を消し切れていません。いませんが、消し去ることはもはや無理と捉えるべきですし、そもそもかつてのガラガラサウンドではありませんから、すこぶる抑え込まれているな、と評価できます。何よりも、気になったとしてもそれは日常域だけであり、高速域では耳に届きませんし、ワインディングでは、聞こえているはずなのに、愉しさにかき消されているもので。もちろん、ディーゼルですから走り出しからトルクにあふれていますが、2.0Lという排気量もあって低回転域から必要にして十二分のトルクがあり、加速性能と扱いやすさについての不満はまったくもってありません。そんなフィーリングですから、一旦加速を始めると、そのままに法定速度を突破しそうなところまで簡単に引っ張っていってしまいます。そして、さらに驚くのは、そのフィーリングがシームレスであること。そう、発進加速の話ですから、エンジンだけじゃなく、トランスミッション、つまりは、DSGも加味しての話。ところがですね、この最新世代のDSGがですね、その存在を忘れさせてしまうほどにジェントルに仕立てられていまして、シフトスピード含めて、不足なし、なし、なし。あれ、DSGだったよな? と再確認してしまうほどの仕上がりでした。
シャシーについては、日常においては、走り出しから、路面トレース性に長けていまして、とにもかくにも心地良さにあふれています。極上の快適性&乗り心地を求めるならばサスペンションをある程度動かす速度域へもっていく必要がありますが、ま、そのあたりのあれこれもまたゴルフらしさ。絶対的なレベルは大きく違うとはいえ、ゴルフはいつの世代もゴルフしているなぁ、この不思議なゴルフ感は、一体どこから来るんだろうか、と、ひたすらに感心しながらのドライビングとなりました。もちろん、コーナリングでは適度なロールを伴ってスタンスを決めてしまうと、そこからはサスペンションだけが動いて路面をトレースしていくという心地よさが伝わってきます。シームレスという意味合いでは、フラッシュサーフェスをインテリアにも採用してしまったかのようなインパネデザインやらも好印象。ただまぁ、先を狙いすぎたテイストに対しては、UI含めて、扱い難さを感じますので、個人的には、AppleCarPlayだけ使えるユニットで十分ではないか、とも思ってしまいます。貧乏くさいでしょうか、どうでしょうか。
途中でも書きましたが、ゴルフというモデルは不思議です。乗り心地もいいし、運転して愉しいし、なによりも、ゴルフというブランドに裏打ちされた安心感にあふれている。最新モデルは、かなり高価にはなりましたけど、やっぱりゴルフはいいなぁ、を感じさせてくれました。そんなことを考えながらドライビングしていたら、実家のゴルフ5は直してまで乗るべきだった、つまりは、手放すべきじゃなかったかな、と、思ったりもしました。