#1750 奥能登はやっぱり居心地がすこぶるいい、ので、来月も行ってきます、って話。

海上に見える灯はイカ釣り漁船のもの。

 突然に、再びに、能登を訪れました。先月も出掛けていました(#1745 ふらり、能登へ。でも、1年ぶり。そして、来月も出掛けてきます)が、先月出掛けた際に、現地で、また来なければならない、と、感じて予約をして、先週に出掛けてきました。ただ、1か月間隔で出掛けるのは初のことだと記憶しています。

 もちろん、今回も何も目的を立てることなく滞在しましたが、何もしていないのにとにかく忙しすぎて、あっという間の5日間となりました。そして、今回も、発見といいましょうか、再認識といいましょうか、これでいいんだがたくさんありまして、もはや満腹。満腹といえば、右の写真は、奥能登にあるご夫婦で経営されている小さなパン屋さんの冷やしクリームぱん(胡麻クリーム編)。おふたりでいろいろと話をされるんでしょうね、アイディアが次から次へとお互いに出てくるようで(勝手に推測)、それをパンや焼き菓子というスタイルに仕立て上げるご主人、その意を汲んで、自作なイラストを含めた飾りで演出する奥さんという、もう、なんとも、理想たるクリエイティブなパン屋さんです。正直、値付けはぱっと見、安くはないのですが、その味わいは価格以上であり、東京への土産物として利用するために、毎回、訪れています。そうなんです、自分で食する分ではないのです。

 今回は、前回と異なるイベントごとがあれこれとありました。ひとつは、馬を見に行ったこと。なんじゃそれと思われるかもしれませんが、定宿の管理をされている方(ちょっとニュアンスは違うけど)が、奥能登でほかにも事業を展開されているというので、何をしているのかを、見せていただくことにしていました(これは前回お願いしていた)。一歩引いて眺めると、すごくヘンな客なのですが、前回、奥能登を訪れた際に、奥能登に集っている人たちにものすごく惹かれまして。奥能登に来ると、なんていうんでしょうかね、素に戻されてしまう……の一貫からか、遠慮の類いはすべて吹き飛んでしまっています。言葉も素直なものばかり勝手に湧き上がってきます。そして、気づいたら、ズイズイとばかりに、今度、馬、見て見たいんですけど、って、お願いしていました。もちろん、その遠慮のなさは、厨房へも。写真は宿の朝食から、恒例のハートマークに並べられた、だし巻き卵。今回、なんと、縦にヒビが入っていました。「ちょっとショックだったよ、がーん」ってなことを伝えましたですよ、はい。

 話を戻してですね、馬。で、そもそもどうして馬なのかなのですが、簡単にいいますとね、いわゆる競走馬っているじゃないですか、競馬で走っている馬たち。あの方々のその後ってかなり残酷でして、……中略……、砕かれてしまってエサになってしまうパターンが多いのだそうです。知らぬと、え? って思うのですが、状況を知ると、そうだったのかい、馬さんや、ごめんなさいな、という気持ちが出てきます。そして、それら馬たちの余生を、人と共生できたならば、共にもっと豊かになれるんじゃないか、と提案しているのが、その事業。そうなんですね、事業なんですよ。ボランティアではなくって、ちゃんと事業に仕立て上げている。その牧場予定地を一緒に巡ったところ、これがですね、中途半端ではなく……、どころではなくって、かなり大規模、相当に大規模。いやはや、もう、いやはやとしか、言えません。その方、普段はひょうひょうとされているので、なおさらに、その行動力とのギャップに驚くわけですが、しっかりと考えることは考え、そして、行動に移していらっしゃいまして、とても見習うところが多い方です。その後の馬については、もう少し自分で解釈できるようになったら、レポートしたいと思います。


 さてと。話は大きく飛びますが、能登の初日にイヤな気分に陥ることがありました、珍しく。東京と連絡を取ってしまったがゆえのことなんですが、能登とは関係のない(いや、あるような気もしている、実は)、福祉への見解違いから感情論となりまして、なかなか難しいですやね。で、イヤな話はそこでひと区切り、翌朝は打って変わって、いいことがありました。奥能登のスーパー(写真左)へと出掛けて、んで、トイレへと行くとですね、和式便器のあるフロアにぺったりと座り込んでいる高齢者の方と出会いまして。当初、そうか、洋式便器を使うように座りたかったのか、と思ったのですが、冷静に考えてみると、そんなわけはない。で、話しかけてみると、腰を落としてしまって動けなくなってしまったとのこと。介助の手順を思い起こして、後ろから抱きかかえてよっこいしょと持ち上げたところで奥さんとスーパーの店員さんが来たので、その後を引き継ぎましたが、まぁ、自分がいなくてもどうにかなったのでしょうけど、困っている人を助けること、そして、困っていると声をあげることが、いかに大切であるか、ということを痛感。昨夜の問答後だったこともあって、どこかから、これでいいんだよ、と声が聞こえてきて、自らを奮い立たせることができ、目指していることに対して、強い自信を取り戻せました。つまらないことなんですが、能登はこうした、これでいいんだ、を、再確認させてくれる地なのです。ほんとうに不思議な場所だとつくづく思います。

 あれ、ちょろっと書くつもりが、こんなに長くなってしまった。振り返ってみたらと、今、宿を取りまとめている(さっきの方とは異なる)方と深く話をしたことがなかったので、時間を取ってもらって、雑談をすることにしました。そうしたらですね、ま、この方、社長という立場もあって、お客さんのことはもちろん、スタッフのことまで、しっかりと考えていらっしゃる。もちろん、多くに悩んでいるし、戸惑いもあるんですが、自分なりの意見を持っているので、応援したくなる、そんな方でした。もちろん、ほか意見を参考にして、うまくそこに採り入れており、ただ、我を貫き通していないところも好印象。なんていうんでしょうかね、迷っているように見えても、すでに答えは出ていて、あとは、背中を押してくれるのを待っている、かのよう。そして、感じたのは、あれですね、この宿の、これからは大丈夫だな、ってこと。建物そのものは変わらなくても、この宿は、時代に合わせて変わって行くでしょう。でも、変わって行くけど、その変化も、おじさんにも受け入れられるものだと見えましたし、その変わり往くスタイルにワクワクを感じていたりもします。写真は、ラウンジの夜な演出をどうするか相談されて、メインの灯を消して、間接照明と、テーブルのランプ風なLEDだけにしたほうがいいと進言して、試した時のもの。といっても、すでに、この風景は彼女の中ではでき上がっていたようです。

 偶然もあれこれとありました。写真は、とある道の駅にて、見かけたポストカード各種。これを目にして、そうだ、ポストカードのやり取りをしている方へ、これを送ろう! と、購入してみれば、実は、昨日入荷したばかりの初モノであり、しかも、お隣の資料館の方が描かれた作品だとか。そして、自分がいちばん初めに選んだ客だったそうで。能登では、こうして感覚で行動していると、自然と、新しい出会い、さらには発見へと導かれていきます。そして、その絵はがきを送れば、大喜びな返信があったり、と、うれしいことが、こちらに投げ返されて、大きくなっていきます。こういった、相乗的な双方向が大好きな者としては、能登はすごく居心地がいいところなのです。書きはじめたら、止まらない。長いなぁ、長い、長いけど、止まらない。

 ま、そんな感じの奥能登紀行でしたが、せっかくはいたスタッドレスタイヤは、あまり雪を踏みしめる機会がありませんでした。ですので、雪が降った後の帰り道は、乗鞍高原温泉へと立ち寄ってくることにしました。そこは氷点下でしたし、それまでに降っていた雪もあって、そこそこに凍結。驚いたのは、新調したタイヤ、下りコーナーでちゃんとグリップしたことでした。当たり前だろ? って思われるかもしれませんが、価格的に期待できないところだったもので。ってな話は別枠で書きましょうかね。写真は、温泉の駐車場で見上げた星空。ちなみに、iPhone14proで手持ち撮影しています。ほんと、すごい時代になったもんだと思います、こんな写真が、誰にでも簡単に撮れてしまうだなんてね。

 ま、そんな充実な能登でしたから……、来月も行ってくることにしました。能登にいると、行かねばならないと思えてくるのです。現地で、来年も来る旨を伝えて帰ってきました。

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