#1702 スライドドア+ハイトワゴンはメインストリームに、なる、か。スズキ、ワゴンRスマイル。


 さてと、続いては、スズキからワゴンRスマイルの話。広報車を借りてのインプレッションを行い、その後、チーフエンジニアへインタビューをする、そんな仕事をしました。ちなみに、身の回りの軽自動車事情といいますと、ここでも幾度も書いているように、ほぼ1年前、実家のクルマがフォルクスワーゲンゴルフ(5世代目)から、ダイハツのタフトへと乗り換えました。その購入劇に付き合いましたので、昨今の軽自動車について購入者の視点をかなりもっている、と思っています。つまり、性能や装備絶対主義ではなく、購入価格まで語りますので、そう、うるさいです、あれこれ。
 というわけで、ワゴンRスマイル。これですね、軽自動車業界としては、かなりのトピックなのですが、周囲からは思いのほか、反応がありません。同じパッケージである、ダイハツのムーヴ・キャンバスそのものを知らないのか、イマドキな尖ったデザインではないためか、分かりませんが、反応がほとんどありません。なので、スライドドアが、このサイズ(全高)に組み合わされたことを説明し、そして、そのニッチさを解説しても、だから? といった反応。そして、公道や駐車場で、目にされても、反応がほとんど、ない、ない、ない。ま、どかんと売れるモデルじゃないだろうからと思って、調べてみると、目標販売台数は月販で5000台に設定しますから、売る気はかなりある様子。ま、ダイハツのあちら同様にジワジワと広がっていくんでしょうな、なんてことをまずは感じました。
 さて、インタビューを含めて感じたことをあれこれ。ま、なんだかんだいいながら、まずは最新のダイハツと比較してしまいます。実家、タフトじゃなくて、スマイルにしておいたほうが良かったのだろうか、という視点で。で、特にチェックしてしまったのは、乗り味。自らは、ダイハツの新プラットフォームであるDNGAに対してスポーティを狙い過ぎだという評価をもっていることは、ロッキーで散々に語ってきましたし、それはタフトやタントでも感じています。ただし、その分、高速域での路面トレース性はすこぶる高くてですね、軽自動車にとってはオーバークオリティであることを感じてもいます。でも、軽自動車は日常で多用するモデルであり、そう捉えると、スマイルはフラットライド感を大切に作り込んでいて好印象。ところが、路面変化が突然にあるシーンでは、それこそ突然に表情を変えます、ドン、バタン、と。さらに、高速域では安定性に不足を感じますから、この両ブランドのアプローチ、どちらが正解か、理想なのかは、言い切れません。
 ダイハツは、来月デビューが予告されているロッキーのモータードライブユニット搭載モデルまで考慮したロードマップまであっての設計でしょうし、スズキはあまりの軽量化で乗り味を見失ったところからようやくしっとりとしたフィーリングを表現できるようになっており、これもまた、なんとも言えません。ただ、気になったのは、スマイルでは、モーターアシストがあるから加速時も静かなのだろうと思ったらアクセルオンと同時にエンジンノイズが室内に侵入してくること。つまり、静かならばずっと静かでいて欲しいのですが、突然に被さってくる音質に違和感を覚えてしまいました。期待とズレていたポイントかな。スターターモーターがないことでエンジン再始動時があれだけ静かになったのですから、なおさらに。 
 ただですね、旧世代であるキャンバスと、最新世代のスマイルを比較すると、スマイルに分があるのはいうまでもなく。なんといっても、ひとつはスズキ最新の、先進安全装備を備えていること、そして、スズキ最新の乗り味を手に入れていることにあります。ちなみに、このハイトワゴン+スライドドアというパッケージング、メインストリームになると思って眺めています。そう考えると、ターゲットをキャンバスと重なるユーザー層ではなく、フツーのワゴンRで仕立てれば、もっとインパクトがあったのでは? と思えてきます。もうね、スライドドアは重たいから、そんな捉え方をしているようでは、いかんと思います。
 いや、でも、どこか奥底では、思っていますけども。

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