#1550 熟成によって大きく進化していた、スバル・レヴォーグとSTIシリーズ。



 納品したままに、こちらに記していない試乗記がいくつかありました。納品して、ほっとしてしまったとでもいいましょうか、特段、こちらに書くことがないほどに書ききったがゆえのこと、とも言えますが。ま、思い出しながら、書いてみましょうかね。まずは、最近、大改良が行われたスバルのモデルについて。現在のスバルのラインナップは、インプレッサから新プラットフォームであるSGP(スバルグローバルプラットフォーム)が採用されており、つまりですね、旧世代と新世代が混ざっています。旧世代は、もう1サイクル使われる予定でしたから、異例ともいえる改良となったわけですが、わけですが、そうするには、時代に着いていく、時代の先を行かねばならぬ、そんな英断があったから。それは、乗り味だけではなく、先進安全技術における対応も含めてのこと。ですが、だからといってそれをお客さんに対しての言い訳として使ってはならぬ、そんなスタンスもあって、ま、各モデルのライフサイクルもあっての、今回のレヴォーグ、WRXシリーズの大改良となりました。そう、大改良。つまり、まだまだ旧プラットフォームベースのままに販売が続けられることが宣言された、とも受け取れるわけですな。
 さて、ここではキーとなった乗り味、それを実現するための熟成について書いてみましょうかね。なんといっても、まずはレヴォーグから。過去にも書いていますが、運動性能と快適性をハイバランスさせること、そこにこのクルマの命題があったわけですが、昨今のモデルと比較すると、どっち付かず感がありました。快適性を重視したというわりにフラット感を見失うシーンはあるし、ハンドリングを語るわりに操舵感に曖昧さがあって、接地感にも曖昧さ、というか表情がない。エンジンも、トルクはあるようなんだけど、トルク感が薄いとか、そんなあれこれ。悪くはないんだけど、特化するまでに至らない、あれこれ。ま、これもバランスを取った最善の回答だったとも言えるんですが、評価し辛い。とはいえ、国産車を見渡すと、そこに届いているモデルも少なく、評価はできる、と。
 なんてことは、スバルも承知でして、そこを今回改良してきました。これも語ってきましたが、サスペンションのストロークをですね、量、質ともに確保し、剛性感を高めました。結果、シャシーはしなやかさを大きく高めており、コーナーでの姿勢の作りやすさなんかはもちろん、タイヤのグリップ感も分かりやすく、つまりですね、愉しさが大きく高められていることを感じました。特にリバウンドストロークを5mm分確保したことは大きく、乗り心地だけではなく、懐の深さまで作り上げており、大歓迎。コーナーにおける回頭性はすこぶる高く、限界が迫ってもインをグイグイ付いていく。結果、曲がる、そして、速い。
 旧プラットフォームのままでありながら、これだけできるならば、新プラットフォームへの移行を焦ることはない、とも感じました。もっといいますとね、C型までのユーザーは乗り換えをお勧めしたいほど。それほどに違いをはっきりと感じ取れます。なんていうんでしょうかね、今感じている不満を、そのままに募らせていくのではなく、とっとと解消したほうがいい、そんな感じ。もちろん、差額は発生しますが、下取り値が高いうちにこそ、という、そんな考え方ですな。簡単に言い放ってしまいますけど。
 もう一方のWRXシリーズは、STIは限界スピードを引き上げたといった印象を受けますが、それ以上に乗りやすさを手に入れていまして、緊張感というスポーツ性能だけではなく、愉しさに通じる乗りやすいというスポーツ性も手に入れていました。で、それが強く感じられたのが、実は、S4。なんていうんでしょうかね、バランスがすごくいい。扱いやすさがあって、それが乗りやすさを感じさせ、愉しさを引き出してくれるといった、そんな印象。新旧の乗り比べもしましたが、こちらもまたカタログスペックに書けぬ、フィーリング部分が大きく向上しており、このWRXS4、WRXSTI、レヴォーグの中では、ベストといった印象を受けました。
 ただですね、突き詰めていくと、MTで乗りたい(WRXS4)。いや、CVTでもいいんですよ、シフトスピードも不足ないし、ダイレクト感がないってわけでもない、つまり、悪くないんですよ、でもね、物足りなさがあるのも事実。というわけで、WRX S4+6MTのラインナップを早急に……。って、このあたりのフィーリング、乗っていた初期インプレッサWRX STIを思い起こさせるんです。すみません、オヤジな回顧話で。

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