#1489 正常進化を果たしていた、フェイスリフト版、The Beetle。

 さてと、ビートルです。先代となるNewビートルにはあまり惹かれるものがなかったのですが、現行世代のTheビートルは、クルマとしての進化および、コンセプトをしっかりと具現化しているスタンスに、惹かれるものがあります。なんていうんでしょうかね、最新世代のプラットフォームを使わずとも、最新の技術を組み合わせることで、上手く熟成させている加減がとっても心地いいとでもいいましょうか、そんな感じ。ま、知り合いが2名、オーナーだってのもありますが。
 さて、そんな現行型ですが、クーペ(と言っていいのかな)の1.2Lターボエンジン搭載モデルについては、当初、リアサスペンションにトーションビーム式を採用していたものの、早々に、さりげなくマルチリンクへと変更。だったら、最初から……、と思いつつも、大きくは価格をアップさせることなく、何事もなかったかのように換装してしまう、そのスタンスのほうに感心を覚えました。ここを振り返ってみますと、そんな現行世代については、やたら試乗していますし、やたらと書いています。
 というわけで、昨年9月にフェイスリフトを受けたモデル(design)も、早々にインプレッションしなければと思いつつ、年明けになり、ようやく借り出しました。謳われた変更点はデザインと機能についてで、走りについては何も触れられておらず、おらず、おらず、おらずなんですが、謳われていないんですが、きっと変わっているだろうと思ったら、変わっていた。と思います、いや、比較対象がなかったもので。何に感心したって、DSGの仕立てではないでしょうか。戸惑いは消え、スムーズさに長け、あれ、トランスミッションはDSGだったよなと思ってしまったほど。それに伴って、エンジンフィールも滑らかかつ、えっと、トルクが張り付く感、つまり、ダイレクト感が増していまして、好印象。ちゃんと進化しているなぁと感心した次第。これ、個体差によるものなのか、とも思いましたが、たぶん、違うと思います。って、確信は持てませんが。
 ただですね、ひとつ気になることがありました。それが乗り心地。というか、タイヤが起因した固さ。おや、タイヤの銘柄が変わったかなと確認してみれば、ブリヂストンのTURANZA ER300。あれ、コンチネンタルじゃなかったっけか? と、これも確信が持てず。ここで感じた固さとは、ER300のパフォーマンスが高いがゆえの固さ。ゆえに、ハンドリングもシャープさが出ていて、クイック感とまでは表現できませんが、シャープさが増していました。普通、ハンドリングがシャープになることはプラスに捉えられるものですが、この場合は違います。そもそも、ゴルフとは違って、ビートルはあえて最新を使っていないところがあって、って、具体的には、シャシー剛性、具体的にはステアリング剛性が今どきのVWをしておらず、ま、サスペンションを含めてではあるんですが、ハンドリングに曖昧さがあります。ありますけど、ビートルの場合、全体のバランス感によってこれで十分と判断されたフィーリングに仕立ててあり、それがマイナスにはなっていません。
 しかしですね、今回、タイヤだけ最新のフィーリング(アップグレードとはあえて言わずにおきます)を得ていまして、そう、まさに、タイヤの役不足が出てきてしまったといった感があります。それを取り除いて、シャシーフィールを眺めてみますと、サスペンションのしなやかさはさらに増したかのような印象があり、同時に、タイヤの剛性アップがダイレクト感を生みすぎているだけといったところまで見えてきました。正常進化していました。はい。
 ビートルの魅力は、乗り味を含めた、独特のフィーリング、つまり、緩さにありますが、実は価格にもあると思っています。というか、価格ありきといった感があります。多くの人は選ぶことがない、ベースならば税込で234万9000円。広報車は、ナビや本革シートといったオプション付きモデルであり、それらのメリットを強く感じたものの、300万円を遥かにオーバーしてしまう価格を考えると、何か違うを感じます、自分は。逆にいいますとね、華美に躍らされない、自分はこれでいいんだをアピールすることができるのが、ベース。ま、これはMINIのoneにも通じますが、あちらはエンジンまで変わってしまう仕様。そう考えると、さらに、らしさをアピールできるのではないか、と思うのですが。もちろん、下取りやら、そういうことを考える方には不向きですが。って、新車時の価格差を埋められるほど、下取り時の価格が高いってワケでもありませんけどね。

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