#1155 ベーシックをしっかりと作り込んでいた、スズキ アルト(NA)。

 さて、BMW i3の次は、スズキ アルト。あ、ターボのRSね、と思われたかもしれませんが、あえて、NAを選びました。#1106で書きましたように、ターボは大絶賛なモデルですが、まぁ、ある種、良くて当たり前といいますか、このクルマ、基本がしっかりしているから、ターボもあれだけの仕上がりとなったわけで、そういう観点から、ベースを再確認したかったという想いがありました。
 ただ、アルトを借り出したのは、BMW i3を返却して、電車で2駅移動した直後ですから、比較しないようにしても、ついつい厳しい目で見てしまうだろうと思っていました。で、実際、そうでしたし、あれこれに物足りなさを感じました。ま、当たり前です、あっちはこのアルトが5台近く買える金額ですから。ただですね、思ったほど、アルトに対してはウィークポイントを感じなかった。たとえば、ハンドリング。まぁ、電動パワーステアリングゆえの曖昧さは多くありますが、そこに節度感が随分と与えられていまして、想像していたほどの曖昧さは見当たらず、ちょっと感心。シャシーの動きも、比較すると曖昧さだらけですが、ストロークフィールにスムーズさといいましょうか、しなやかさ、ストレスフリー感が強められており、それでいながら適切に規制しようとするスタンスが見受けられ、これもまた好印象。エンジンは、始動音こそ響き渡りますが、トルク感があり、軽量であることも手伝ってストレスを感じさせない加速をしていきます。パンチはありません、でも、不足もありません。これでいいじゃない、って、そんな感じ。
 と、アルトに乗ったら、やっぱり、いいよね、をつくづく感じましたが、何が良かったって、燃費も良かった。ちなみに借り出したのは、エネチャージ付きモデル。で、圏央道を80km/h走行のトラックについていって、46.0km/Lを記録。さすがに良すぎるなと思って、あれこれと確認したところ、下り基調でしたから、それも手伝ってのこと。まぁ、エアコンオフってのもありましたし、速度の振れがなかった、つまりほぼ定速だったこともプラスに働いていると思われますが。
 ちなみに、その帰り道、同じような条件でトラックについていきましたが、緩やか上りでは30km/Lを割り込みつつ、また、エアコンオン、さらには、先行するトラックの速度の振れ幅が大きかったことやらもあっての、それでも36.5km/L。まぁ、これでも十分ではないでしょうか、ね。
 そのほかに何に感心したって、やっぱりリアサスペンションでしょうな。両輪ともにしっかりと路面を捉えたままに離さないというフィーリングに満ちあふれてい、コーナーではアライメント変化を意識させぬままにリアがしっかりと粘ってくれるため……、安心感を導き出していました。
 ただ、……、って、言い出したらキリがありませんが、この車両は、最上級グレードのX。アルトが目指したベーシックな乗り味と、そこに採用されていたオートエアコンとか、キーレスプッシュスタートといった、イマドキ装備に、似合わないという違和感を感じました。いや、乗り味のレベルが云々といっているんではなくって、これで十分、これがいいを語れるモデルだからこそ、装備内容も、これで十分でいいのではないか、と。つまり、背伸びしないことがクールというコンセプトを貫き通して欲しかった、と、そんなことを思ったまでのこと。
 そうそう、ハイレベルなベースポテンシャルを持っているモデルですから、そのままに質感を高めたモデルがあったら……、って、それがRSか。なるほどね、なるほど。

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