#843 練りに練った制御もありながら嫌みを感じない、新型日産ティアナ。

 ティアナに1200kmほど乗ってきました。ご存知のとおり、ほかの国産車同様に北米マーケットをメインとしてしまったがゆえに、そのサイズ感は、もはや日本向き、特にセダンを好む層向けとは、ズレが生じてしまっている商品です。
 ま、そんな話は、ここではおいておきましょうかね。ティアナについて。結論から述べますとね、とてもとてもいい仕上がりを見せていました。それは、クルマとして、そして、FFのアッパーミドルクラスサルーンとして。
 乗り味の狙いはコンフォート感にあります。これは初代から一貫したコンセプトですが、2世代目で得た、フラットライド感をベースに、さらにシャシーの剛性を高めつつ、快適性もアップさせたといったフィーリングにあふれており、そのバランスがとてもよかった。もう少し具体的な表現をしますと、路面からの入力は相当に角を取り去りつつも、シャシーの動きに曖昧さを与えていないという、そんな加減。クラス上の質感をベースにしながら、コンフォートにしたとも言えますな。
 で、エンジンが、それに見合ったキャラクターに仕立てられています。特に、ECOモードは、2000回転以上は不要っしょ? と言わんばかりに、低回転域のトルクに振っていて、日常での不足は全くなく。素のモードでは、ここまでパワー出しますか、といった感があるほどで、十二分。スポーティな性格は与えられていませんが、まぁ、モデルのコンセプトを考えると不要ですから。
 そんな制御のあれこれが印象的でしたが、何よりも、アクセル→ブレーキとペダルを踏みかえる回数が少なくて済むことに驚きました。アクセルオフでもエンジンブレーキ加減がかなり練られていまして、単純に、強いだけではなく、それがシーンによって変わります。たとえば、上りの傾斜が終わるようなシーンでアクセルを緩めるものですが、その加減に合わせてエンジンブレーキを制御してくれます。ま、最近のクルマは、この辺りが上手く作り込まれていますが、そのレベルがちょっと先を行っていた感じとでも言いましょうかね。
 あとは、何よりも、高速域でのスタビリティがとんでもなくハイレベルであったことでしょうか。これは、低速域では全く見えていなかった部分で、実は、#384で語ったノートと同じ。日本では、そのポテンシャルを発揮できる機会は少ないだろう、ってな感じ。そうなんです、唯一のウィークポイントはここ。ポテンシャルはあるのに、日常域で、それが見えないこと。隠してはいません、見えないこと、です。
 ちなみに、燃費は、高速道路を丁寧に走っていると、20km/Lをオーバーします。ハイブリッドでもないのにね。排気量は2.5Lもあるのにね。

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