#805 あの頃のボルボを取り戻すべく、新ドライブトレインを採用したXC60。

 で、ボルボXC60です。というか、フォードテイストを抜き去った、新しいドライブトレインを搭載したボルボな話。そもそもボルボとは、派手さに乏しい、でも、ベースポテンシャルに優れている、つまり、分かる人には分かるけど、分からん人には分からんってな、テイストを“アドバンテージ”としているブランドと捉えていました。99年からフォード傘下となってからは、分かりやすさを全面に打ち出すようになり、フォードテイストを上手くボルボ流にアレンジできるようになったなと感じていました。まぁ、昔を懐かしむ人には受け入れにくいテイストですが、クルマとしての完成度はとてもいいという意味合いで。ところが、10年に、傘下から離脱したことをきっかけに、今度は、そのテイストを抜き去ろうとしている気配が感じられるようになりました。つまり、昔のボルボに戻ろうとしていると。
 たとえば、V40はフォードテイストにあふれていますが、ボルボ製2.0Lターボを搭載したモデル(T-5 R-Designとクロスカントリー)は、フォード製1.6Lとは違ったフィーリングを持っていました。パワーの差だけではなくって。そして、次期XC90からオールオリジナルボルボとなるアナウンスがあり、さて、どうなることやら思っていたら、まずは、先に新ドライブトレインが登場と。この新設計の2.0Lターボと8ATの組み合わせは、フラットトルク感をここぞとばかりに作りあげて、あえてレスポンスを鋭くしていないという、あのフィーリングにあふれておりまして、懐かしさを感じながら、フォードのユニット(具体的に1.6Lターボですな)との違いを覚える仕上がりとなっていました。
 まぁ、比較してしまうと、トピックたる部分は分かりにくいことと、質感の部分であと少しの時間を要しているところが垣間見えた気がしますが、何をしたかったかは十分に感じ取れます。ただですね、乗り心地は、路面が荒れたところで突然にバタンが顔を出すなど、おや? があります。このXC60はデビューから時間が経過していますし、フォード→ボルボの過渡期にあるモデルと捉えると、これが理想型だったりするんだろうかと思いつつ、やはり、エンジンはあっちを向いて、シャシーはこっちを向いてという、まとまりに欠けるところがあるようにも感じましたが。
 さて、どうなっていくんでしょうね、これからのボルボ。

このブログの人気の投稿

#1297 イチオシに変わりなかった、ルノー ルーテシア ゼン MT。

#1113 5年目にして……、トラブルではなかった、後付けサンルーフのあれこれ。

#575 燃費を期待できる2シリンダーモード、でもね、というゴルフ7。