#793 意図的に、そこにSUVの公式を当てはめなかった、プジョー2008。

 試乗会はあるは、あれこれイベントごともあるは、さらに思うこともたくさんあって、言葉があふれすぎています。で、順番に。次はプジョー2008ですな。
  いや、事前にルノー・キャプチャーに試乗していたこともあって、1.2LNA+シングルクラッチ2ペダルMTに加えて、重量増なモデルということに対して、どうだろう、大丈夫だろうかと思っていました。結論、大丈夫でした。ウィークポイントをつつけばあれこれ出てきますが、あれとは似て非なるモデルと捉えるといいと思います。SUVたるスタイリングでありながら、そこにはこれまでにない新提案だらけでしたから。
 たとえば、シートポジション。ハッチバック的というよりはスポーツカー的。足を投げ出しつつ、でも、アイポイントが高いという、過去のハイラックスサーフのような不思議な感覚があります。ところが、それを違和感とは思わせなかったところがプジョー。メーターはステアリング内側からではなく、上部から見るように配置し、その分、ステアリングをここまでするかってぐらいに小径にしつつ、そのデザインに見合うクイックなフィーリングを与えています。
 つまりですね、SUVの公式を当てはめていません。そう、これがこのクルマのポイントであり、アドバンテージです。
 新パワートレインも、これに合わせて仕立てありまして、小排気量ながら不足ないトルク感とそこそこのレスポンス&ダイレクト感を上手く表現しています。何より、シャシーはしなやかさを大切にしつつ、余計な動きを抜き去ったというバランスがありました。グリップ感もとてもよくてそこにスポーティさを感じたので、下りてタイヤをチェックしてみれば、またも、Enegy Saver。コイツもですか。ミシュランを履きこなすのがとても上手いと言いましょうか、ミシュランに併せたかのような、そんなシャシーを作り上げていました。
 ということで、走りにおいては、ポジティブな部分が強く印象に残りました。ですが、リアシートについては、期待しないほうがいいかと思います。まず乗り込む際に、ドア開口部はサイドシル部が高くて幅が小さく、それに気を取られていると頭をぶつけそうになる、と。そして、座ってみれば、座面に足をしっかりつけようとするとフロントシートバックにスネが当たり、スネのヒットを避けようとすると膝が浮いてしまう。降りるときには、フロントシートバックに足がひっかかりそうになるし、足をひねりつつ降りねばならぬ……、と。つまりですね、リアシートを頻繁に利用する人は、この点をチェックしておいたほうがいいと思います。
 逆に言えば、リアシートをそれほど使わない人には、先に書いた走りや、そのデザイン性、フロアが低くスクエアで使えるラゲッジルームやら、アドバンテージは数多くあります。そうそう、気になる2ペダルMTについては、#775同様。空走感はありますが、その評価はドライバーの“扱い方”次第です。
 2008のアドバンテージといえば、あの大型ガラスルーフがありますな。これは必須アイテムだと思いました。ある、なし、で、キャビンの雰囲気(愉しさ)は大きく変わります。個人的にはPremiumで十分だとは思うのですが、ガラスルーフが標準となることから、Cieloがオススメとなりますかね。

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