#722 愉しさと快適さにあふれていた、ルノー・ルーテシア・インテンス。

 さてと、ルノー・ルーテシアについてまとめておきましょうかね。あれです、RSではなくって、普通のグレードのほうで、エンジンは1.2Lターボ、タイヤサイズは17インチ、グレード名はインテンス。スタンダードモデルの中ではトップグレード、で、238万円。
 試乗走行距離は1500kmを超えましたが、乗った瞬間からルノーを感じ、距離を増していくにつれて、ルノーらしさに惹かれていく……、そんなモデルでした。まずね、疲れない。それは走りからシートまで全てによって作り上げられているもの。まぁ、シートというと、往年のルノーらしさを思い浮かべる人もいるでしょうけど、ここ10年ぐらいのルノーテイスト。剛性がありつつ、しなやかさもありつつというシートで、身体を預けるとすんなり沈み込み、心地よいホールド感を作ってくれます。これがいい、とてもいいのです。つまり、疲れない。
 そして、愉しい。まぁ、とにかく1.2Lエンジンの調教が意図的、意図的。クラッチペダルレスMTたるダイレクト感もありますが、とにかくトルク感をしっかりと表現しています。エンジンは過給しているとはいえ、排気量は1.2Lゆえに、決して極太トルクだらけではありませんが、エンジンパワーを感じさせ、それをそのままにトランスミッションへと伝えている、そんなフィーリング。少々の過給遅れはあっても、それもフィーリングに反映して、妙なトルク変動を感じさせることなく吹け上がっていきます。そのフィーリングの美しいこと、愉しいこと。いうまでもなく中回転域にトルクをしっかりと載せていまして、ワインディングで、回転キープしたままにコーナーを駆け抜けるためのセッティング? と思えるほど。つまり、愉しい。
 そして、スタビリティがハイレベル。サスペンションはしなやかさにあふれながら、タイヤはいつも路面にしっかり接地させていますというフィーリングで、ドライバーはもちろん乗員にも安心感すら与えてくれます。タイヤのグリップ感も明確で、先のエンジンフィーリングに見合っていました。ただ、試乗したグレードは、17インチタイヤ標準採用ゆえに、路面の荒れたところではバタバタ感が顔を出しますし、タイヤサイズとのバランスを考えると、リバウンドストロークをもう少し抑えて欲しかったというところもあります。でも、先の性能を考慮すると、それは不満に思えず。ま、なんだかんだいいながら、理想は16インチですが。
 で、で、美点はそれに止まりません。何よりも感心したのは、ECOモードの仕立て方。いくらエンジンがNA的フィーリングになっているとはいえ、やっぱり小排気量ターボ的な部分は残っています。ところが、ECOモードにすることでそのフィーリングがとてもなだらかになるのです。ECOモードゆえにパワーを引き出すにはアクセルペダルを意識的に深く踏み込む必要がありますが、深いストローク量を求めるがゆえに、その踏み加減をあれこれと簡単に変えられる、つまり、これが実にコントローラブルでいい。つまりですね、コンフォートライドを提供してくれるモードでもあるのです。ECOモードをこういうフィーリングへと仕立てているクルマは、なかなか見当たりません。もはや、天晴れといった感すらありました。
 まさに優等生的でありながら、愉しさにあふれておりまして、まさにいやはや、ひたすらにいやはやって感じ。デザインも秀逸だしね。フロントもだけど、特にリアビューは、とってもお気に入りです。

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