#1773 東京モーターショーあらため、ジャパンモビリティショー2023に感じた、あれやこれや。その1
今年から、東京モーターショーの名前が、ジャパンモビリティショーへと変わりました。何が変わったかというと、人気アーティスト(自分はすべて知らなかった人たちばかり)やお笑い芸人(なぜか吉本のみ)によるライブ、グルメに詳しい方にグルメプロデュースコーナー、スタートアップ企業とのマッチング、もちろん講演やら、いわゆるクルマやバイクの展示だけではなく、キャンピングカーからスポーツカーまで、ありとあらゆるモビリティライフをつなぐイベントへと変わっていました。ま、イマドキというのでしょうか。自分は、もはやテレビのない生活を送っていますから、イマドキに付いていけない部分も多くあります。ちなみに、ショーに出展されるクルマについては、ショー開幕とほぼ同時に出版される本と、その後に出版される本への仕事を依頼されており、逆に知りすぎているところもあって、このところ、口を閉ざしていました。
今回は、って、まだ終わっていませんが、プレスデーと、特別招待日と銘打たれ、一方で、障がい者手帳を持っている方が見学できる日の2日間に、出掛けてきました。もちろん、両日で、出展内容やレイアウトなどは変えられているのですが、逆にいえば、それぞれに来場者の層が違っており、自分にとってはそれもまた見どころとなっていました。プレスデーの話をしますと、それ、出展されるって聞いていなかったよ、ってモデルが、いくつかありまして。その1台が、日産のハイパーフォース。現行型GT-RのフォルムをベースにしたBEVですが、聞いてなかった。聞いていなかったので、執筆した雑誌には、日産はコンセプトカー4台と書いてしまいました。知らなかったんだから、仕方ないとはいえ。ただまぁ、難しいのは、何かが発表されることが分かっていたとしても、そのブランドが最後まで写真を提供してくれないこともあって、特に、ショー開幕前に出版される雑誌であっても、テールランプだけとか、アンベール幕が掛けられた写真だったりしてしまいます。でも、ショー開催日以降はアンベール幕なんぞ掛かっていないわけですから、なかなか難しいところがあります。
そんなジャパンモビリティショーですが、いわゆる各ブランドのモビリティ出展ブースに焦点を当てますと、どのブースも趣向を凝らしており、色がありました。個人的な想いを入れてしまうと、いちばんいいなと感じたのは、前回同様にマツダブースかな。ロードスターを中心に据えた振り切ったともいえるコンセプトは、初代、現行型、そして未来(あれがロードスターだとは明言していないけど)と、もう、ファン酔狂といわんばかりの内容。もちろん、今のマツダデザインを表現したようなブースレイアウト(なんと横断歩道まであった)、さらには、子供がロードスターに乗れてオープンエアモータリングを愉しめてしまうコンテンツ、そして、良く並べましたといわんばかりのトミカ(ぜんぶ接着剤で止めてあった)など、そこにいるだけで、クルマ好きが求めている、これだよね、これというワクワク感がありました。
一方で、マツダとは異なる凝ったブース作りをしていたのがホンダで、近未来のモビリティが、人々にどんなライフスタイルを提供してくれるのかをゾーニングしていました。そこに小型モビリティからホンダジェットまでそれぞれのゾーンにて展示されているのですが、ボクらが事前に情報をもらって半ば大系的に俯瞰できたのとは異なり、会場を訪れる人は、あの広い中、しかも、ブースへの入り口がさまざまにあり、どこからでもブースへと足を踏み入られる状況下において、そのゾーンが何を意味しているのか、理解することは難しかったと思われます。たとえば、クルマのゾーンとかになっていればいいのですが、時間の制約からの解放エリアにはプレリュードコンセプトがあって、人の生活圏の拡張エリアにはN-VAN e:プロトタイプがあったりと、来場者の多くにそのゾーンコンセプトまで伝え切れていない。ましてや、あの人ごみの中ですから、会場に来てから、分かってもらおうとすることは難しい。さらに、ホンダでは、市販車を一切展示しないというスタンスを貫いていまして、たとえば、デビューしたばかりのN-BOXも展示されておらず。それこそデビューしたばかりですからね、見てみたいと来られた方もいると思うんですが、ない。ほかのブランドでも、その傾向を意識した感はありましたが、現行型なれど、改良を受けた直後のモデル、また、これからデビューする特別仕様車といった手法を用いるなど、そこには、上手くかわした感がありました。
そのほかとしては、コンセプトモデルと謳いながら、ほぼ市販とおぼしきモデル(乗れるようにしてあった)を展示していたスズキ。4台のコンセプトカーに集約させながら、いつもよりも現実感のあるテイストを表現していたダイハツ。5台のワールドプレミアモデルのうちクレイモデルは3台のみで、残りの2台をCGだけに止めてしまう新しい表現方法を用いた日産。MITSUBISHI Concept D:Xを公開してファンの期待をいい意味で煽りつつ、ブランドとしてはアドベンチャーを訴えていた三菱などなど、それぞれにオモシロさもありました。
ただ、来場者はどういった見方をしていたかといえば、あの人ごみへいきなり突入してしまうと、さきほど記したホンダのように、ブースコンセプトを理解することは難しく、さらには何が展示してあるのかも、分かりづらかったのではないか、と。ですので背の高い展示物やイベント、たとえば、トヨタのステージに上がっての写真撮影とか、そもそも高さのあるHondaJet(クレイモデルに乗れた)とか、トラックやバスとか、遠くから見てもすぐに分かる、だから、とりあえず、近づいてみよう、写真を撮ろう、それが人気とは異なる、集客に繋がっていたように感じました。そういう観点からすると、上手くやったなと思ったのは、展示車両までスロープを設けて高い位置に人を集め、お、何かあるぞ、なんだなんだ? とばかりに人を集めていたソニー・ホンダモビリティブース(実際、実車もすばらしかったのだけど)。あれは、意図したのか、そうでないのかまでは分かりませんが、「お上手」でした。
あ、長くなってきたので、ここらで、ひとまず終えます。