#1728 BMW3シリーズはいつの世代も生真面目……、318i、え、2.0Lになってたの? って話。


 乗っておきたいとモデル、グレードをあれこれとテストドライブしていますが、今回は、BMW3シリーズのボトムモデルである318iを選びました。BMWのグレード名は仕向け地で名称と内容が異なっていたりするんですが、昨今の日本における318iは、先代では1.5Lターボ/3気筒エンジンを搭載していましたが、現行型の318iは4気筒の2.0Lターボとなっていました。ちなみに先代の318iで感じたのは、エンジンが軽いってステキという、チューニングでは作り上げられない、そう、素性の良さ。で、最新型の3シリーズは、ボディ、シャシー剛性を大きく引き上げていますから、この4気筒ユニット(低出力版)をどう組み合わされているかは興味津々でした。


 で、最初に結論を話してしまうとですね、すごく良かった。それは、エンジンパワーフィールが十分どころか、十二分であったことと、トルク変動が大きくないため、実に扱いやすかったこと、さらには、シャシー含めてそのパワーを引き出すバランスに優れていたこと。そして、なによりも、BMWスタンダードである3シリーズとはこういうもんだという素性を思い起こさせてくれたところにあります。エンジンフィールは、同じ2.0Lターボを搭載した320iよりはディチューンされています。ピークパワーは4000回転の少し先で来るものの、フィーリングとしては意図的にカットされた感はなく、つまり頭打ちな印象は強く感じず、かといって、それよりも低回転域でのトルクは十二分と言えるほどに発生させており、先に述べたように唐突なトルク変動がないため、とっても扱いやすい。シャシーは、とにかく頭が軽いといった印象なんですが、これ3気筒じゃないよな、と、カタログを幾度もチェックしてしまったほど。素直というよりは、イヤミを感じさせないステアリングフィールは、ドライバーと一体化したかのように向きを変えてくれます。もちろん、フル電動ドライブモデルのような精密さはありませんが、これはこれでいいんじゃない? と感じさせてくれるもので、結果、ストレスを感じませんし、スポーティに通じる操る愉しさにあふれています。


 ただ、テストドライブをした車両はオプション設定の225/50R17サイズ(ブリヂストン・TURANZA T005)を組み合わせていまして、そこにはオーバーサイズ所以のバネ下の重たさと、ランフラットタイヤたるケース剛性がダイレクトに乗り味に悪影響する部分がありました。昨今のモデルの仕立てである、実質のストローク量を減らして、バンプラバーにあてるという、方程式を採用しているために、ちょっとした継ぎはぎ路面に入っただけで、ドタゴトと音、振動を拾ってきます。つまり、超フラット路面ではすこぶるコンフォートなのですが、荒れた路面に入った途端にコンフォート感が不足してことを強く感じさせてしまいます。ゆえに、標準装備となる205/60R16タイヤだとかなり違うことを予感させますな。このあたりは、いわゆるMスポーツ仕立てのように、Mアダプティブサスペンションを採用していれば、多少のゴトゴトもなんとかしてくれる(いなしてくれる、という)んですが、何もないと辛さを感じるところでもあり、乗り心地だけに限っていえば、Mスポーツ仕様のほうがいいように感じます。もう少しね、ストロークしてくれると、いいんだけどな、なんてことを思いながら、もはや、昨今のモデル(BMW以外もね)にそんな仕立てはないことを知っていますからして、云々。


 エンジンフィールに強烈なパンチは見当たりませんが、ガソリンなのにトルクによる力強さと、8速ATによる丁度いいギア比の提供と、素直たる、そして奥深さを試したくなる回頭性も相まって、コーナリングでの不安は、見当たらない。そして、先に述べたシャシー性能も相まって、その安心感は速度域を上げて行くと愉しいに切り替わって行きます。もちろん、パンチがないから、オラオラ系の走りにはならない、そんな加減も心地よさを作り上げています。さらに感激したのは、やっぱりシートですな。ドライバーズシートなんぞ、座った瞬間にフットレストに乗せた左足から腰、さらにはステアリングホイールを握ったその腕まで、もう、ぴたりとくる。え、そんなの、シートやステアリングホイールを調整すればいいだけじゃん? と思われるかもしれませんが、そんなことせずとも、ぴたりとくる。正直、ヨーロッパフォードの仕立てには負けますが、いやー、いい。で、これもいつも3シリーズを語る時に発していますが、リアシートが、もう最高。シートバックがしっかりと背中をホールドし、クッション部が体を支え、自然に足を前が出るという、緊張感があるのにリラックスできるという、不可思議な仕立て。シートバックの角度なんぞ調整できなくていいんです、しっかりとポジションが作れていれば、そんな必要ないのです。あらためて、3シリーズの意気込みにやられたといった感がありました。


 さて、肝心な価格ですが、ボトムとなるグレードで510万円となもし。え? 510万円? じゃ、320iはいくらなのだ? と確認してみれば、561万円。あれ、でも、ホームページにある価格表は違うな。318iは523万円で、320iのスッピングレードはなく、あれ、330iMもなく、M340i?? あれ、この価格表、近未来を先取りしていないか? というわけで、価格については後日改めて記しますが、そうですか、3シリーズで500万円以上か。そう考えると、今回の318iに510万円の価値は……、あるけど、あるけど、500万円出すならばほかのモデルを選ぶかな。いや、318iを選ぶかな。いちばんいいのは、MTがあればね、選ぶ価値はすごく高まるのですけどね。

追記)車両本体価格について、広報部に確認。6月からの改訂で523万円からとなっているとのことでした。

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