#1727 もうAirサブブランドはやめたほうがいいと思うAppleの戦略と、これから襲ってくる物価上昇(円安)の恐怖を感じたって話。


 今回、朝起きて、いきなりの衝撃を受けたMacBookAir(M2)について思うところを少々語りましょうかね。MacBookAirは、薄いこと軽いことを命題として2008年に登場したモデルで、簡単な話、光学ドライブを取り去っただけとも言えるのですが、当時、まだまだ需要のあった光学ドライブを取り去るという大英断は、iMacでFDドライブを捨て去った大胆さに通じるところもありました。ちなみに、当時を振り返ってみると、気軽に持ち運べる端末は絶対的な支持を得ていまして、ネットブックと呼ばれるスタイル(Windows)が不可思議な人気を得ていました。もちろん、そこには低価格もあっての人気でしたが、実際には、メモリ容量、レスポンスといった面で、実用性に乏しいという強烈なマイナス面をもっており、流行前にすぐに消えていったという印象があります。実際、スティーブジョブズも使えないモデルと批評し、アンチテーゼ的なモデルとして、2010年にストレージをHDDからSSDへとスイッチさせてさらなるコンパクトを実現したMacBookAir11インチを追加します。まさに、軽さと薄さと使えることと、低価格をバランスさせたモデルですな。

 すでに、全体のレスポンスを鈍らせているのはHDDへのアクセススピードであることはわかっていましたが、アクセス速度の速いSSDを採用することによって、性能の高くないCPUを組み合わせても、不足を感じさせないどおろか、十二分にレスポンスを語れる仕上がりに。そして、このスタイルが、Appleとして、また、PC系を含めた、ノートブックのメインストリームとなっていきます。しかも、Windowsまで動くMac(MacbookAir)は、性能やらを比較するとWindowsノートよりもリーズナブルだ謳われたのもこの頃から。ただですね、時代は流れ、ストレージにSSDを採用することが当たり前になると、macbookそのものを薄くするというアプローチを採用し、それまでAirがアドバンテージとしていたトピックとはならなくなっていきます。そこで、Airは、ベーシックなノートブックであることをアピールしたものの、サブネームの付いたモデルのほうがリーズナブルって、ぱっと見理解できないですよね。つまり、ユーザーを戸惑わせるサブブランド名となっていきます。
 これは、iPadにも採用したのですが、ま、そもそもiPadはSSDを組み合わせていますから、そもそも薄い。ただ、サブブランドネーム人気に乗じただけのところがあり、しかも、iPadではベーシックな位置づけではなく、iPadをベーシックに備え、iPad Proとの間に、Airを置いたため、知らぬ人は大混乱となりました。ただ、そこに至るまでに、このAirというラインをなくそうとした動きもありました。2015年にMacBook12インチが登場した頃ですが、Airからスイッチを目論んだものの、新技術満載したために販売価格はちょっと高めに設定されてしまい、低価格がウリだったAirのイメージを引き継げず、やむなく、復活させることになります。

 さて、昨夜の搭乗した最新型MacBookAirですが、筐体を一新し、ディスプレイも、facetimeカメラも新しくして、ワクワク感を備えたモデルとして生まれ変わりました。大きく変わったのは、いわゆるくさびスタイルを捨てたこと、価格上昇を$200アップに止めたことにあります。もはや、これなら誰も文句言わないだろうというモデルの登場であり、かつての失敗から学んだ戦略とも言えますな。ただですね、これはもはやMacbookと呼んでいい、いや呼ぶべきモデルであって、Airのサブネームを付ける必要はなかった。でも、捨てられなかった。そういう迷い、まだまだ残っているようで、すごくがっかりしました。ちなみに、あちらでは旧世代Airは$100ダウンとし、最新型とは$300差を設け、どっちにしようかなぁという、いい意味での迷いを作っています。そういう意味合いからもね、もう、Airは使わないほうがいいのに、と思っています。

 ここまで、アメリカ本国でのプライスで語ってきましたが、今回、新型モデル登場とともに、日本での販売価格が為替レートをダイレクトに反映したものへと変更されました。つまりですね、本国では値下げされた旧世代モデルが、日本円では大きく値上がりしていますし、もちろん、新型も、その為替レートを反映しており、日本ではびっくりする価格へと上がっています。

   旧世代 $899(旧・$999) → 13万4800円(旧・11万5280円)
   新世代 $1199       → 16万4800円 

  え、何、これ、って感じ。おかしいです、おかしい、というか、おかしい。いや、おかしすぎるでしょう。 賃金上昇しない上に、物価高が加わって、さらに円安。そうなんですね、冷静に考えてみれば、これから襲ってくる時代が垣間見えただけのこと、とも言えます。そして、この事実を目の当たりにすると、今、欲しいものは無理をしてでも早いうちに手に入れておいたほうがいいのではないか、と思えてきました。それは、海外モノだけではなく、国内モノも含めて。クルマも。たかがAppleの新製品発表なれど、あれこれと考えさせられてしまいました。


※旧価格は、発表時(税抜き前表示)に1.1を掛けた数値で、不正確なところがあります。おおよそに捉えてください。

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