#1723 ここぞとばかりに誇示しないパワーフィールが、心地よさを作り上げていた、BMW118d。


 続いては、BMW1シリーズです。これまでのFRベースからFFへと変更を受け、キャビンスペースを大きく広げた現行モデル。結論からいえば、BMWがFF? なんて批判する時代は過ぎ去ったことを感じさせました。むしろ、FF化によってリアシートの足下スペースがしっかりと確保されていますから、これでいいのでしょう、いや、これがいいのでしょう。もちろん、プラットフォームでいえば、MINI CLUBMANや、日本名クロスオーバーと共用していますから、そういったBMWグループにおける目論みを考えるとなおさらのこと。見えてきます。逆にいいますとね、いわゆる小さいミニは今後どうするんだろうか。彼らだけでやっていけるんだろうか、なんて勝手に思うところもあったりするわけですが。
 というわけで、そんなBMW1シリーズですが、ディーゼルエンジンを搭載した118dをテストドライブしました。パワーユニットは2.0Lですが150PS/35.7kgmバージョンであり、この一見やる気なさそうな、でも、トルク35.7kgmもあるの? ってなユニットのポテンシャルたるや、これぞ実用といわんばかりのフィーリングをしっかりと作り上げていました。もちろん、アイドリング中はディーゼルかつ直噴特有の燃焼音を轟かせていますけど、ちょいとアクセルを踏み込んでも過激なトルクを発生させることなくトルクをズイズイと増して行く。いやー、トルクって、ほんとステキと言いたくなる、あのフィーリング。そんでもって、ちょいと踏み込むと4000回転までグーッとパワーが盛り上がってくる、軽快感まで併せ持った最新ディーゼルユニットのポテンシャルが感じられます。

 ハンドリングについては、試乗会で乗った時にはFFであるとか以前に、実はもうちょっと操舵感があってもいいのではないか? と感じていたのですが、今回はそんなことを感じさせず。乗り心地については、BMW流の固さとバネ下の重たさを感じつつも、とにかく接地感が豊かで、高速走行になれば、先のディーゼルユニットとのうっとり感にリンクするかのように、ひたすらに安心かつ快適を披露。つまりは、なかなかよく仕立ててあるじゃないかと感心しきり。そして、どちらのタイヤをはいていらっしゃるのだろうかと確認すれば、おっと、ハンコック。もちろん、BMWお墨付きマーク付き(実際に刻印がされています)。
 ちなみにハンコックブランドに対しては、うちのフィエスタの標準タイヤであり、自分の評価はすこぶる高く、なるほどなぁ、BMWではこういうようにバランスを整えてくるのか、とひたすらに感心した次第。そして、そんなバランスを知ると、高速走行時のパーシャルスロットルからの淀みない(大げさか)加速感にさらにうっとり。いや、すごいね、すごいよ、すごいです、と、そんなチープな言葉しか出てきませんでした。
 ただですね、価格がですね、試乗した118d Play Edition Joy+は407万円となもし。あー、今は1シリーズもナビゲーションが標準装備だもんなぁと思ったものの、え? オプション扱い? で、さらに調べるとレギュラーモデルはガソリンで412万円から、ディーゼルで436万円からとなもし。なるほどね、ナビやらをオプション扱いにしたのが、この仕様車だったようで……。たしかに、整えられたバランスの良さには感心しますし、周囲からはすげーBMWという見てもらうこともできます。しかしですね、しかしですね、しかしですね……、と、言葉にできない何かが残ったのも、また事実だったりするのです。はい。

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