#1720 多くの人が通過してしまうところだけど、とってもいい絶妙なバランスを作り上げていた湯河原

湯河原惣湯Book and Retreatの入り口にある玄関テラス

 自分の、人と同じはあまり好きではない、言い換えると、人が興味ないことに興味をもつというキャラクター(!)は、どこから来ているんだろうか、と思うことがあります。ま、そこに価値を求めて、んー、自分ってスゴイじゃん、とかって思っているわけでもなく、実はよく分かっていません。メインストリームが嫌い、とも違うしな。たとえば、足繁く通う地でいえば、八ヶ岳にしても、北杜市に代表される山梨県側ではなく、かといって、長野県に入ったところにある茅野やらでも、また、その反対側に位置し、電波望遠鏡による観測所のある野辺山でもなくて、そこって、八ヶ岳山麓なの? といわれてしまう地域が好きだったりします。能登半島でいえば、輪島とか、棚田とか、七尾とかは、好きくなくて、といっても半島の先にある珠洲市全域が好きというわけでもなく、その中でも人気(ひとけ)のあまりない外浦が好きだったりします。あ、書いていて気付きました。それを自慢したいわけではなく、たんにひねくれものなんですな。もし、ひけらかしたいならば、ここに、地名やら、店名やら、住所やら、載せていますもんね。
 さて、そんな地のひとつに湯河原があります。伊豆半島の付け根、神奈川県と静岡県の境にある地、そもそも、父親の実家が神奈川県西部であることもあって、そもそも馴染みのある地ですが、地名から伝わってくるお上品な響きほど注目されていない(とはいっても注目されているけどさ)こともあって、わりと好きな地域だったりします。ま、もう少し言えば、その手前の根府川のほうが好きだったりします。みかん畑へ上って行く道とか、海岸へ繋がっている道とか、手付かずがたくさん残っているところとかね。で、話を戻して、湯河原。最近、東京からあの地域へと居を移した知人がいまして、海岸から山側まであれこれと紹介してもらって、その魅力を再認識しています。

 で、そんな誘いもあって町内を散策してみれば、以前から観光スポットとして知られていた「万葉公園」が、湯河原惣湯Book and Retreatという名称を得て、雰囲気を大きく変えていました。ま、イマドキの言葉でいえば、癒やしな空間。源泉掛け流しの湯がある惣湯テラス、足湯とカフェとコワーキングスペースが集まった玄関テラスと、もう、その言葉遣いにむずかゆさを感じるのですが、清流が流れゆく万葉公園をベースに整備しています、かつてとはない魅力にあふれています。言い換えると、マイナスイオンが気持ちいい! とか、どこかで誰かが発していそうな雰囲気まで、手に入れてしまっていますが。ま、とはいってもですね、その仕立てがとてもお上手。イマドキに求められる、東京からアクセスしやすい雰囲気(日帰り的な気軽感)、それでいながら出掛けてきたという満足感を得られること、そういったことをベースにして、たとえば、遊歩道はすべてコンクリート舗装されるし、掃除が行き届いているし(つまりは靴をはき替えずに歩ける)、これまでは腰の高さぐらいの手すりを配置していただろうに、それを多くの場所で取り除き、ちょっとスペースがあればステアを作ってそこにベンチを並べる、とか。まぁ、とにかく細かなところまで考えられておりまして、ちょっと感心しました。ただですね、問題は、人が集まり過ぎた時にどうなるか……。この空間がもたらす清涼感(川沿いじゃなくてもね)は、人の密度によって反比例的に低下していくもの。ま、そのために駐車場も小さくしているのかな。いずれにしても、人気(ひとけ)がない時に訪れることに価値があるなぁと思った次第です。湯河原そのものの価値とも言えましょうかね。

 さてはて、そんな湯河原で、知人が、このたび、いわゆる民泊をスタートさせました。あえて、この時期に。しかも、砂浜まで海まで30秒という好立地にて。ルノー・アルカナ試乗会の後に訪れてみましたが、いやー、いい感じにリノベーションされていました。商売をしたいというよりは、自分の居場所を海そばにも作ったといった感じで、そういうスタンスもまた好印象。写真の窓向こうに見えるのは海です、海。まさに、管理人したくなるような環境です。あ、そうそう、隣接する熱海では、最近、ワカモノでごった返しているそうです。え? なんで? と思って理由を訊いたところ、その吸引力はスイーツだそうで。いわゆる「バエル」スイーツね。そう考えると、ますます湯河原のこの落ち着き感たるマーケティングは、すごくいいとも思えてきますな。

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