#1718 昔は、ふたつのことを同時にこなせることを得意としていました、ってな話。


 衰えたなぁと思うことがしばしばあります。脳科学的に人間ってマルチタスクしているのかどうだかわかりませんが、いわゆるふたつのことを同時にこなせなくなりました。なんたらをしながら、別のなんたらをするってなスタイルですな。自分でも、すごいなぁと感心したのは、20年以上前、編集部で誌面作りの相談を受け答えしながら、自分はそれとは関係のない原稿を書いていたこと、さらには、インタビューアーとライターを兼ねながら、取材現場も、原稿も、素晴らしさにあふれていた、なんてことのあれやこれや。って、こうして思い起こしてみると、そのほとんどが、聞きながら、書くというものでした。

 なぜ、こんな技が身に付いたかといいますと、あれは中学校2年生の頃。近所の公立中学校に通っていた際、社会科の先生がですね、一切、黒板に文字を書かない主義の人でして、ま、黒板に書かれているのは、生徒が順番にあらかじめ、予習としてまとめておいた内容をそれぞれに書いておいたものだけ。つまりですね、先生が何を言っているのかを聞き取る能力、そして、ノートにどうやったら上手にまとめられるか、さらに、そのスピードに付いて行けるかを養うことを目的とした授業でもありました。ま、こういうのって、たとえば、大学やらでは許されたとしても、中学校じゃね、しかも、公立だったりすると、なおさらに無理を感じ、当初は抗議したものです。といっても、その先生は生活指導担当で、常に竹刀を持っていたこともあり(これについては曖昧。作り話かも)、抗議できる余地などはなく、ただただ従うのみでした。

 ただですね、ま、譜面を見ながら鍵盤を叩くことを訓練していたためでしょうか、この授業スタイルにはわりとすんなりと付いていけるようになり、いつしか、ノートやらのまとめ方も上手になり、そして、社会人になった時に特技になっていたことに気付きました。

 それがですね、最近、失われてしまった。インタビューでそれができなくなっていたことに気付き……、問を投げ掛けることはできるんですが、耳で受け取った言葉をメモに残せない。ま、そのメモが上の写真だったりしますが、振り返ってみると、なにをメモしたかったんだか、理解できないところが多々あります。だいたい、メモした言葉がそのものが浅すぎるし。さらには、先日のインタビューでは、自分が、あれ、今、誤った単語を発しなかったか、と、気付いたものの、正しい単語が思い浮かばず、というパニックもありました。そして、つい最近、ラジオを聞きながら原稿を書けなくなったことに気付き、老化であることを感じ取りました。つまり、きっかけたる理由なんてのは、ないんですな。

 これらを自分的に分析すると、聞きながら理解する、もしくは表現するところに、遅延が発生しており、また、脳内でそれに見合う言葉を探しにいって時間がかかるなど、簡潔にいいますと、50代に入った者どおしの会話で盛り上がる「言葉が出てこない」に通じるところがあります。じゃ、どうやったら、訓練できるのかはわかりませんが、今のところ、自然の摂理であり、素直に受け取るのがいいのではないか、と理解しています。

 そうそう、自然の摂理といえば、20年近く髪を切ってもらっている方と話していて、あらためて白髪に抵抗しないスタンスで行くと宣言したところ、賛同してもらえました。ま、床屋さんとしては染めたいんだろうけども。ということで、諦めるとは異なる、飾らない主義を貫くことをあらためて決意したのでした。

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