#1714 アウトランダーとしては3代目、PHEVとしては2代目の、最新型アウトランダーPHEVの原稿から、こぼれた言葉を拾ってみました。


 昨日、どたばたな中、最新型アウトランダーPHEVの原稿を仕上げました。吉田はたいがい書き始めると暴走(文字数が多くなる)するんですが、付き合いの長い編集者の方々は、あらかじめ、多め、かつ、増減がきくような調整幅を設けて、発注してくれます。とはいっても、指定文字数が多ければ多いだけ、それを上回る文章を書き上げてしまうのが、吉田の常だったりもします。で、今回は、インプレッションメイン試乗会だったにもかかわらず、書き始めたらアウトランダーとはなんぞやとか、ここがすげーとか、前座的なヨタをツラツラと書き始めてしまって、結果、2000W(指定文字数は2600Wだった)を書いてしまうという始末。いかんいかんと、それらをばっさりと捨ててインプレッションだけに集中したもののそれだけで4000Wとか書き上げてしまうという、さらなる暴走ぶり。結果としては、無慈悲といわんばかりの大鉈をふるって指示文字数に収めましたが、あらためて、切り捨てた文章を振り返ってみたところ、捨て去ってしまうには惜しい内容ばかり。ということで、今回は、そんな文章のいくつかをピックアップして、そこに解説をつけて、記してみることにしました。えっと、校正前の文体なので、ワヤワヤなところがあるのがご了承ください。


■その1■

「日本でアウトランダーといえばPHEVという印象が強いかもしれないが、登場したのはアウトランダー2世代目モデルからだったので、最新型アウトランダーPHEVとしては2世代目となる。アウトランダーPHEVのユーザー、もしくは詳しい方からこの最新型を眺めると、デザインや質感が大幅にアップしたことは理解できても、PHEVシステムについては、熟成した様子はうかがえても、何がどう変わったのか、極端な話、旧型ユーザーは買い替えるまでのことか? といった疑問が湧くはず。これについて、先に結論を述べておくと、買い替えたほうがいい、と、いい切れるほどの進化を遂げている。」


 そもそもアウトランダーはガソリンモデルからスタートし、2世代目からPHEVを追加。そして、3世代目はPHEVのみになるのか? という振りをしようとした下り。そして、旧型ユーザーは買い替えるほどの魅力があるという結論も導こうとしていた文章ですな。これをカットしたことで、結論も変更しています。


■その2■

「これだけの人気を集めているのは、端的にいえば、今の時代に求められている「クルマとしての理想」を多く有しているからにほかならない。たとえば、モータードライブをメインと謳いながらも完全EVとしていないPHEVシステムは、今に求められる環境・燃費性能を、今流のチャージ(給電・給油)でサポートでき、そう、近未来的な先を見据えながらも、今に使えるクルマといえよう。そうした実用テイストをもちながらも、実際に目にして、シートに座り、テストドライブして、V2Hといった可能性まで知ると、その魅力はさらに増していく。」


 2月上旬に受注台数1万台を突破したそうで。そもそも生産台数1000台/月を予定しているモデルとして、また、過去にいちばん売れた年でも1万1000台だったことから、すごい売れているんだけど、その人気はどこにあるのか、を、吉田流に解釈した下り。事実、フルEVだったらここまでの受注にはなっていないだろうし、その上で、最新型には旧型にはない魅力が詰まっているから、惹きつけるよね、という流れを作ってます。



■その3■

「この最新型アウトランダーPHEVは、そのコンセプトからデザインまで、実は2019年の東京モーターショーに出展していた「ミツビシエンゲルベルクツアラー」にて表現されていた。当時、斬新過ぎやしないかと感じたデザインテイストは、2年が経過しても、見慣れてしまったという飽きは感じさせず、むしろ、期待感や先進性を見出すことができる。個人的には、キャラクターラインが強すぎやしないかと思うパートもあるが、行き過ぎ感をしっかりとわきまえ、そして整えられたセンスは、あのブランドのミニバンとは逆のスタンスにあることも美点だ。」


 この下りは、最後まで外せなかったパート。2019年時点で、ほぼそのまんまなコンセプトカーを発表していた、という事実は、今後の三菱の方向性を語る上でも大切だったし、あのモデルをフラッグシップと言い切っていたことなど、振り返ってみるとあれこれと凄いなぁを感じさせてくれたことを語りたかった、と。正直、2年前に発表されていたデザインとは思えぬほどに古さを感じさせず、先進性はそのままに感じ取れるし、フェイスリフトではない改良ゆえにフォルムとしてのまとまりがあってすごくいいということを伝えたかった。ただ、日本で絶対的な支持を受けてしまうデザインってのは、あのミニバン的なフェイスであって……、なんだかね、どうなんだろね、ということも、ここでは語っておきたかったのでした。



■その4■

「アウトランダーPHEVで、モーグル地形が続くようなハードなオフロードシーンは走れずしても、林道レベルのフラット路面ならば、まさに、どんなシーンでも駆け抜けていけることができる、そんな期待を抱かせてくれた。」

「日本では想像できないかもしれないが、海外では、別荘地手前にハードなシーンがあり、そこを超えていけるかどうかが大切になる地域もあるとか。走れそうなフォルムだけではないクロスオーバーモデルとしての可能性を」


 自分を含めたオフローダーの皆さん、その固くなな捉え方を少し変えてみようよ、現在の日本において極悪路面は管理されたコースがほとんどだしさ、実際にこの程度でいいんじゃないか? スノードライブなんか、超愉しいぞ、このモデル……、という、提案的なまとめをしようとしている下り。後半の、別荘手前云々の話は、ロシアでの使われ方だそうです。クロスオーバーというカテゴリー名を用いているのは三菱流の言い方に準えたため。本格的SUVという文言を用いているほかブランドに対して、ちょっと、それ使い方違うんじゃない? という、云々……、もごもご。

 というわけで、絶対に落としたくないパート、でも、落とさざるを得ない文章、これらが含まれていたら、吉田節をもっと出せるんだけどな、そんな下りです。あ、なんか、おもしろいですな、これ。続けてみましょうかね。

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