#1712 すべてにうっとり。ルノー・カングー リミテッド ディーゼル MT。後編
なぜ、前編で止めて、後編をすぐに公開しなかったのか。それは、三栄のMotor-Fan webにて、【2021年の推しカー|ルノー・カングー】ディーゼル+MT。最後の限定車にふさわしい名車だ!(吉田直志)という記事の公開を控えていたからでした。で、前編を読んでいただけるとわかるかと思いますが、このモデルに対してはMotor-Fan webでは収まりきらないほどの感激が控えていまして、それを後編に叩きつけようと考えていました。が、前編を読み返してみたら、あまりの文字数に、自分でもうんざり。ということで、後編は、その記事を受けつつ、ライトに流すことを心掛けたいと思います。
前編では、走りについては、ほぼ書き切りましたが、そのほかの美点としては……、やはりシートについて触れておかねばならないでしょうかね。ぱっと目にしたところでは大柄(大げさ)だと感じさせないんですが、座ってみると、なんじゃこのゆとりは、と感じさせてくれます。実際、クルマ(に限らず)のシートってのは、サイド部もそうですが、特にショルダー部分をサポートする造形を加えることで、すげーをダイレクトに感じさせてくれるものです。そう、分かりやすさ。つまりですね、言い換えますと、ショルダー部をサポートする造形はあってもいいんですが、なくても、シートの本質、真価は変わらないものだとも感じています。実は、所有していたグランドチェロキー(2世代目)が、まさにそれ。当時のジープはイマドキのSUVようにそのサイズ感を威張るのではなく、オフロードではコンパクトなサイズこそ大切だという考え方からデザインされており、それゆえにキャビンもボディサイズの割に広くなく、それがシートデザインにも影響していました。そうなんですね、ショルダー部の造形が大きなクルマのはずなのになく、でもですね、シートそのものの本質を語る上でショルダー部の造形の「強弱」は、あまり関係ないことを気付かせてくれました。あ、シートといえば、フォードは違った意味合いですごくいいです。もちろん、モデルにもよりますが、フォードのシートは背もたれで座るのではなく、腰で座ります。もうちょっといいますと、ケツで座ります。え? 何それ? と思われたかもしれませんけど、分かりやすく表現するならば、極端な話、シートバックがなくても(いやないとダメだけど)いいといえるほどのものでして、なんつーんですかね、ケツでクルマを操作する感覚とでもいいましょうか、そんなシートの設えになっています(所有しているフィエスタは、ここがダメなんですが)。
で、話を戻してカングー(ディーゼルに限らず)のシートは、とにかく、豊かな気分に浸ることができます。包み込みそうもないのに、座ってみるとクッション性が豊かであり、つまり、多様であり、走れば走るほどに、体に馴染んでくる。なにか、言葉として表現できるような特色があるかといわれると、これがすごく難しい。でも、結果、疲れない。ずっと座っていたい、そう感じられるところに美点があります。ルノーらしさのひとつってヤツですな。ちなみに、現段階では購入候補の最上位(いや迷いはない、あとはタイミングのみ)にあるジムニーシエラはここに唯一の不満点があります。サイズ、サイズ感はアップしているのですが、座ってみると、国産車に共通する、腰にむずむず感を覚えるもので。これは、昨年11月の取材でもあらためて感じたところでした。
って、気付けば、Motor-fan webでは、シートの話なんてそんなしていないじゃん。ということで、あとは……、あ、カングーのシートについては、フロントは高評価ですが、3席分割スタイルのリアシートは、似た感覚を持った方によれば、長距離ドライブでは好ましくないところがあるようです。このあたりは、やはり商業モデルがベースになっているために、致し方ないんでしょうかね。そのほか、なんだっけか、思いだしたら、書き足していきます。