#1703 CセグプレミアムどころかDセグまでターゲットとしていた、新型アウトランダー。


 先日発売になった、三菱自動車の新型アウトランダー。ほぼ市販レベルなコンセプトモデルに見て、触れて、試乗してきました、先月、サーキットで。そもそもどこかで見たことあるなぁと思ったら、こやつ、前回の東京モーターショーにも出展されていた「エンゲルベルグツアラー」が、この最新型アウトランダーのスタディとなっていました。あの重厚感はパジェロラインをイメージさせたので、ほうほう、こうなりましたか、といったところもあって、好印象。ただ、販売モデルはモチーフをあれこれ採用しているものの、気に入っていた重厚感はあそこまではありませんでした。ま、当たり前です、デザインケーススタディですから、ショーモデルっつーのは。 ただ、アウトランダーというポジションから眺めると「アッパークラス」感を備えていて、ああー、キミも手の届かないところへ行ってしまったのだね、と思わせました。取材時は、まだ価格帯も発表になっていなかったこともあって、高くなるんだろうなという妄想がありましたし。ところが、発表になった価格帯は、大きくは上昇させておらず、逆に良くこの価格帯で収めましたね、と褒めたくなる、そんなふうに、今は捉えています。
 それはインテリアにおける質感も含めての話でして、ずいぶんと立派になりましたねって印象をあたえるリアシートは、乗り込みたくなる魅惑を備えており、まさにそれ。ところが、短い試乗時間を削って途中、編集長に運転を替わってもらってリアシートに座ってみたところ、とにかく落ち着かない。足の置き場と腿のサポートに違和感を覚えながら、そしてシートバックの強烈なサポート性とのバランスに? を感じる。これは、リアシートを立派に見せなきゃいけないとことと、PHEVモデルでもサードシート装着を可能にしなきゃいけないという、相反する性能(機能)を両立させるひとつの解なのですが、座るという、シートとしての最重要ポイントが少々疎かになってしまったといった印象。ちなみに、ショルダー形状ってのは、肩をオーバーするようなデザインにすると、その存在を強く感じ、そして、なんとなく豊かな気分すら感じさせてくれますが、実際に必要なサポートは肩甲骨部分。なんて話はまたの機会に。
 ちなみに、先代アウトランダーが使ってきたプラットフォームのウィークポイントであった、リアシートにおける乗り心地(先のポジションの話は別)はすこぶる改善。リアサスがストローク分、ストレスなく動くようになったことと、リアセクションからのノイズが届かなくなったことで、それこそアッパークラス「感」ではなく、アッパークラスへ移行したことを確認。そのほかハンドリングにしても、PHEVユニットにしても、そのポテンシャルをイヤミとばかりにアピールするのではなく、余裕に通じるゆとりとして表現。なので、パワーモードにしても、強引な加速で驚かしを作り、結果、それが使えないモードにするような、ことはなく、まさに重厚と言わんばかりの加速感を作り上げていまして、そう、愉しめる。エコモードにしても、環境・燃費性能を意識して選ぶのではなく、まったり走りたいという、それこそ走りのスタイルで選ぶことができるように仕立ててある(エコモードじゃなくて、マイルドモードとか、名称を変えたほうがいいと思っていますが)。で、サーキットでの走行でしたから回頭性について話をすると、やっぱり、リアにもAYCを採用したことが大きい。これまでは、コーナーでインをついても挙動が乱れないという表現を使ってきましたが、新型は安定したままだからステアリングをどんどん切り込んでいきたくなる、そんな違いがあります。これはスポーティさを極めたという表現よりも、個人的には質感のアップと表現したいところ。といっても、このアッパークラス感や、質感アップっつーのは、Cセグメントモデルの課題というか、命題。特にSUVにおいては。
 と、あれこれ書くと、すでに執筆した、これから公開されるあれこれと被ってしまうので、ここらで……。

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