#1689 しなやかさを得た、フォルクスワーゲン・ティグアンの改良モデルの話。
つづいて、フォルクスワーゲンのティグアンです。2世代目のマイナーチェンジが行われ、1.5Lガソリンターボエンジンを搭載したというので、ワクワクに似た期待をもっての試乗となりました。ちなみに、ティグアンに対してはとても好意的に捉えていました。なかなかいいパッケージング、そして、サイズ感、さらには価格に対してですな。あ、もちろん、ハンドリングを含めた乗り味についても。しかし、MQBプラットフォームを採用した最新型に対しては、ゴルフ7に感じたしなやかさに乏しいこともあって、自分が妄想していたティグアン像とにズレを感じ、なんだかなぁを覚えていました。ただ、まぁ、フォルクスワーゲンですから。改良の度に、アナウンスも特にしないままにシャシーを改良してきますからして、今回の大改良に大きな期待を抱いていたわけです。
で、ファーストインプレッションですが、なんじゃ、このしなやかさは、と、驚きを超えた、感激。あ、試乗したのは、エレガンスというグレードで、18インチタイヤを組み合わせています。19インチ採用の1Stエディションも選べましたが、……中略……、意図的にこの18インチを選びました。で、駆り出して、そのまま首都高へ入って行ったこともあって、好印象ぶりはどんどんと上昇。路面からの刺激を受けて4輪がうねうねと動いている様が伝わってくる。そんなフィーリングに対してやればできるじゃんを感じ、フォルクスワーゲン流のまじめさを感じ取りました。ところがですね、路面に継ぎ接ぎのあるシーンへと移ると、つまり、下道に入ると、さきほどのしなやかさはわずかなストローク量に限ることが発覚。そして、そこを外すと、マンホールといった段差はもちろんですが、路面の継ぎ接ぎといった、突然の路面変化で、顕著に、硬さとして現れてきます。
こういうのが気になると、次々とあれこれと気になりすぎる。下道だからってこともあったんですが、アイドリングストップからの復帰で、トルク変動がありまして、アクセルワークにかなり気を遣う。具体的な表現をしますとね、発進時に滑らかな発進を期待してアクセルを踏み込むのですが、ターボ側、DSG側、それぞれの都合もあるのでしょう、タイムラグとも言える、前に進まない間が存在します。んー、踏み込み量が少ないかなと、アクセルペダルを踏む足に力を入れると、ターボの過給が強く入り、飛び出し感が出てしまう。前が進まないと感じた時に、そのままの踏み込みで我慢していればいいかといえば、その間が耐えられないといったところがあり、心地よくない。ただ、これ、意識的に演出されたフィーリングなようで、いわゆるドライブモードをエコに切り替えると解決。逆に言えばですね、エコモードに扱いやすさがしっかりと設計されていまして、踏み込めばパワー引き出せますし、コースティングも行いますから、デフォルトモードでいいんじゃないかと思えたほど。で、調べてみれば、このユニット、150PSなハイパワー版のほうで、日本以外では130PS版が存在していました。つまり、意図したフィーリングというわけですな。やっぱり、日本の走行シーンを考えるとロープレッシャーターボ版がいいです、ほんとに。そう思います、つくづく。
ちなみに、好みという観点で語ってきましたが、ニュートラルな見方から評価しますと、エンジンのジェントルなフィーリングに感心しつつ、高回転でのパンチ不足が気になったかな。あとは、それに対して、シャシーが速い。そう、シャシーが「速い」。なので、エンジンに対して、シャシーが役不足という位置づけになってしまっているかな、とも。ただまぁ、上には2.0Lターボ搭載モデルがありますし、さらには、320PSを発生するRがラインナップしていますから、このシャシーの奢りすぎ感は、きっとアッパーモデルでこそ、バランスを感じるのでしょう。まぁ、そのあたりから、弟分の登場によって、ティグアンのポジションを上げようという、意図が見えていますが……、って、そうそう、価格にびっくりしました。日本で、実質、売れ筋となる、と思われるエレガンスで483万9000円で、試乗したレザーシート付きで512万5000円也。500万円のクルマですか、そうですか、はぁ。といった感じです。
ひたすらに長野まで下道走って、14.1km/L。 |