#1687 月刊ドライバーにてクロカン3台取材をしてきました、話。その1。


 さてと、クロカンする機会はほとんどないと思われるのに、昨今のクロカンモデルへの期待はなんなんでしょうかね。不可思議に思います、思いますが、もっと不可思議なのは、何が凄いのかがほとんど解説されずに、すげーと言われていることではないか、とも思っています。ということで、今月号のドライバーにてクロカン3モデルの試乗記を担当したので、その取材フォロー、書き切れなかったことなどを、ここで少々書いておきます。ちなみに、取材に持ち出したのは、メルセデス・ベンツ Gクラス、ジープ・ラングラー、そして、ランドローバー・ディフェンダーの3台ですが、GクラスはAMG仕立てのG63ですから、クロカンポテンシャルを意図的にスポイルしていることから、クロカン走行はしませんでした、という前提で。
 ディフェンダーに対しては、先代を社用車として乗った経験がある者からするとですね、新型は、今に何が求められているかを、ランドローバーは実によく理解して、それを提案しています。先代を比較に出して述べますと、オフロード走破性を最優先にしたがゆえに、日常で不安を煽るあの乗り味が消え去っていまして、街乗りしたくなるモデルへと変貌していました。つまり、日常に不足がないオフローダー。そこに大きく貢献したのは、やはり4輪独立懸架式サスペンション。エアサス付きとなるとランドローバーお得意の伸び縮みまで再現してオフロード走破性を獲得しつつ、サスのストローク感を乗り心地にこれでもかと使って快適性を表現しています。かつて、高速道路から出口へと向かうコーナーで速度が高すぎるがゆえに、曲がり切れずに苦労しているランドローバーを見たことがありますが、ああいった心配はもはや皆無。どころか、オンロードにおけるコーナリングがむしろ、愉しい、愉しい、愉しい。この乗り味に対して、クルマの動きはどうあるべきかをしっかりと把握しておりましてね、コーナーではリアサス外側がんぐっと沈み込み、グリップはまかせなさいといわんばかりのスタンスが強く感じられ、そこにそれを愉しませてくれる2.0Lエンジンの仕立てが加わって、もはや、うっとり。この乗り味、ランドローバーの中でスポーティを謳うモデルならば分かるんですが、ディフェンダーで、しかもスポーツモードなんてのを持たずにこれ……。
 さらに驚いたのは、えっと、オフロード走破性でのある一面。高速で走るサーキットでも、低速で走破するオフロードでも大事なこと、それが、いかにタイヤを接地させるか。右の写真を見ていただけると、モーグルのコブでタイヤが持ち上げられる(サスペンションが大きく縮む)と、なんとタイヤのサイドウォールをたわまして接地面積を広げて、トラクションを大きく確保しようとしているスタンスが見えてきます。実は、これ、オフロード走破性において実に大切。時に、岩を包み込むなど、この柔軟性は、基本中の基本だったりします。しかし、昨今、クロカンモデルであっても、タイヤは薄ぺったいほうがいい、ホイールはでかいほうがいい、そんな風潮があり、こういったオフロードにおける基本性能を無視したスタイルがもてはやされ、メーカーですから、その流れに乗らねばという考え方が見え隠れしていますから。ところが、このディフェンダーは、それがない。ま、65扁平というタイヤサイズに、せめて70扁平だろう! と思うところもありますが、ま、許せる範囲かな、と。
 ただですね、途中でも触れましたとおり、サスを伸び縮みさせることによるメリット(グリップのほか、ボディは水平をキープし、ボディをヒットさせずらいといったこと)は理解した上で、やっぱり、オフロードにおいては接地感に乏しく一体どんな地形を走っているか把握しづらいことが気になります。ま、これがディフェンダーの最大のウィークポイントかな、と。あとは、エアサスの修理代とかね。ランドローバーは壊れやすい(過去のモデル)上に、パーツがとんでもなく高いという印象がありまして……。あとは、やっぱり4輪独立懸架式ゆえのサスの、ただ伸びましたー、縮んでみましたーという、あのスタンス。やっぱりね、ボディラインに対して捩れを見せつけてくれないと……。そうなんですな、あの捩れスタイルこそが走破性を感じさせる……、って、ちょっとマニアっぽい発言か。と、思うところをあれこれ書いたら、こんな文章量になってしまいました。ということで、ほかのモデルについては、パート2へ。

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