#1682 三栄のMotor-fan webで運転の愉しいクルマを選んだ、話。
スポーティをウリにしていないんですけどね、愉しいんです。 |
三栄さんのですね、Motor-fan_webで、最高に運転が愉しいクルマ3台をセレクトして、記事にしてくださいという依頼がありまして、執筆しました。しましたけどね、これがすごく悩んだ。自分の場合の運転が愉しかったクルマ=ハンドリングにおいて対話性があるクルマとなるわけで、つまりはですね、絶対的なスピードとは無縁だったりします。ということで、あちらで書き切れなかった補足をこちらにしておきます。。
で、そんな愉しさをキーワードにして振り返った時、何を思い出したかといえば、やっぱりですね、C-MAXなんですよ、C-MAX。そんなモデルあったっけか? と思われるかもしれませんが、あったんですね、フォード・フォーカス C-MAX。フォーカスベースのモノスペースモデルで、日本ではタイミングが悪かったこともあって、2年未満の導入でしたが、その出会いは強烈でして、あちら側から、クルマの愉しさってのは、こういうもんだから、スピードとか関係ないから、と教えてくれたモデルでした。もちろんハイパフォーマンスモデルではありません。エンジンもスペックは平凡でも、フィーリングは実直な2.0L/NAで、トランスミッションは4AT。でもですね、個々の作り込みが素晴らしい上に、そのバランスがいい。とんでもなくまじめすぎるとも言えるか、そういう意味では、まずはシート&そのポジションがサイコー。そもそも、ヨーロッパフォードのモデルは、シートが絶品な上に、シートポジションがしっかりと作り込んであります。自らはアップライトに座るスタイルが好みなこともありますが、このC-MAXのシートは、もう座った瞬間から打ちのめされっぱなし。クッションにおける質感はなんつーですかね、まさにオーバークオリティか。で、リアシートなんぞ、3座独立なだけではなく、ドア側シートのスライドは斜めに動くという変態仕様だったりして、もう狂喜乱舞といった感じ。あ、いうまでもなく、リアでもシートベルトはショルダーからかかるようになっている、安全思想満タンな作り。もう、何もいうことない、そんな感じでした。
そして、運転がこんなに愉しいと思わせた決定打はやはりハンドリングでした。ステアリング操作をしているとですね、握っているステアリングホイールからステアリングコラムを通じて、ピニオンギアを介して、ドライブシャフトまで繋がって、タイヤが直結している状態が、透けてみえるかのよう、つまりは、透視図といわんばかりに見えてくる。なるほどね、スポーティなんだと思われるかもしれませんが、そこにあるのはシャープさとは異なるダイレクト感であり、丁度いい塩梅という仕立て。そして、あのシャシーですよ、シャシー。ヨーロッパフォードの剛性感ありありなしなやかさ、というプジョーの猫足とはまったく別のバランス感にあふれていまして、荷重移動が手に取るように伝わってきますし、結果、速い、そして、結果、乗り心地がとんでもなくいい。オーバークオリティといえば伝わりやすいかもしれませんな。もちろん、シートのクッション性やらもそこに加わっているんですが、とにかくすばらしい。エンジントルクも中回転域がとんでもなく豊かでして、そんな加速感も相まって、愉しい、愉しい。 だからでしょうね、試乗会ではなんと室内から走行シーンを撮影していました(写真上)。
実は、このC-MAX、そして、2位に選んだフォーカスSTともども2006年4月に開催された広報試乗会で出会ったモデルでした。といいますか、3台ピックアップしなさいと言われて、1、2位を同世代の、同プラットフォームを採用しているヨーロッパフォードで占めるって、狙いすぎじゃないか? と思われたかもしれませんが、それほどに、刺激的で、自分に影響を与えたモデルでした。もちろん、フォーカスSTのほうがハイパフォーマンスな分、愉しさは全域においてプラスされていましたが、ベーシックという観点では、つまりスッピンゆえに見える素性に愉しさが溢れていまして、つまりは、C-MAXのほうが愉しさは上。ただね、フォーカスSTのあのやっぱりオレンジを用いたレカロシートは、もう、あれだけで欲しいと思わせるほどの魅力がありましたから、寄稿にあたっては、甲乙付け難かったというのが正直なところでしょうかね。あとは、まぁ、エンジンか。ボルボ製とはいえ、中回転域のトルク感がもう豊かすぎる上に、高回転までパワー落ちせずに、トルクフルに回って行くフィーリングに打ちのめされました。軽快感とはちょっと違う、豪快さとも違う、心地よさがありましてね。
と、そんなヨーロッパフォードとの出会いがあり、現在、フィエスタに乗っています。あ、ちなみに、フォーカスSTについては、次の世代のモデル(並行輸入)をテストドライブした機会があるんですが、すこぶるいいんですが、あの時のフィーリングは見え辛くなっており、好みから外れていました。
3位は、乗っていたグランドチェロキーのラレードV8。やっぱりあのシャシーの仕立てと、当時最新だったV8/4.7L、そして、やはり新開発の5ATとのバランスはすごくいい。オフロードも走れたし。執筆は3台と言われていたもののどさくさに紛れてパサートだ、ゴルフだ、プジョーだ、と本文中で触れましたが、文字数不足から触れられなかったのがレガシィS401。