#1663 改めていいクルマだよなぁと感心しきりだった、フォルクスワーゲン・ゴルフ5。


 突然ですが、ゴルフ5の話。フォルクスワーゲンのスタンダードモデルであるゴルフの5世代目モデルの話。日本では04年にデビューして、09年まで販売が続けられたモデルの話です。これ、実家の両親が乗っているクルマでして……、って、そう、老夫婦が赤い、外観から艶が失われたゴルフ5を乗っています。なぜ赤なのか、ゴルフだったのか……って、実は、今は嫁に出た妹が独身時代に購入したクルマでして、当時、輸入車を購入する女性が選ぶ代表格だった、赤、を選んだがゆえのことです。
 そんな実家のゴルフ5ですが、登録から14年以上が経過しているものの、最近は、近所のスーパーへの買い物の足として、そして、大学病院までの行き来が活躍の場となっていまして、ゆえに、走行距離は6万kmにも満たず。なるほど、それは極上な個体ですな、と思われるかもしれませんが、あの頃の直噴エンジンの常、エンジン周辺がかなりくたびれてきているようで、アイドリング不安定からの走行中のエンジン停止といったトラブルが見られるように。まぁ、EGRバルブのクリーニングとプラグ交換やらで、復活はしましたが、少し負荷を掛けただけでノッキングが出ていますので、さてはて、どこまで延命できるのだろうかと、思ったりもしています。
 さて、と、前置きが長くなりましたが、そんな実家のゴルフ5。諸事情から、自分のフィエスタと入れ替えて、八王子へと持ってきています。そもそも、ゴルフ5は、御存知のとおり、走りに関する部分にかなりコストをかけたモデルでして、リアサスはマルチリンクになるし、6速ATを組み合わせるし、さすがはベンチマークとされるだけあって、当時は、その先を往くポテンシャルに、恐れおののいたものです。で、久しぶりに乗った、実家のゴルフ5ですが……、これがですね、良かった。サスペンションのストローク感にですね、しなやかさと剛性感が同居していて、とにかくうっとり。14年以上経過した個体ですけど、うっとり。ロールもキレイに出てくるし、美しく収まる。リアのグリップがいいもんだから、コーナーではついついアクセルを開けていってしまう。それでいながら、乗り心地がいい。ゴルフ4のころのようなストローク感をとことん使ったゆったり感ではありませんが、的確な減衰がしっとりとした乗り心地を作り上げています。そう、昨今のモデルのような、ストローク量不足が、まだ見当たらないフィーリング。あ、日本ではボトムグレードだったE(1.6Lエンジン、15インチタイヤ)ですのでなおさらのこと。ちなみに上のグレード、Eでも特別仕様として提供された仕様では、乗り心地に硬さが出てきます(と、強く記憶している)。ハンドリングも油圧パワステゆえの操舵感と、ステアリングとタイヤが繋がっているかのようなダイレクト感に対して改めて感心。当時はまだ主流だった重ためのフィーリングも操舵している感を強調していて、懐かしさとともに、やっぱ、これだよなぁ、を感じさせてくれます。
 エンジンフィールは、ま、不足ないけど、盛り上がりに欠ける、当時のスタンダードエンジン、直噴1.6L(NAね)。実は、この直噴1.6L、1.4Lターボに引き継がれるまでの間に制御を変えています。公には具体的な話は語られていないんですが(欧州車の常でもある)、簡単に言いますとフィーリングを大きく削いでしまっていた希薄燃焼モードを諦めています。本来は、そこで燃費を稼ぐはずなのですが、フィーリングが悪いから踏んでしまう→期待したほどの実燃費が出ない&希薄燃焼しなくても、なんとかカタログ燃費を大きく落とさずに済む改良ができたこともあって、の、変更でした。で、我が家ではあえてこの希薄燃焼を止めたエンジン搭載モデルを選びました。ということで、いわゆるパワーフィールに不足は感じませんが、これで十分だよなぁを実感させてくれるのはやはり6速化されたATのおかげもあってのこと。1速がかなりローギアードな設定になっていまして、発進時に不足ない加速を披露し、そのまま、今となってはスローではありますが、シフトチェンジを繰り返していきます。で、全域でフラットなトルクとしていますから、実に扱いやすい。と、あれやこれやと、久しぶりにしっかりと乗ったゴルフ5に改めて感心した次第です。
 いずれにしても、14年経過しても当時に感じた印象と大きく変わっていないことに、ちょっとオドロキ。トラブルがこのまま消え去ってくれるならば、また、見た目と、例のごとくベトベトになったプラスティックパーツをどうにかできれば、廃車にするには惜しい……、なんてことを、今日、道ですれ違ったゴルフ2を目にしながら思いました。もちろん、あちらはピカピカに磨かれていましたけども。なんかね、惜しいですよね、もったいないですよね、古くなくなったから、廃車にしなきゃいけないって、諦め方。いっそのこと、自分のフィエスタと交換してもいいかなと思いましたが、1割り増しとなった自動車税を、しかも、1.6Lクラスとして払っていかねばらないことを考えると、難しいかなとも感じました。

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