#1662 ひとつを除いて、すべてが整っていた、マツダ3(スカイアクティブX)の話。


で、気付きました、このクルマ。走りからデザインから、装備から、UIに至るまで、すべてが同じ方向を見ています。まず最初に感じた、あの造形の美しさ、面が連続的に変化し、周囲を巻きこんでいく、あのデザインは、さきほど書いたエンジンフィールに見合っています。そんな、リンクしていくフィーリングの中で、最も感激したのはメーカーオプションのBOSEオーディオシステム。かつてと異なり10万円以下で選べる設定となっていることにも感激ですが、そのサウンドがですね、マツダ3のデザインと、走りとに見合っている。道中はずっとグレン・グルード演奏のバッハのGoldberg変奏曲を聴いていたんですが、もうね、打ちのめされまくり、って感じ。サウンドとしては、時にシンプル、時に複雑になり、そこに演者の解釈が思いっきり入ってくるような、そんなサウンドなんですが、もうね、マツダ3にぴったり。久しぶりに、自分のクルマとして、このパッケージのままに欲しくなりました。
ただ、現実は1.5LガソリンのMTでいいかなとカタログを眺めてみれば、なんと、BOSEオーディオシステムの組み合わせが不可! ま、2.0Lガソリンで可能にしてくれているだけでも感謝ではあるんですが……。ということで、大絶賛なモデルなんですが、だからこそ、期待に反している部分に、うーむ、を感じたところもありました。まずは、1.5Lのボトムグレード以外、18インチタイヤが組み合わされること。走りに対する理想を掲げるのは、すごくいいことですし、そこに絶対の自信を感じますし、目指そうとした性能も走っているうちに見えてきます、天晴れだとも思います。しかし、接地感は残したままに、もう少しサスペンションの動きに質感を出してもらいたい、と感じました。あとは、これはうーむを超えた、がーん、なのですが、リアのドアグリップですな。引き切った際の質感のなさは、超が付くほどの残念がありました。これは、ない。ありえ、な、い。価格帯を考えると、こんなもんなのかもしれませんが、ほかすべてが整っているだけに、どうして? なぜ? を訴えたくなりました。マツダ3としては、あり得ない、ってなことを感じたのでした。