#1661 ダイハツ・ロッキーでのスノードライブ動画、裏話編。

 1月に取材したダイハツ・ロッキーのスノードライブ取材、なんと1月末にはアップされていました。編集作業はたいへんだったことでしょう、関わった皆さま、お疲れさまでした。ということで、その動画撮影の表に出てこない話をあれやこれやと記してみましょうかね。今回の撮影に対して、個人的な想いはですね、なぜこのセグメントのモデルに、高価な電磁クラッチをカップリングに用いたシステムを採用したのか(4WDは約20万円高ね)、そして、その制御がダイハツオリジナルであること、何故にいわゆる切り替えスイッチやモードスイッチを設けなかったのかとか、そんなロッキー4WDの意義を紹介したかった、ところにあります。悪路走る走らないじゃなくってね。
 ロッキーの4WDを紹介する撮影の話は、デビュー早々にありましたので、早々からダイハツの開発陣にどこをどういうふうに見せたいのかを聞き出し、ならばこういう見せ方がいいのではないかという提案を行っていました。で、結論としては、オフロードではなく、雪がいちばん分かりやすいということに。というのも、ロッキーの4WDシステムのキーのひとつに、予め路面μを推定しての後輪へのトルクのプレチャージ機能がありましてね。路面μの推定といっても、カメラでじっと路面を見つめているわけでもなく、天気予報を確認しているわけでもありません。たとえば、スノードライブしていると、クルマは、タイヤのグリップ状況や各センサーからの情報を元にして、ああ、今、凍結路を走っているのかと推測し、次に上り坂で停止し、んで、発進するような際には、予めリアへのトルクを掛けておいて、発進を手助けしてあげよう、という、そんな機能のこと。もはや、珍しくはない機能ではなく、パートタイム4WDに乗り慣れた身からすると、何それ? 当たり前じゃん、状態なんですが、だからこそ、その当たり前を分かりやすく説明したいという想いがありました。ましてや、ロッキーの価格帯、セグメントのモデルでこれだけの機能を採用しているわけですから。
 ただですね、一方で、この手の特殊な環境下を走る際、走行シーンをモードとして設定し、それを切り替えられることで、そこまで走らせられますという、価値を提供することもできます。付いているかどうかで、走れるかどうかを判断するには、とっても分かりやすいですし、売りやすい。しかし、シーンったって、そんなにはっきりと分けることはできないわけですし、走行中に操作させることが安心・安全に繋がるのか、はたまた楽しさに繋がるのか、そんな見方もできます。ってなことに、ダイハツは気付いていまして、意図的に、ロッキーでは、駆動切り替えはもちろん、シーンごとの切り替えスイッチを設けませんでした。ただ、設けないといっても、そのシーンにおける制御の理想はありますから、それをクルマ側で判断してオートで提供。そう、今回の4WD制御を自社開発したのは、コストだけではなく、そんな考え方を具現化したかったという想いもあってのこと。言い換えるとマニュアル不要なUIを仕立てたとでもいいましょうかね。この考え方、なかなかいいと思います。ちなみに、シーン設定での切り替えスイッチが付いていても、実のところメーカー側の意図としては、シーン毎というよりは、たんにトラクションコントロールのレベルを段階的に設定しているだけって場合がほとんどですし、だいたい、オフロードを走ってて切り替える余裕なんてありませんから。云々。
 さて、取材当日は、これといった絵コンテもないし、ほかスタッフはスキーへと出掛ける機会が少なく、つまり、スノードライブに対してはヨシダ任せだし、さらに、ロケ地もどこもかしこも一面の銀世界というわけではなく、陽が出てくれば路面からアスファルトが現れるし、同行していただいた開発の方々はその日中に大阪まで帰らねばならないとか、具体的なシーンの撮影の重要性を説く吉田に対して、イメージ的な動画の撮影を求めるカメラマン(構成するにはそういったカットも必要)……、と、わりとと言いますか、かなりたいへんな撮影でした。ちなみに撮影時期は、制作側から当初12月に撮影したいとリクエストがありましたが、ただ、雪が積もっているあるだけではなく、坂道における凍結路が確実に出現するのは1月になる……、ってな話をして、結果、1月になりました。ちなみに、こういったスノードライブの撮影は、シャーベットシーンを撮るのでなければ、路面状況は完全なまでに真っ白が望まれます。そんな状況、除雪がこれだけ行き届いている昨今において、雪が多く降る地域で、日中でも氷点下をキープしてくれる地域じゃないと、あり得ません。で、1月になりましたが、雪不足は12月と変わらず。ただ、当日は、数日前に少々降った雪が残っており、何とか凍結路となっており、良かったです、ほんと。
 昨今の4WDって、それぞれの違いが分かりづらいというか、一般にはわりと皆一緒だと思われていたりします。しかし、あれこれとブランドによって、車種によってハードウェアや制御が異なり、そして走りも違うものです。それはオフロード走行についても同じ。ってな話を、声を大にしても、割と誰も取り合ってくれません。ってな意味合いからも、実に有意義な取材となったのでした。

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