#1646 今月末発売のデリカ本に執筆し、新たに感じた新型デリカD:5のあれやこれや。

 さて、デリカD:5の話をしましょうか。今年の3月に、ビッグマイナーチェンジモデル果たした、オールラウンドミニバンですが、ま、簡単にいいますと、ミニバンというパッケージを持ちながら、そこにSUVテイストを与えたモデル。唯一無二、とか、稀有といった、表現がぴったりなモデルですな。で、現行型は、07年1月、つまり12年前にデビューし、販売が続けられてきましたが、このたび、新型にスイッチするのかと思いきや、なんと、ビックマイナーチェンジで対応したというモデルでもあります。まぁ、今後の新型車は、日産・三菱アライアンスで作られることが発表されていますから、その第1段ってのがミニバンってのは……、ま、あり得ませんやね。
 ということで、登場した、”新型”デリカD:5ですが、VWモデル的な表現を用いるならば5.5世代目になるのでしょうかね。そんな、新型ですが、開発陣は12年分の思いの丈をすべてぶつけ、そこまでやりますか、といった改良をしており、プラットフォームを大きく変えずとも、熟成って手法を用いると、ここまでできるのだね、と感心を覚えたりもします。まぁ、そもそも、このプラットフォーム、コストを掛けて、先を見て作ったものゆえに、ここまで使えている、という話もありますな。
 で、その、新型・デリカD:5、何がいいって、バランスが取れていることでしょうね。個々の性能を眺めると突出したところはないのかもしれません。それは、やはりプラットフォームの古さが起因した限界とも言えるところで、トレンドに乗り切れていないとでもいいましょうか、そんな、世代差。それをいちばん強く感じさせるのは、やはり、タイヤサイズ。このプラットフォームで、225/55R18サイズはボリューム不足であり、今回、リアサスのダンパー容量を増やすなどして、なんとかフラットな乗り味を作り上げていますが、その中にゴツゴツが存在しており、車両のコンセプトを考えると、おや? と思うところがね。その点では、ラージクラスとなりますが、なんだかんだで、アルファード・ヴェルファイアの高(!)扁平率タイヤ採用グレードは、良くできています。
 さて、で、デリカD:5ですな、そういった細かに気になるところはあっても、個々が威張り過ぎて以内分、バランスが取れていてですね、その加減が実に心地いい。調和が取れていると表現すると、イメージが伝わるでしょうかね。ディーゼルユニットは、レスポンスの面ではもちろんガソリンに敵わぬところがあったとしても、その高トルクによる演出、ゆとりですな、が、安堵感とでも言いましょうか、そういった心地よい雰囲気を提供してくれています。なので、十分、いや、十二分を感じると。
 乗り味も、懐の深さがそれを感じさせますし、クイックできたのにそうしなかったステアリングフィールも、実にデリカD:5が目指した世界観に見合っています。インテリアのアッパークラス感ももちろん。そうなんですね、誰も無理をしていない。意味合いのない華美を狙っていない。そんなバランスがとてもいい。そして、オフロードにおける走破性を与えており、もちろん、ハードなコースを走り抜くには、クリアランス不足は従来モデルから否めませんけど、実は設定された4WD性能は、そのクリアランス性能に対して十分なものを与えています。こういったところのバランスもいい。
 と、デリカD:5に対するあれやこれやといった想いは、今月末に発売になるデリカ・カスタムブックに記しました。各企画の構成の煮詰めに物足りなさがあり、伝えたいことを言い切れていない感が実はとても強いことが、とても残念ではありますけども。……。……。……。
 写真は、巻頭のグラビアページ撮影のひとこま。普通な風景で撮影しているんですが、これがですね、カメラマンさんのレンズを通すと、とんでもない表現に変わっています。それもまた乞う御期待ということで。

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