#1642 旧型ジムニーに、新型ジムニーの純正タイヤを組み合わせてみた、話。

新型ジムニーの純正タイヤはブリヂストンのデューラーH/T684Ⅱで、いわゆるオールラウンダー的な要素をベースに日常における快適性を重視したモデルです。そのトレッドデザインを眺めると旧型モデルの純正タイヤよりもシーランド比が高く(溝部の面積が多い)、センター部はブロック形状が強められている上に、さらに、グルーブ面に対して凹凸を設けていることなど、オフロード性能を意識したデザインとなっています。つまりですね、新型のコンフォートな乗り味と相反するようなデザインに仕立てられており、どういうこっちゃたる矛盾をそこに感じさせるもの。ま、この時点で、タイヤの進化と、シャシーの大改良のおかげで、バランスが大きく引き上げられていることは明確であり、その分、先に書いたように、シャシー変わらぬままの旧型に、新型のタイヤを組み合わせたところで、バランスを崩すことは目に見えていました。
さて、で、はきましたさ。譲ってもらったタイヤは約4000kmしか走行していない、新品に近い状況です。で、どうだったか。これがですね、タイヤ交換を終えて駐車場から本道へと出る際にある段差で、いきなり硬さを感じました。そう、硬さ、ゴトンに近い、コトンではない、硬さ。ボディに振動を残してしまう、硬さ。レカロシートだからなおさらにダイレクトに感じてしまう、硬さ。あのですね、新型の純正タイヤはケース剛性も、ブロック剛性もですね、かなり高い、といいますか、意図的に引き上げられています。これまでのタイヤは、いい意味でジムニーのいい加減さを、緩さというプラスに仕立てようといわんばかりに、シャシーに見合ったものになっていました。つまり、曖昧を許す分、それも柔らかさ、乗り心地の良さにうまく転換しており、たとえば、あちこちに曖昧さがある分、ハンドリングにおける剛性は特に不必要とばかりに、上手くバランスを整えていました。このあたりのバランスを理解できると、ワインディングやらとても愉しく走れますし、そもそものパワー(トルク)不足もなんら不満に思えません。
一方の新型のタイヤは、しなやかさを得たシャシーと、良く躾けられたダンパー減衰力によるハイレベルな乗り心地に対応すべく、つまりですね、いわゆるシャシーにおける剛性感に見合ったものになっていました。そう、乗り心地の裁量はサスペンションに預けられ、タイヤからその役割を少し解き、キャラクターとしては剛性をアップさせてシャシーの動きによりダイレクト感を与える役割を大きくプラスし、ハンドリングと乗り心地という相反する性能のバランスを引き上げている。と、そんなストーリーが、新型ジムニーのタイヤから読み取れました。

さて、最初に感じた硬さに対してですが、3日後には違和感という不慣れは消え去っていました。といっても、硬さを思い出させるシーンは、多々あります。工事後の継ぎ接ぎだらけのアスファルト、本道へ出る際に存在する段差など、日常にありうるシーンで。そう、その硬さをそれぞれがどのように捉えるかで、評価は大きく変わるかな、と。個人的には、走りの愉しさが増した分、対話性が豊かになった分のほうを高く評価しています。ただですね、タイヤの性能そのものとは直接的には関係ないところで、大きなマイナス面があります。それが、燃料消費量が劇的に増えてしまうこと。これまでは、タイヤとシャシーが奏でる緩さに合わせた運転をしていましたが、新型ジムニーの純正タイヤを組み合わせたところ、速度と走り方が、以前よりも"愉しむ"系になってしまいまして……。あとは、対費用効果をどのように捉えるか。自分の場合は友人からはロハで譲ってもらい、5本交換分の工賃がプラスされ、出費は1万円弱。タイヤの性能と、満足度と、出費とを考えると、自分としては、このあたりがラインかなと、感じました。最近は、各ブランドから発売されているジムニー用純正サイズタイヤも安くなっていますから……。
個人的に気になるのは、先のアンダーステアへの導きと、オフロードにおけるグリップ力はどうか、ということ。ちなみに、昨年末、富士五湖である本栖湖近くにある極悪コースのスタックランドファームで、このタイヤをはいていた新型ジムニーと同じところでスタックしています。していますが、あれはタイヤの性能云々以前、ボディクリアランスのせいでしたので、タイヤのグリップは関係ありませんでしたから。