#1640 国内での狙い所、アッパークラスたる走り、とってもいいです、新型RAV4。

 さて、復活したRAV4の話を。最近のトヨタは復活が多いです。個人的には復活させるということは、止め際の判断を誤ったことをなかったかのようのにしており……、と、少々穿った見方をしているところがあります。いや、クルマに限らずで、iPad Airとか、iPad miniとか……。それはさておき、RAV4の話。この日本での復活劇は、本国(といってもアメリカ)発表の時にアナウンスされたような、されていないような、ま、いずれにしても、早いタイミングでの日本での復活の予告がありました。ただ、復活がどうのこうのとは思いながらも、この、一旦下げて復活させるというストーリーは、トヨタとしての業績、および、日本でのイメージ戦略と時代の流れまで、良く練り込んだものであり、感心していたりもします。まぁ、4世代目をそのままに国内導入していたら、キャラクターも弱くなりただ大きくなったモデルという評価となり、RAV4というブランドイメージも悪化していたことでしょうし。復活というより、仕切り直しができたとでもいいましょうかね、そんなストーリーはしっかりと評価しています。
 ということで、復活となったRAV4ですが、強くは謳われていませんが、プラットフォームをひとつ格上げしての復活となりました。そうなんですね、今回はカムリに代表されるひとつ上のクラスを採用。あれ、やはり復活なハリアーって、逆に格下げになっていなかったっけか? ……、って、そうなんです、ハリアーとRAV4の立場がひっくり返っています。それにしてもRAV4を格上げする必要あるのか? と思われたかも知れませんけど、その必要があったんですね、北米マーケットをあれこれと考えると。ご存知のように北米における乗用車のスタンダードはカムリサイズ、つまり、アッパーミドルクラスと呼ばれるセグメントにあります。つまりですね、SUVも同格がメインである上に、ましてや乗用車プラスαが求められるものでして、最新のSUVはCだったのにD的な移行をしています。ま、少し前のグランドチェロキーのポジションと言えば、分かりやすいでしょうか。ジープついでで言いますと、気が付くとグランドチェロキーはアッパーD的なEセグメントへと移行しており、空いたところ、アッパーCにチェロキーを充てています。あれもそうですな、ホンダのCR−Vも。全幅1800mmどころか、1850mmを超えて、もはや日本では言い訳ができない、大きなサイズとなったモデルたち。そういった観点から眺めると、エクストレイル、新型フォレスターは小さいし、CX-5ももっと大きくてもいいとなり、特にエクストレイル、フォレスターは北米においてRAV4の横並びのライバルにはならないことが見えてきます。ただ、まぁ、日本ではそうはいきませんやね。かつてのRAV4たるイメージ、過去のユーザーのRAV4への期待は、アッパークラスにはないわけで、C-HRのほうが格下だと説明しても、横並びに捉えられてしまうのは仕方ないこと。ということで、2WDモデルの価格を260万円台からにして、その期待に応えようとしていますが、アメリカでの価格と比較すると、かなり頑張った価格付けになっていることが、そこからは読み取れます。
 さて、インプレッションは……、って、そりゃ、いいですわ。というか、ある意味バーゲンセールかと思います。いや、北米では当たり前なんでしょうけど、このクラスのモデルって、日本に入って来た途端、あれこれ付けられて、え? という価格付けになります。カムリしかり、アコードしかり。しかし、RAV4は先の価格付けたる理由もあって、そのラインナップをゴテゴテ仕様だけにしておらず、素に近いグレード(といっても自分からすると十二分ですけど)を設定しています。という意味合いも込めての、バーゲンセールですな。で、インプレですが、ハンドリング、ボディ剛性、シャシーに至るまで、アッパーミドルクラス的であり、最新ということもあって、先を走っている感があります。まぁ、チェロキーやティグアンと比較してしまうと物足りなさもありますが、ハンドリングや乗り心地は横並び、もしくはそれ以上と評価できるところもあちこちに見受けられます。いちばん感心したのはサスペンションでしょうな。執筆済みの2誌でも触れましたが、サスペンションの動きからストレスを排除した設計によって、バネレートを高めにすることが叶ったようで、アンジュレーションシーンにおいて、4輪の動きが実に美しい。つまり、路面トレース性に長けていまして、いわゆる輸入車で感じ取れるあのフィーリングにかなり近くなっています。しかも、19インチサイズを採用しながら、ドタバタを感じさせない。良く躾けてあるなぁといった印象がありました。
 ダイナミックトルクベクタリングAWDは、ダートにおける旋回では、ターゲットとした性能、つまり、操縦性と安定性のバランスを次のステップへと引き上げており、ある意味トヨタらしくない味付けともいえるもの。いや、感心したんですよ、もちろん。ダートではリアを振り出しての操縦に対して、しっかりとクルマを前進させますし、カウンターあてたところでの挙動に感心。しかしですね、操縦性の面では、その先を走っているモデルがすでにありますから、制御のブラッシュアップが期待されます。といいますか、ハードウェアは斬新なんですから、制御を整えることで、とんでもない仕上がりになることが期待できますやね。
 さて、長くなってきた……、なので、えっと、あとは、あえて気になるところを挙げておきますと。パノラマムーンルーフは、広大でいいんですが、幅方向のサイズが不足してて、この手の輸入車のような、開放感には届いていません。なんかね、もったいない、こういうところ、ほんと、もったいない。あと、アドベンチャーってグレード、とってもいいと思うんですが、北米の感覚(ベースをわりとスタンダードなグレードとしてしまった)をそのまま持ち込んでしまったので、ステアリングホイールがウレタンって、どうなのよ、って話。もちろん、メーカーオプションとして本革タイプが用意されていますけどね、税込みで約8万円……。BMWのMスポーツなステアリングのほうが安くないか、って、価格付けはちょっと疑問。リアシートのポジションが、ちょっと寝かせすぎ感があり、個人的には好みではありませんでした。室内高が不足しているモデルならば、その手法もありなんでしょうけど、狙いすぎを感じ、ロングドライブではマイナスになりそうな予感もあっての、評価ではありますけど。あとは……、2.0LガソリンNAというキーワードからパワー不足を連想しますが……、発進専用ギアをプラスしたCVTとの協調もあって、不足なし。ま、パンチはないですけどね、不足なし。逆に、2.0Lターボとかはいらんな、って感じです。そう、現在販売されているハリアーとは横並び比較できないほど、先を走っています、新型RAV4。
 そうそう、アグレッシブな仕立てを期待……、そう、”ちょっと上げ”で、専用ハードサスを採用したようなラギッド系モデル。昨今は、先進安全装備が付いたために、少しであっても車高を変更するような改造は御法度状態ですから、メーカーお墨付きで、そういった仕様を出して欲しいものですが……。って、どうやら、TRDが15mmアップキットを開発しているとかで……、これはなかなか期待大ですな。

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