#1637 旧型ユーザーは乗り換えたほうがいいと思う、三菱・デリカD:5。

 最近は、同じモデルを、異なる媒体に書くことが多く……、つまり、書きわけなければならないことが多々あります。それが、エッセイだったらいいんですけど、新車紹介だったり、インプレッションだったりすると、もはや書き分けられているんだろうかと思うことしばしば。ま、表現方法を変えたとしても、評価そのものは変える必要はありませんから、難しいわけではないんですけどね、ないんですけど、同じ文章になっていやしないかと心配だったりもします。なので、書いたものを読み返さないようにしていますが、ふと、それゆえに、同じ言い回しになっていやしないかと、思ったりもして。
 というわけで、昨夜、3誌目の執筆を終えたのが、新型デリカD:5。このモデルとは昨年秋の事前撮影会からの付き合いでして、発売前の試乗会(クローズドコース)、スノードライブ、そして、今回の公道試乗会で4度目の御対面となりました。もう、すっかり見慣れました。それは飽きたというのではなく、目に馴染んだという慣れ。最初は、そのデザイン手法に驚きを覚えましたさ。ただ、知らぬモノを目にした驚きであり、解釈するに、理解するに時間を要しただけのこと。デザイナーさんへのインタビューやらを経て、意外にも、そこにクリーンであるとか、シンプルを感じていたりするから、不思議です。ただ、個人的な好き嫌いでいえば、"好みではない"デザインですが……。ま、そもそもミニバンを必要としていない、というスタイルもありますけど。
 個人的な好き嫌いや、欲しいかどうかは、さておき、新型デリカD:5、とってもいいです。今回は、フルモデルチェンジではなく、07年にデビューしたモデルのビックマイナーチェンジではありますが、シャシーにしてもエンジンにしても、とことん手を入れましたといった感があり、そういう捉え方をすると熟成感にあふれています。実のところ、改良前のモデルでも、ウィークポイントはあまり感じていませんでしたが、乗り比べると、歴然の差。以前のモデルは、乗り味なんぞサスのストロークフィールにすら唐突感、いや、整え切れていない感がありますし、ハンドリングも操舵感含めて、過去を感じます。そのほか、以前のモデルでは、エンジンは、ディーゼルゆえのトルクはあるけど、過給器も相まってのトルク変動があるし、微妙なアクセルコントロールができていたかと言われたら、そうではない、扱いづらさがあった、と。ただ、そう感じたのは新型と比較してのこと。比較するまでは、わりとそうは感じていませんでした。まぁ、こんなもんかな、含めて。
 それにしても、デビューから10年以上を経て、まだ熟成をさせようとするこのスタンス、とってもいい。熟成ゆえに、待望の先進安全装備の採用も、その機能面ではイマドキに届いていないところもありますし、フロントシートは整えられたけど、ヘッドレスト以外は旧来となるリアシートはサイズに不足があります。ドライのクローズドコースで試乗した際には、アルファード・ヴェルファイアを超えたかと感じましたが、公道で試乗したところ、乗り心地の面では超えられていないことを感じました。18インチタイヤ、つまり、55扁平タイヤゆえの硬さが感じられてしまう、と。しかしですね、ラフロード走行性能においては、そこらのSUVとは一線を画す制御によって、対角線上にあるタイヤがともに浮いてしまう、かつ、そこが上りといったシーンでも、果敢に前進させようとするところは、まさにライバルには見当たらない、アドバンテージ。今回、最低地上高を含めた、クリアランスが小さくなっていますが、むしろ、ボディをヒットさせることで、これ以上進むことはご遠慮ください、そんなアナウンスを引き出すに必要な数値にしたと、捉えると、実にいいと思います。
 個人的に……、という点では、まず、感心したのはコーナリングでしょうな。ロール量をしっかりと確保しながら、ステアリング操舵によってロールをきれいに出せるし、懐深いサスペンションがしっかりと路面を捉えてくれます。グイグイとインをつく走りに、ミニバンらしかぬ走りを感じました。惜しいなと思ったのが、アクティブギアにもオールシーズンタイヤを組み合わせてしまったところでしょうか。ま、セッティングをもう一台しなきゃいけなくなるという面では、どちらも同じタイヤにしたかったという理由は分かります、分かりますけど、新しいお客さんを呼び込もうというならば、そのぐらいはして欲しかったかな、と。
 というわけで、これはいずれの執筆にも書きましたが、改良前モデルのユーザーは買い換えたほうがいいです。ほかに代わるモデルもないことですし、長く乗れますし。何よりも、三菱最後のオリジナルモデルになりますから。

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