#1636 これといったマイナスが見当たりません、BMW・新型3シリーズ(330i MSport)。

 あのですね……、と始まる時は、その次にたいがいいい表現が来ます、私の文章。というわけで、あのですね……、とんでもなくいいです、BMWの新型3シリーズ。昨今のメルセデス・ベンツの仕上がりやらからも、悪いわけはないと思っていましたが、そんな期待値を大幅に超えて、とんでもないモデルに仕上がっていました。ということで、昨日のプレス向けの公道試乗会から。まずはそのデザイン、個人的には好きなテイストではありませんけど、どこかのブランドのようにもはや整形に継ぐ整形によって、解読が難しくなりゆくテイストとは異なり、BMWらしさを生かしながら、3シリーズらしさを残しながら、新世代3シリーズのデザインへと導いていることが理解できるものであり、とってもいいと感じています。そもそも、ボディストレッチによって、伸び伸びとしたFRらしいフォルムを手に入れていることも、その好印象ぶりに繋がっています。なんつーんですかね、デザイン要素を無理矢理に押し込めた感がないといいましょうか、そんなところも含めて。ただ、まぁ、個人的には伝統ともいえる明確なキャラクターラインが、面構成による連続性に変換されてしまったことに残念を感じますが、それもデザイントレンドという捉え方をすると、納得できる点でもあります。最新のマツダなんて、行き過ぎを感じるほどですから。それと比較したら、ね。
 さて、そんな3シリーズですが、試乗に用意されていたのは、330i・MSport。あれです、2.0Lガソリンターボの高出力ユニットを搭載し、前後で異なるサイズのタイヤと専用サスペンションを組み合わせ、あれこれと専用を装備としたグレード。MSportは、日本で人気の高いグレードですがグローバルで眺めると日本は3番目に比率が高いマーケットだそうで、いちばんだと思い込んでいましたから、これはちょっと驚きでもありました。ちなみに、個人的には、MSportに対しては、当初は行き過ぎを感じ、特にランフラットタイヤとの組み合わせにBMWらしくないを感じていましたが、世代を経るごとにその印象も薄れ、昨年発表のX2、X4あたりから、とうとう、これ、いいじゃんを感じるようになっていました。ま、なにをもって、BMWらしくないじゃんを感じていたかというと、コンフォートテイストの欠如ですな。Mなら許されても、MSportは、これじゃいかんでしょ、というバランスの話。それがですね、今回は、フロント45扁平、リア40扁平で、よほどの大きな入力でない限り、不快さを伝えてこない乗り心地が……、って、試乗車のタイヤサイズをいちおうとばかりに確認したら、オプションの19インチじゃん、これ。というわけで、訂正。フロント40扁平、リア35扁平で、それほどまでの快適性を確保していると考えると、もはや、天晴れの域。ちなみに、どれぐらい快適かと言われたらですね、かつて自動車メーカーの乗り心地の指標として使われていた、神奈川県の西湘バイパスの継ぎ目(昨今は大分よくなりましたが)を、トントンレベルでこなしていってしまうほど。トタントタンでもなく、トントンであり、それは、フラットライドと表現できます。ちなみに、かつての西湘バイパスの継ぎ目におけるフィーリングは、スポーティなシャシーセッティングを施されたモデル(いやそれ以外でも)、ドタンッ!、ドタンッ! でした。
 オプションの19インチタイヤだったとはいえ、ハンドリングに嫌みに通じるようなシャープさはなく、つまりですね、このヨシダが行き過ぎを感じませんでしたし、パワーユニットのフィール含めて、バランスの良さを感じ取っていたほど。走りに関していえば、とにもかくにもフロントの剛性がとてつもなく引き上げられていまして、もはや補強レベルではなく、これをベースにして、10年以上使いますレベルを宣言されているかのように感じました。言い換えると、現行型Cクラスが出た時に感じた、先代(Cクラスどおし)との差ほどのレベル違いが、この3シリーズの新旧世代間にもあった、と。しかしですね、その絶対値は、現行型Cクラスと比較すると、完全に新型3シリーズのほうが上。いやはや、いやはや。で、結果ですね、そういった剛性感も相まって、ハンドリングもそうなんですが、乗り心地の良さやら、接地感がすこぶる高く、ドライバーはもとより、乗員にも安心感を与えるという、正論による理想の走行性能を手に入れていました。ここですな、ここ、評価のポイントは。
 このまま書いていると終わりが見えてないので、このあたりで終わらせますが……。って、そうだ、先代ではかなりの割合を占めていたディーゼルユニット、今世代ではxDrive専用ユニットとするとか。その理由は、現在のところ日本専用となる2.0Lターボガソリン(320I用スタンダードユニット)の最大トルクがもはや300Nmに達しており、ディーゼルのメリットである低回転域での豊かなトルクに近づいてしまったこと、さらに、燃費性能も大幅に向上しているため、もはやレギュラーグレードはガソリンユニットで十分と考えたのだとか。そして、ディーゼルユニットは4WDという特別なモデル専用にした、と。個人的には、それでも抜くことができない、ディーゼルの実燃費の良さと、軽油単価による経済性という、肝心な要素を軽くみていやしないかな、と思うところもあります。しかし、この走りを体感してしまう(330iでしたけど)とガソリンのほうがいいを感じるところが多くありますし、スポーティサルーンたるキャラクターを考えると、やっぱりガソリンをメインに打ち出しておきたいというメーカーなりの、理由も理解できますし、ほかブランドのディーゼルユニットの展開を眺めていると、この4WDだけにディーゼルというスタンスにBMWらしい勢いを感じます。というわけで、賛成ですな。
 終わらせるといいながら書き続けていますが、ひとつだけ残念だったのは、とうとうMTモデルが消え去ってしまったこと。ま、これこそ予想していたことですけども。先代でなんとか生き残っていた320iのMTですが、販売台数としてはかなり芳しくなかったようです。輸入車のスタンダードな2.0LターボをMTで乗れる、希少な存在だったんですけどね。
 というわけで、あれこれの詳細は、連休明けぐらいに、しっかりと借り出しますので、またに。

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